清洲の団欒と、スパイスの魔法
尾張、清洲城。
「……はぁ〜、極楽極楽」
私は城内にある「不思議ポケット」特製の露天風呂に浸かり、思い切り手足を伸ばしていた。隣では、スイカの被り物を外してスッキリした雷蔵が、ふちで前足を揃えてウトウトしている。
「おねえちゃん、背中流してあげる!」
「ありがとう、茶々丸。……あぁ、そこそこ。旅の疲れが溶けていくね。」
リンゴの帽子を脱いだ茶々丸が、小さな手で一生懸命私の背中を擦ってくれる。平和だ。パイナップル(CEO)との智略戦も、荒れ狂うインド洋も、今は遠い夢のようだった。
風呂上がり。私たちは信長様と帰蝶様の待つ広間へと向かった。
膳の上には、私がインドから持ち帰った「新鮮なキュウリ」と、不思議ポケットでしっかり冷やしておいた「特製マヨネーズ」が並んでいる。
「殿、帰蝶様。まずはこれを。」
私はキュウリをパキッと割り、純白のマヨネーズをちょんと乗せて差し出した。信長様はイチゴの着ぐるみを脱ぎ(さすがに室内では暑かったらしい)、それを無造作に口へ運ぶ。
「……ほう。この瑞々しさと、マヨネーズのまろやかな酸味。旅先で食った『マヨまみれ』も悪くなかったが、こうして素材を活かすのが一番だな。」
「ええ、本当に。このまったりとした味わい、癖になりそうですわ。」
帰蝶様も上品にキュウリを齧り、満足げに微笑む。おじさんの私の心は、この平和な食卓だけで満たされていく。
その夜。子供たちが寝静まった後、私は帰蝶様に呼び出された。
奥座敷には、ほのかに香るお香と、少し強めの地酒。
「百舌鳥。……旅の間、寂しくはなかった?」
帰蝶様が私の横に座り、そっと肩を寄せてくる。
「寂しかったですよ。……でも、帰る場所があるから頑張れたんです。」
私は不思議ポケットから、インドで見つけた「不思議な香油」を取り出した。
「これ、お肌を滑らかにするオイルなんです。……帰蝶様、旅のお土産に、揉み解して差し上げましょうか?」
「……嬉しいわ。あなた、本当に気が利くこと。」
おじさんの記憶にあるマッサージ技術と、花の香りのオイル。
月明かりの下、私たちは二人だけの「閑話」を、夜が更けるまで楽しんだ。
戦や政を忘れ、ただ一人の「くのいち」として、そして「友人」として過ごす時間は、何よりも贅沢なご褒美だった。




