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ゆとりろ!  作者: 雲丹
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第8話 友人日和

 今日も元気にこんにちわ、日和です!

 今、昼食が終わって昼休み。暇そうないっちゃんとともに暇な時間を過ごしてます。ってか暇です。


「とゆーわけで!」


「何よいきなり」


「そんな嫌そうな顔せんでも」


「今寝かけてたのよ」


 あ、なんで瞑想に耽ってるのかと思ったら寝てたのか。


「こりゃ一本とられたわい」


「黙れよ」


「そげな言い方せんでも」


「どこの言葉だよ。んで何なの? 大声出して」


「あ、そうそう。いやね、このクラスになってもうそこそこ経ったのに周りの人のことあんまし知らないなぁって思ってさ」


「なるほど。ま、周りはあんたのこと知ってると思うけどね」


「へ? なんで? あたしってばそんな人気者?」


「人気者って言うか……有名ではあるけどね。すごいバカってことで」


「ええ!?」


 バカかぁ……まぁいろいろやっちゃったし仕方ないかぁ。


「ま、有名なら何でもいいや」


「あ、いいんだ」


「でもさ、あたしは周りの人のことを全然知らんわけよ。だからやっぱ知っとこうってことで、みんなにインタビュー!」


「ふうん。いってら」


「いやいやいやいや。もちろんいっちゃんもだよ?」


「なんでもちろんなんだよ」


「そりゃ決まってんじゃん。ツッコミが必要だからだよ!」


 どーん、といっちゃんを指差してみたけど、いっちゃんは全く微動だにせず。


「いや、別にいらんくね?」


「いるに決まってるよ! ねぇ?」


 とりあえず隣にいた知らない子に振ってみた。


「え、あ、うん」


「それ誰だよ!?」


「ほら、やっぱツッコミ必要じゃん」


「いや、ツッコミというよりあんたの暴走を止めるためについていくわ」


「まったく素直じゃないなぁ」


「これ以上ないほどに素直だよ」


「えっと、あの……」


「ん?」


 なんかさっきの子が横でモジモジしてる。


「私はどうすれば?」


「あ、いやいや別に」


「いっちゃんストップ! あなたにはボケてもらいます」


「急すぎるだろ」


「えと、お題を出していただければ……」


「やんの!?」


 わかってるねこの子。大人しそうに見えて実は……ってタイプか。


「じゃあ、『人生』で」


「おもっ! お題が予想外に重すぎるよ!」


「整いましたー」


「謎かけ!?」


「人生とかけて、北海道と解きます」


「その心は?」


「どちらも長く平坦な道が続くでしょう」


 んー……。


 微妙だ。


「うん。まぁありがと」


「いえいえ」


「一体なんだったんだ今のは」


 それじゃ、次いきますか。

 次は誰にしようかな……あ、あの後ろの方で寝てる子に話しかけてみよう。


「ねぇねぇ」


「ぐぅ」


 ……寝ている。ものすごい気持ち良さそうに寝ている。


「ねぇってばー」


「すぴー」


「やめときなよ日和。こんな気持ちよさそうに寝てんのに」


「こんなに気持ち良さそうに寝てるのが気に食わないの!」


「どんだけ自分勝手なんだよ」


「うーん……」


 あ、起きたかな?

 いや、まだ目を閉じてるな。寝てるみたいだ。ただの寝言かぁ。


「んー……眠たい」


「ん!?」


「今なんて言った!?」


「あー……寝れない。眠たい」


「いや寝てるだろ!」


「いっちゃん、寝てるからツッコミしても意味ないよ!」


「いや、でも寝てるだろうが!」


「そりゃそうだけど!」


「んー? あんたら誰やぁ?」


 あ、今度こそホントに起きた!


「あー、起こしちゃってごめんね?」


「あたし、日下部日和。んでこっちが桜馬乙香。あたしらのこと知ってる?」


「ふぇ? あ、今朝はごはんの気分かなぁ」


「何の話だ!?」


「まだ寝ぼけてる?」


「あれ? お母さんやない……ってここは学校や。なんで学校にいるんや?」


 あたしが言うのもなんだけど、この子大丈夫か?


「あ、ちゃうちゃう。学校に来たんや。そうそう。んであんたら誰や?」


「すごいマイペースだな……」


「あたしは日下部日和、そんでこっちが」


「あーーーーー!」


「な、なに?」


 寝ぼけたり急に叫んだり……この子ヤバい子なのか? クスリとかやっちゃってるのか?


「お薬飲むの忘れてた」


「やっぱりクスリやってんの!?」


「せやねん。胃の薬やねん。これ飲まんかったらぽんぽん痛くなるねん」


「ぽんぽん!?」


「いやお腹のことだろ」


 わかってる、わかってるけど……中学生が言う言葉か?


「水で飲まなあかんねん。お茶はあかんらしい」


「はぁ」


 いっちゃんは『そんなこと私に言われても』って顔で女の子を見てる。そういえば名前聞いてなかったな。


「あなた、名前なんて言うの?」


「きはらき……ごほっげふっ」


「ごめんごめん。飲んでからでいいよ」


「うん……みず、みず……ごほっげへっ」


「はい、水」


「はひはほふ……ぐぅ」


 むせたせいでものすごい薬が口から出たんだけど、これはいいのか?


「……ごくん。えっとやな、うちの名前は……あーーーーー!」


「今度は何!?」


「うち……やなくて、私、関西弁喋らんように……じゃなくて喋らないようにするつもりだったのに」


「……はぁ」


 もはやいっちゃんは露骨にどうでも良さそうにしている。目が死んでるし。


「これからは関西弁喋らないから、今までの私は忘れて!」


「あ、うん」


 いや無理だけどさ。


「よし。じゃあもっかい。私の名前は木更津弥生です。よろしくお願いいたします」


 英語の文章か。


「あ、どうも。私は日下部日和です、よろしく」


「私は桜馬乙香です、よろしく」


「よろしく」


 こんな女子中学生いねーよ。


「まぁなんと言うかその……」


「ん?」


「あれ?」


 ま、まさか……


「……おやすみなさぐぅ」


「また寝たーーーー!?」


 なんと言いますか、世の中にはいろんな人がいるもんだと思いました。


「あんたは言えないけどな」


「てへっ」


「うるせーよ」




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