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戦国漫遊・子連れ忍法帖 〜中身はおじさんだけど信長に嫁いで内政チートしています〜  作者: 井上幸将
帰還の内政チートとCEOの遺産編

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弟子の頑張りと、おじさんの観察眼

清洲城の朝は、鶏たちの元気な鳴き声と、弟子の小次郎が振り回す木刀の風切り音から始まった。旅を終えて一回り体が大きくなった小次郎は、最近、茶々丸が近くを通るたびに動きが目に見えて硬くなる。中身がおじさんの私には、その青臭い反応のすべてがお見通しだ。


「おい小次郎。そんな力んじゃ、肝心の的に当たらないよ。それとも、あっちで雷蔵と遊んでる茶々丸に良いところを見せたいのかい?」


と、私が不思議ポケットから取り出したキュウリを齧りながら冷やかすと、小次郎は耳まで真っ赤にして


「な、何をおっしゃいますか百舌鳥様! 俺はただ、次の戦いに備えて修行しているだけで……!」


としどろもどろに答える。そんな彼の背後を、リンゴの被り物を揺らした茶々丸が


「小次郎くん、お水持ってきたよ。……あ、お顔が赤い。また熱でもあるの?」


と無邪気に覗き込む。小次郎は「ひゃい!」という情けない声を上げて飛び退き、それを見た私は「あーあ、こりゃ重症だな」と、かつての自分の冴えない青春時代を思い出して少しだけ胃が痛くなった。

そんな平和な光景を眺めていると、一等陸佐……いや、キウイが毛羽立った着ぐるみの隙間から双眼鏡を除きながらやってきた。


「百舌鳥殿。若者の集中力の乱れは、戦場では致命的な隙となりうる。私がサバイバル術の一環として『精神統一』を教え込むべきか?」


という提案をしてくるので、


「やめなよキウイ、あんたの教育は極端すぎるんだよ。ここは人生の先輩である私……おじさんの出番だね」


と私は立ち上がった。私は小次郎を呼び寄せ、不思議ポケットから取り出した「現代のスポーツドリンク」を彼に差し出してやった。


「いいか、小次郎。戦場で大切なのは、体調管理と、平常心だ。茶々丸の前でガチガチになるうちは、お前はまだ修行が足りないんだよ。今夜、私の部屋に来な。戦に勝つための『心の持ちよう』を教えてやるから」


と私が囁くと、小次郎は真剣な顔で頷いていた。

そして夜。子供たちが寝静まった後の城内は、昼間とは打って変わって静寂に包まれる。私は約束通り小次郎を部屋に呼び、戦国時代の夜空を見上げながら、戦での心構えや、仲間の大切さについてじっくりと話を聞かせた。おじさん時代の経験(とゲームの知識)を総動員して語る私の話に、小次郎は目を輝かせて聞き入っている。


「百舌鳥様、ありがとうございます!なんだか、戦が怖くなくなってきました!」


小次郎のまっすぐな瞳を見て、私は少し照れ臭くなった。美少女の身体で真面目な話をすると、どうにも落ち着かないものだ。不思議ポケットから取り出した煎餅を齧りながら、「まあ、おじさんの話は役に立つだろう?」と軽く言うと、小次郎はさらに恐縮していた。そんな時、部屋の外から小さな足音が近づいてくる。戸を開けると、そこには目を擦りながら茶々丸が立っていた。


「百舌鳥様、小次郎くん。まだ起きてたの?三人で一緒にお話ししよ?」


と言う茶々丸に、小次郎は再び顔を赤くしている。私は苦笑いしながら、


「仕方ないな。おじさんの寝る前の昔話でも聞かせてやろうか」


と二人を部屋に入れた。戦国時代の夜は、まだ始まったばかりだ。

翌朝、私は少し寝不足ながらも、清々しい気持ちで目を覚ました。道場からは、昨日よりも力強く、そしてどこか楽しげな小次郎の木刀の音が聞こえてくる。茶々丸も元気いっぱいに雷蔵と追いかけっこをしている。おじさんの適当な教育も、たまには役に立つものだ。

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