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戦国漫遊・子連れ忍法帖 〜中身はおじさんだけど信長に嫁いで内政チートしています〜  作者: 井上幸将
天下統一怒涛編

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毛利元就の三本の矢 vs 現代の労働組合 〜家族経営の限界を教えます〜

「……おい、パパ。今回の相手は今までの武闘派とは訳が違うぞ。毛利元就ってじいさんはな、現代で言えば『地方の巨大同族企業の会長』なんだ。CEOパイナップルから供与された『現代式・情報統制(SNSマーケティング)』を駆使して、領民や国衆に偽情報を流し、俺たちのカレー物流網を『毒物混入のデマ』で麻痺させやがった。……これ、放置してたら織田ブランドが倒産するぞ」


安芸・吉田郡山城を望む本陣。俺、百舌鳥もずは、バナナの着ぐるみのハッチを閉め、ソーラーパネル付きタブレットで「デマの拡散経路」を分析していた。

CEOは、老獪な元就に『印刷機』と『現代の宣伝心理学』を伝授。元就はそれを使って、「織田のカレーを食べると性格がバナナになる」「信長は実はイチゴの精霊に操られた傀儡だ」といった荒唐無稽な、しかし大衆が信じやすいフェイクニュースを全西国にばら撒いていた。


「百舌鳥、貴様の『いたぶれっと』でその嘘を上書きできぬのか? 嘘を吐く者は、より大きな嘘で黙らせるのが魔王の道であろう」

「パパ……嘘に嘘を重ねたら、それはもうブラック企業の粉飾決算ですよ。俺たちがやるのは『情報公開ディスクロージャー』と、毛利家の『内部崩壊ストライキ』です」


俺は不思議ポケットから、現代の『高出力・中波ラジオ放送機』、大量の『拡声器付きドローン』、そして『労働組合結成マニュアル(戦国版)』を取り出した。


「西国の民よ! 毛利の領主たちよ! 貴方たちは、元就公の『三本の矢』という言葉に騙されている! あれは家族の絆ではない! 『一人が失敗したら三連帯で責任を取れ』という、恐ろしい同族経営の呪縛だ!」


夜の闇を突いて、俺が打ち上げたドローンが吉田郡山城の上空で旋回し、最大音量で俺の声を放送し始めた。

さらに、不思議ポケットの『中波放送機』を通じて、毛利領内の全寺院(※前回、監査で味方につけた比叡山ネットワーク)のスピーカーから、元就が隠し持っていた「家臣を駒としか思っていない裏の日記」の内容をリークし始めた。


「……三本の矢? それ、ただの『同調圧力』ですよね? 毛利の兄弟たちよ、貴方たちは本当に、自分のやりたい仕事をしていますか? 元就会長の顔色を伺って、有給も取れずに戦わされていませんか?」


城内の若手武将や、過酷な軍役に疲れた農民たちが、空を見上げる。

現代の『心理的ハラスメント対策』の知識を用いた俺の言葉が、彼らの「心のホワイト化」を促進していく。


「……な、何だ、この空からの声は……。……確かに、私は本当は戦よりも、安芸の牡蠣を焼いて売る店を開きたかったのだ……」

「元就様は、我々を『矢』としか呼んでくれない……。我々は人間だ! 矢じゃない!」


元就が長年築き上げた「三本の矢(強固な家族経営)」という名のブラックな絆が、現代の『個人の尊重』という価値観によって、内側からメキメキと音を立てて剥がれていく。

混乱する吉田郡山城に、俺はバナナのブースターを噴射して単身(+スイカ犬の雷蔵)で乗り込んだ。

奥の間にいたのは、現代の『戦略用PC』を使いこなし、険しい顔でデマの修正案を書いていた毛利元就だ。


「……百舌鳥か。……『情報』という目に見えぬ刃で、我が家臣の心をこれほどまでに搔き乱すとは。……CEOが言っていた通り、貴様こそがこの世の理を壊す『不条理』そのものだな」

「元就会長。情報の刃は、貴方が先に抜いたんですよ。……でも、もう限界だ。……貴方の三人の息子たち、たった今、俺が差し入れた『現代の労働契約書』にサインして、織田グループの『西国支社』への転職を決めましたよ」

「……何だと? 隆元も、元春も、隆景もか!?」

「彼らは『会長の跡継ぎ』というプレッシャーから解放されたがっていた。……隆景さんなんて、現代の『組織論』を学んで、『これからは分権型マネジメントの時代だ』って張り切ってますよ」


俺はポケットから、一通の『終身隠居勧告書』と、一箱の『高級サプリメント(脳を活性化させるDHA配合)』、そして『現代の囲碁ソフト入り携帯ゲーム機』を取り出した。


「元就公。貴方はもう、一人で全てを背負う必要はない。……この『囲碁ソフト』、最強レベルに設定しておきました。これなら、貴方の知略をぶつける相手に困ることはない。……余生は、瀬戸内海の美しい島で、最強のAI相手に好きなだけ策を練ってください」


元就は、目の前のゲーム機と、息子たちが書いた「父上、僕は僕の人生を歩みます」という置手紙を交互に見つめ、やがて力なく笑った。


「……三本の矢が、折れたのではない。……それぞれが別の空へ飛んでいった、ということか。……百舌鳥よ、貴様の勝ちだ。……その『いご』というもの、見せてもらおう」


西国の知将、毛利元就。

彼もまた、現代の『個人主義』と『AIの娯楽』という名の退職勧奨を受け入れ、円満に隠居へと向かった。


「……パパ。これで西国も、実質的に俺たちの『子会社』になった」


俺は、ゲーム機に熱中し始めた元就を見送り、タブレットで物流網の復旧を確認した。

だが、その時。キウイが険しい顔で俺の元へ歩み寄ってきた。


「バナナ……。重大なトラブルだ。九州の島津から、信じがたい通信が入った。……島津家久が、CEOから供与された『現代のエネルギー・ドリンク』を全兵士に投与。……彼らは24時間眠らず、痛覚を失い、時速50キロで走り続ける『狂戦士バーサーカー』と化している」

「……まじかよ。CEOの野郎、ついに『薬物ドーピング』に手を出しやがったか」


島津。ただでさえ最強の「チェスト」集団が、現代の薬理学で強化された。

これはもはや、話し合いや隠居スキームでどうにかなる相手ではない。


「パパ。……次は、ガチの『解毒作戦』になるぞ。……ポケットから、現代の『超強力・鎮静剤』と『スポーツ医学のリカバリー・キット』を準備しろ」

「おう! 島津の鬼どもを、イチゴの甘い夢に沈めてやるわ!」


おじさんの天下M&A。

物語は、九州という名の「無法地帯」にて、現代科学とドーピングが衝突する、シリーズ最大の激戦へと突入する。


「茶々丸。……パパ、今度はちょっとだけ『注射』を使うかもしれないけど、痛くないようにするからな」

「うん! パパ、お注射がんばって! 雷蔵も、お尻にガウってする!」


スイカを被った雷蔵が、現代の『巨大注射器』を見て、なぜか興奮して尻尾を振っていた。

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