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第七夜

今年はみな祝い疲れしたのか、早めに自国や自邸へ戻る者が多かった。


特にモンサーム伯爵は双子の娘がいっぺんに婚約が決まってしまい、嬉しさはあれど疲労困憊し寝込んでしまった。

それによって新年の集いはいつもより早いお開きとなった。


初日から風邪で寝込んでいたエルナンの弟アランがようやく復活し、エドワードとルパートに婚約祝いの挨拶にやって来た。


「僕が寝込んでいたのは、風邪もありますが、モンサームに来て受けた妖精の啓示にショックを受けたからですよ」

「何がそんなにショックだったんだ?」

「兄上には教えたくありません」

アランはエルナンが諦めて自室に戻るまで頑なに口を開かなかった。

お喋りな兄に言いふらされるのが堪えられないということなのだろう。


叔父上に似た赤みの強い金髪と青い瞳のアランの容貌は天使のようにも思える。声変わりもまだ途中の12歳、次期ギルフォード侯爵だ。


「お二人ともいいですね、若くて可愛い婚約者なんて」

アランはエドワードとルパートに恨めしそうな視線を向けた。

「君はそうじゃないのかい?」

「僕は二十歳で結婚するそうですが、十五歳も歳上の女性だそうです」

二人は一瞬絶句したが、なんとかアランを慰めようと必死になった。

「それは、むしろ大恋愛なんじゃないのか?」

「そうそう、誰もが羨む絶世の美女かもしれないぞ。女性の価値は年齢じゃないよ(もちろん美醜でもない)」


「僕、初恋だってまだなんですよ! 酷すぎませんか、妖精の啓示って」


妖精の啓示は時に酷なものだ。幼いうちや若いうちに未来の情報を知らされてしまうことで、内容次第では理不尽な制限を受けてしまうこともあるからだ。

知らなければ、知らされていないうちは自由を満喫、謳歌することが可能なのだ。


啓示によっては、恋愛や結婚への淡い夢や期待すら奪われてしまうこともあるのだ。


「「「妖精公爵はそれほど楽じゃない」」」


若い三人の共通の認識を確認し合い、新年の集いの最後の夜は静かに更けていった。




ライラとアイラは翌年ベシュロムの王立学園に入学し、ライラはモンターク公爵邸、アイラはフォークナー伯爵邸からそれぞれ通った。


ライラとアイラは卒業すると同時に結婚した。


エルナンはルパートに仕込まれて一念発起した。その後シュバリエの称号と子爵位を得るまでになった。


エルナンの弟アランは、啓示に従い十五歳歳上の妻を持つに至ったが、周囲の心配も何のその、アランの激しい熱愛によるものだったことは、彼にとっては幸運だった。

夫を喪い、子もいなかった美貌の未亡人が彼の最愛の伴侶となった。


妖精の啓示は、受けた当初はどれだけ納得が行かないものであっても、結局最後には、落ち着くところへ落ち着くものなのだ。

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