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戦国漫遊・子連れ忍法帖 〜中身はおじさんだけど信長に嫁いで内政チートしています〜  作者: 井上幸将
尾張の美少女爆誕編

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2/23

再就職(?)の一次面接

里を追い出されて数時間。

私は相棒の雷蔵らいぞうと共に、鬱蒼とした山道を下っていた。


「……さて、雷蔵。まずは軍資金の確保だ。この『不思議ポケット』には現代知識が詰まってるが、物理的な小判は一枚も入ってないからな」

「ワン!」


雷蔵が鋭く短く吠える。その直後、茂みがガサガサと揺れ、見るからに不潔な格好をした男たちが三人、道に躍り出た。

手に持っているのは錆びた刀と、先が尖っただけの竹槍。


「へっへっへ……。運がいい、こんな山奥に上玉のガキが一人かよ」

「おい娘、その奇妙な服、大人しく脱いでもらおうか。抵抗しなけりゃ、命だけは助けて――」


(……あぁ、これだ。ネット小説で見たやつ。テンプレ通りすぎて、おじさん感動しちゃうな)


私は深いため息をつき、不思議ポケットの腰のあたりに手をやった。


「いいよ、おじさんたち。ただし、私の『不思議ポケット』から出るものは、君たちの手に負える代物じゃないけどね」

「あぁん? ガキがほざきやがって! やっちまえ!」


一番前でニヤついていた男が突進してくる。

私は抜刀すらしない。

里で叩き込まれた身体能力に、現代の重心移動理論を掛け合わせた体術。

男が槍を突き出す瞬間に一歩内側へ入り込み、掌底で顎を突き上げる。


「がっ……!?」


脳震盪のうしんとうを起こした男が白目を剥いて崩れ落ちる。

間髪入れず、残りの二人が怯んだ隙を逃さない。


「雷蔵、左!」

「グルル……ッ!」


雷蔵が猛然と一人の足首に食らいつく。

悲鳴を上げる暇も与えず、私はもう一人の懐に飛び込み、首筋に手刀を叩き込んだ。

時間にしてわずか十秒。道には三人の男が芋虫のように転がっていた。


「……ふぅ。さて、所持品検査の時間だ」


私は男たちの懐を漁り始めた。

だが、出てくるものは泣きたくなるほどしょぼい。


「欠けた握り飯、泥だらけのふんどし……。あ、この銀の粒が二枚だけ? 嘘だろ、ブラック企業の新卒の給料以下じゃないか」


私は天を仰いだ。この時代の「格差社会」は想像以上にエグいらしい。

だが、その時。雷蔵が男の一人が持っていた汚い書状を咥えて持ってきた。


「ん? なにこれ……『尾張・伊藤屋への通行手形』……と、美濃の刺客への連絡用か?」


その書状には、尾張の商人・伊藤屋を狙うための手筈が記されていた。

どうやらこいつら、ただの山賊ではなく、どこぞの勢力に雇われた「使い走り」だったらしい。


「伊藤屋ね……。名古屋か。飯も美味そうだし、ここに行けば、もう少しマシな仕事(内政チートの機会)があるかもしれないな」


私は男たちを道端の木に縛り付け、不思議ポケットから取り出した「強力な下剤入りの飴」を口に放り込んでやった。

目が覚めた頃には、彼らの戦国ライフは別の意味で地獄に変わっているはずだ。


「よし、行くぞ雷蔵。目指すは尾張の名古屋メシだ!」


私は軽い足取りで山道を駆け下りた。

この時はまだ知らなかった。

この通行手形が、後に「魔王」と呼ばれるあの男との、最悪で最高な出会いに繋がることを。

【第3話予告】

尾張の城下町に到着した百舌鳥。

豪商・伊藤屋を襲う危機を前に、ついに秘密兵器『コルトマムシ』の試作型が火を噴く!

そして、派手な格好で茶を啜る「あの男」と目が合って……。

次話:『名古屋メシと、うつけ者のスカウト』

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