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こだわりというか、わだかまりというか  作者: 白山月


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2/5

煮炊きの話

冬なのに、突然 雷鳴が響いた。

「お母さん、冬の北陸で雷が鳴ることを、**『ぶり起こし』**というそうだよ。」

「分かってますよ。 毎年毎年、言ってますからね。」

お母さんとは、妻の一条美奈子である。

「そうですよ、 そして、夕飯はぶり大根を食べたいって言い出すのよね。」

「それじゃあ、今日はぶり大根にしますね。メアリー、聞こえた? 材料の手配お願いね。」

メアリーとは、一条家のスマートスピーカーの名前だ。

「御意! ぶり大根と、ブリの刺身、そしてブリの刺身に合う熱燗用の日本酒を手配するでござる!」

「メアリー、標準語でいいのよ。」

「御意! ドロン!」

シュタタタタタタタ・・・・・

メアリーは、効果音を残して走り去った**てい**にした。


◇◇◇

夕飯の支度をする時間になってきた。

ピンポーン♪

メアリーからのインフォメーションだ。

「宅配業者から、あと5分で荷物が届くという連絡がありました。受け取りお願いいたします。」

一条哲也が窓から外を見ると、光を点滅させながら**『7』**と書いてあるドローンが近づいてきた。

窓を開け、ドローンから荷物を受け取った。

「7号さん、いつもご苦労さん。気をつけて帰ってね。」

いそいそと、ダンボールを台所にいる妻に持って行った。

「お母さん、材料届いたよ。ブリと大根、炊いたんお願いね。」

(炊いたん!?)炊くのはご飯です! いつもそこが気になる。

この人、いつも何でもかんでも、「炊いた、炊いた、炊いた!」

もー! 違和感だわ!


そして出来上がり、夕食が始まる。

「お父さんて、いつも煮物を、**『炊いた』とか『炊いたん』**って言ってるけど。これってブリと大根を炊いたん?」

哲也は笑顔になった。

「そう! 関西弁わかってきたね!」

ご機嫌そうに言われると、イラッとする。

「じゃあ、大根炊いたん? ブリ炊いたん?」

哲也は頷いている。

美奈子は気合を入れて言った。

「ダイコーーーーン タイタン! ブリタイタン! って変じゃない?」

哲也はびっくりしている。

「おぉ! なんか合体するロボットみたいだ! 今まで普通の言葉だったから意識しなかった。これからはこれをネタにしよう!」

がっくし、、、、

美奈子の思いは何も伝わらなかった。

そして、オヤジギャグのレパートリーまで増やしてしまった。。。。


美奈子は自分だけ、刺身を食べ、皿に残った上質なぶりの油を熱燗で流し込む。

「これがあるから我慢できるのよねぇ。」

余韻で悦に浸っている。

「お母さん、わしの刺身は?」

何がいけなかったのか、理解できない哲也であった。




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