表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆとりろ!  作者: 雲丹
7/31

第7話 狩人さつき

「狩りに行こうぜ!」


「……はぁ?」


 こんにちは、季実です。土曜日の午前9時現在、意味不明なことを言ってるのは姉のさつきです。


「きぃ、わけわかんないこと言いやがって、って思ってるだろ?」


「うん」


「……お前はどうしてそう正直なんだよ」


 どうしても言われましても。

 ちょっとへこんだ様子のお姉ちゃんだったけど、すぐに先ほどのテンションに戻った。


「よく聞け、きぃ。狩りと言ってもだな、鹿とかを狩るわけじゃない」


「うん」


「つまりだ、紅葉狩り行こーぜ!」


「あ、紅葉狩りかぁ。いいねー」


 まぁ、狩りっちゃ狩りだけど……ってもしかして。


「お姉ちゃん、紅葉狩りって紅葉を刈り取りまくることだと思ってない?」


「お前バカにするのも大概にしろよ? んなわけねーだろ」


「そうだよね。ごめんごめん」


 お姉ちゃんもそこまでバカじゃないよね。


「あ、あとオヤジ狩りもしようかと思ってる」


 前言撤回。やっぱりバカだね。


「いやダメだろ」


「なんでさ」


「犯罪だからだよ!」


「それがよくわかんねーんだよな。なんでオヤジ狩りが犯罪なんだよ。それじゃあたし毎日犯罪者じゃん」


「毎日そんなことしてんの!?」


「いや、してるってか、せざるを得ないってか……」


「オヤジ狩りをせざるを得ない状況ってどんなんだよ!?」


「だって職員室にもいるし」


「教師!? 教師にやっちゃったの!?」


「いや、だって見えちゃうじゃん」


 この人何を言って……まさか。


「お姉ちゃん、オヤジ狩りの意味知ってる?」


「そりゃ知ってるよおめー。紅葉狩りが紅葉を眺めることなんだから、オヤジ狩りはオヤジ眺めることだろ」


「いや、おま、いや、何て言ったらいいかな……うん、そう。なんでやねん!」


「えぇ?」


 本気で意外そうな顔をするお姉ちゃん。本気だ。この人、本気と書いてマジだ。


「オヤジ狩りがオヤジ眺めることなら何で世間で問題になるわけ?」


「『うわっ、あの人オヤジ見てるし。チョーやべーし』みたいな感じだろ?」


 どんな感じだよ。


「違うよ! オヤジ狩りってのはオヤジを襲って金とかをたかること!」


「あ、なるほど。どっちにしてもやったことあるわ」


「オオォイ!! ダメだろ!」


 この人何いっちゃってるんだ!?


「オヤジっつってもアレだぞ? うちのオヤジだぞ?」


「あ、そっか。それなら別にいいか」


 これはまぁ仕方ないことなんですよ。うちの父親はちょっと変なんで。


「というわけでまぁ、紅葉狩り、行こーぜ!」


「うん、行きたいのは山々なんだけど」


「うん」


「今何月だっけ?」


「5月だよ」


「紅葉っていつのものだっけ?」


「秋だろ」


「じゃあ見れねーよ」


「あ、そっか。じゃあしゃーない。ゲームやろーぜ」


「あ、うん」


 なんか知らんが、まぁいっか。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ