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こだわりというか、わだかまりというか  作者: 白山月


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10/10

セキュリティは万全だそうだ

パソコンの画面にユーザとパスワードの入力する、ポップアップが現れた。

一条哲也は考え込んでいる。


これは、いったい何のためのパスワードだ?

数秒前、社内システムを開こうとして、ポップアップにユーザとパスワードを入力した。

まったく同じポップアップが再び、出現してきて、ユーザとパスワードの入力を求められている。

パスワードを間違ったわけではない、確かにパスワードは通って、次の画面に進んだのだ。

でも、画面の中央に堂々とパスワード入力画面がでてくる。

「これで2回目だ。」


開かないなら、何かトラブルなのだろう。

でも、毎回2回目入れたら、何事もなかったように開く。


なぜだ?


会社のシステムがクラウド化してから、こんな風になってきたような気もするが、哲也には理解できない。


それ以外にも複数のシステムを同時に利用すると、何の認証かわからないが、しょっちゅう、パスワードの入力を求める画面が出てくる。


これは、何のパスワードだ?


さっぱりわからない。


哲也はイライラする気持ちを落ち着けるために、コーヒーを飲んだ。

ふぅ・・・・


わけのわからない状況に対するストレスは治まった。

でも、これは安全なのか?という疑問がストレスとなって湧き上がってくる。


コンピュータやシステムの事は哲也にはわからない。

でも、自分のカギを誰が使うか、何に使うかをわからずに渡すことが抵抗感になっている。


みんなはどう思っているのだろう?


隣の山崎洋介くんに、哲也の思うところを全て話してみた。


山崎洋介くんは

「そうっすね、何も考えずに全部入れてます。」

それは不安はないのか、聞いてみる。

「今がでたらめなのは理解してるんですけどね。

うちの会社のセキュリティ部門ってユーザが不便になるほど、セキュリティのレベルが上がると信じてるんですよ。

パスワードも1回より、2回入れる方が安全、みたいな。」

山崎くんは一旦目を閉じ、決意を決めたように再び語り始めた。

「やつらは、問題の本質を探そうとはしません。

今までやった事が否定されることがないように問題点をすり替えます。

そして、的外れな事をやって、やった感はアピールします。


一条さんの何のパスワードを入れているかわからないなんて不安を挙げても、

きっと、やつらは、ユーザから認証に対する苦情が出ている。

より堅牢にするため、二要素認証を導入するとか言い出すんです。

そして、やつらは今のパスワードの入力回数を減らそうとせんのです。

今のパスワードの入力の都度携帯を開いてパスコードの入力をさせるんです。

そして、厳正化を果たしたと経営に報告するんです。。。。」


あぁ、アホなのか・・・・


哲也は理解した。


アホなのだ。

アホウがいるのだ。


哲也は山崎くんの肩をたたいた。

「山崎くん、帰りに一杯やろうか。」


そして、パソコンに向き直り、パスワードを入力した。



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