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夢のかけら  作者:
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プロローグ

「きゃ〜!双子ってかわいい〜!二人ともお人形さんみた〜い!」


子供の頃、会う人みんなが私達二人を見て、口を揃えて言う言葉がコレだった。


自分で言うのもなんだが小さい頃の写真を見ると、同じ顔の私達二人はとても愛らしく可愛らしい。


5冊以上に渡る小さい頃のアルバムの中のほとんどが、私達二人が寄り添って遊んでる所や、寝ている所、そして二人して同じ姿で泣いている所など、所狭しと写真が貼ってある。


このアルバムを開ける度・・・・なぜ子供の時のように仲良く過ごせなかったのか・・・・と胸が苦しくなってたまらない.…。



私がもっと大人だったら・・・・今と違う未来が在ったかもしれないのに.........






「オ、オッッッッギャ〜〜」



私達二人が生を受けたのは太陽の光が激しい夏の夜....


この年は例年に比べとても暑かったらしく、「時間は掛るわ、汗だくだわで本当に大変だったんだから」と母は言っていた。


そして無事、五体満足でなんの問題もなく父と母に抱かれ家に帰ってきたその日から、今井家はとても騒がしくなったのは言うまでもない・・



昔のことを聞くと….


「毎日が戦争だったよ・・」

と両親が声を合わせて言っていた。


特に私達二人は同じに何かするということが多かったらしく、お腹すくのも夜鳴きするのも一緒だったらしい。

そして、驚いたのがハイハイした日も同じなら、歩いた日も話し出した日も同じだったということ....

どこに行くにも一緒で・・・まるで映し鏡のような私達二人・・・


一応、一瞬だが先に生まれた私が姉ということなっている。

名前は、両親の名前を一文字ずつ取り決めたらしい。



父の名前が正彦マサヒコ、そして母が七奈ナナなので、

先に生まれた私が今井 麻奈マナとなり、妹が沙奈サナとなった。



名前も似てるなら外見も似てるものだから、他人だけでなく親でさえもよく間違えてたっけな。。。

親でさえ間違えるほどなので、他人は全く区別がしにくかったらしく、そんな私達を区別するため幼稚園くらいの時に髪を切られた・・・お姉ちゃんなんだから良いよね・・・・と。


泣きながらもなんとか納得したが、本当は長い髪が良かったんだよね・・・

その頃大人気だった漫画の主人公が、髪の毛が長くてとても可愛く、私達二人の憧れだったからなんだけどさ。


それからはずっとショートカットが定番となり、今でも伸ばしていない・・・・長いといろいろ面倒臭いしね・・・




この頃からだったか、段々と私達二人は周りから比べられるようになっていった。

愛想がよく人懐っこい妹が、誰からもよく可愛がられていくようになり、私はどちらかと言うと人見知りをする方だったので、いつも母の後ろに隠れたりすることが多かった.。



そして小学校中学年くらいから、私達の評価は特に開くようになった・・・


習い始めたピアノも水泳もその他のお稽古事も、最初は私が何でもできるのに、少しすると妹は駆け足で私を追い抜いて行く・・・      


何でも出来、よく誉められる妹・・・・



誇らしい気持ちと共に、すごい嫉妬を感じるようになっていった......





そんな嫉妬心からか、少しずつ距離を開けだしたのは私の方だった。

今までほとんど一緒に行動していた私達だったけれど、一緒にいればいるほど出来の良い妹と比べられては、「お姉ちゃんも頑張ろうね」と言われるのがとても嫌だった。


母と話し、習い事も興味ないものはすべて止めさせてもらい、一人でいることが増えて少し気持ちが楽になっている私がいた。





そして中学に入り少したった頃、ある劇団に入っていた私達二人は、ミュージカルのオーディションを受けることとなった。


最初は気が引けたが、やはり母の影響か、舞台というものに興味を感じ始めていた。


母は歌手としてデビューしそこそこ売れていたのだが、ひょんな事から舞台を一度経験してからは、私達が生まれるまでずっとそっちの世界で活躍していた人だ。


それに、私が唯一妹に引けを取らないとしたら、ピアノか歌くらいのものだったし、やるからにはなんとしても受かりたかった・・・

何か一つでも妹より上回り「すごいね!」って言われたかったんだと思う.....。


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