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ゆとりろ!  作者: 雲丹
19/31

第19話 酔いどれさつき

 どーも、季実です。

 平日の今日はいつも通り学校に行ってきました。帰りはまみちゃん、ひみこちゃんと一緒に帰ってます。


「あ、そうそう。そういえば、アレ見た?」


 と、まみちゃんが突然喋りだしたので私とひみこちゃんはまみちゃんの方を向きます。まぁまみちゃんのことだからまともな話じゃないと予想しながら。


「アレって何よ」


「アレはアレだよ。ほら、あの日曜7時からやってる……あ、人面戦隊鳥人間達」


「見ねーよ。ってかなんだよそれ」


「おお、見たぞ」


「見たの!? ひみこちゃん見たの!?」


「あ、ひぃちゃん見た? ヤバかったよね、この前の。ブロイラーレッドと閑古鳥ブラックの戦い! 興奮したー」


「レッドの必殺技、竜田揚げフライアウェイは何回見てもかっこいいのぉ!」


 ……なんだこの会話。意味わからん。

 理解不能の会話についていけずおいてかれた感じになりながら歩いていると、不意にまみちゃんに話しかけられました。


「そうそう。ブタバナンのポークビッツアタックが……あ、ポークと言えばきぃちゃん」


「なんでだオイ」


「いや、だってこの前2キロ太ったって」


「ちょっと待て! 何でそれ知ってんだ!」


「まぁ気にすんなよ。それよりさ、今日きぃちゃんち行っていい? ひぃちゃんも行くよね?」


「うむ、いいぞ」


「……別にいいけど。ってかそれより何で体重のこと知ってんのさ?」


「ふふふ……それは秘密です」


「ちょっと! 教えてよ!」


 そんな感じでドタバタしながら3人で私の家に帰宅。多分、お姉ちゃんもう帰ってんだろうな。

 そう思いながら家に入ると……お姉ちゃんの靴が。案の定もう帰ってるみたい。


「ただいまー」


「おう、おかえり」


「うわ! 酒くさっ! お姉ちゃん、飲んだでしょ?」


「あたりまえだの……クラッシュ!」


「ぐふっ!」


 ……のっけから何もしてないのにまみちゃんが思いっきり殴られちゃったよ。今のはさすがにひどい気がする……。


「ちょっとお姉ちゃん! 何かしたならわかるけど、何にもしてないのに殴ったら可哀想でしょー」


「大丈夫だって。まみだし」


「そんなことないよー。まみちゃん、大丈夫?」


「ありがと、きぃちゃん……。あの、もうちょい近づいて」


「へ? なんで?」


「その唇を……奪いたい」


 ……こいつは。ちょっと心配したらこれだよ。


「やだよ! もう」


「まみ、おぬし今なんと?」


「や、だからきぃちゃんの唇を奪いたいんだよ」


 なんでひみこちゃんはそんなに興味津々なんだ? なんでまみちゃんはそんな普通に答えるんだ!?


「唇を……奪う? それはなんという拷問じゃ?」


「拷問ちゃうわ! むしろご褒美だよ!」


「ご褒美ではねーよ」


「いや、でも唇を削ぎ落とすのはかなりの痛みが」


「ストップ! 何かいろいろおかしいよ!」


「うっせぇぞお前らぁー」


 私たちがわーわーと喧しくしていると、酔っぱらいのお姉ちゃんは何か言いながらビールの空き缶をいっぱい投げてきた。


「いたっ! 顔に当たっ……いたっ! す、すねに……いたっ!」


 私たちというか、まみちゃんに投げていた。


「さつきお姉ちゃん! 集中攻撃はひどいよ!」


「うるへー」


「いたっ!」


 力の抜けた声の割にはすごい強さで空き缶を投げてくるお姉ちゃん。しかもあたると痛いところを的確に狙っている。


「小指いたっ! ああああ! ファニーボォォン!」


「あっはははは! はは、は……ぐぅ」


 ……んで寝るし。もう、ホントどうしたんだろ? お姉ちゃんがこんなに飲んで荒れるなんて久しぶりな気がする。大体何か悩み事が原因なんだけど、お姉ちゃん言わないしなぁ。


「まったく、人にこんだけ危害を加えといて寝るって。ホント、きぃちゃんだったら襲ってるよ」


「いやホント、やめてください」


「……ば」


「ん?」


 今何かお姉ちゃんが言ったような気が。


「ホント、ファニーボーンは痛いっての」


「しっ! ちょっとまみちゃん静かに!」


「へ?」


 不思議そうな顔をするまみちゃんを無視してお姉ちゃんの言葉に耳を澄ませる。


「……愛葉」


「アイバ?」


「あいば? 何それ?」


「いや、お姉ちゃんが今寝言で言ったの」


「寝言で、ねぇ。寝言で人の名前を言うってことは、もしかして……」


「恋、じゃな」


「え?」


 瞼を閉じたまま、ひみこちゃんは静かにそう言った。まるで仙人のようなオーラを出しながら……!


「恋、ですか?」


 自然と言葉遣いも敬語になってしまう。恐ろしきひみこちゃんパワー!


「そうじゃ。さつきはアイバという名の者に恋をしておるのじゃ」


「……あのお姉ちゃんが、恋」


「あたしはきぃちゃんに、恋……キャッ、いっちゃった!」


 まみちゃんは、無視しよう。

 私はお姉ちゃんの方にまっすぐ向き直った。


「お姉ちゃん、応援してるからね!」


「お姉ちゃん、応援しててね!」


 もう一度思った。

 まみちゃんは、無視しよう、と。


「さつきの恋も、まみの恋も実ることを祈っておる!」


「ちょっと待て」





コレ真面目か?

…まぁいいか。息抜きってことで。

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