リピアの迷路 　──現実とシミュレーションの境界を失った“被験者”たちの監獄。

目覚めたのは、見知らぬ廃都市「リピア・ドーム」。
十二人の男女が、記憶の一部を失った状態で集められる。
壁面スクリーンには「生存実験開始」の文字。
配られた端末にはそれぞれ異なる“シナリオ”が記されていた。

「あなたの目的は、生還ではなく、“他者の観察”です。」

彼らは互いを疑い、協力し、やがて理解する——この世界は現実ではなく、誰かの“記憶シミュレーション”であることを。
だがその“誰か”が誰なのか、どの層が本当の現実なのか、誰一人として確信を持てない。
脱出のたびに現実はリセットされ、“被験者”たちは次の層に落ちていく。

――彼らはいつから「観察する側」ではなく、「観察される側」になっていたのか。