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皆既月食

もちづきの

たれりかかやく

まそかがみ

かげかかりあひ

いみなきよるへ

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 公式企画「俳人・歌人になろう!2023」参加作品です。


 ▼小説家になろう 公式企画サイト

 https://syosetu.com/event/haikutanka2023/

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 放課後、月ノ宮さんを屋上に呼び出した。

ついにこの時が来た。緊張で胸が張り裂けそうだ。


「つっ、月ノ宮さん、付き合って下さい」

月ノ宮さんの姿を見るなり口走ってしまった。

「そんなに急がなくてもわたくしは逃げませんわよ、令嬢だから、美人だからと色眼鏡をかけることなくわたくしを見て下さったのはあなたが初めてでしたの、もちろんお受け致しますわ、ただし、以降はわたくしのことは冷華と呼ぶこと、そして敬語は無しね、良いこと?」

冷華は、少し顔を赤らめながら言った。僕は首が取れんばかりに首を縦に振った。

「今までも十分付き合っている様な関係でしたが、やはり改めて告白して頂くのは嬉しいものですわね」

冷華の言葉に僕は顔が真っ赤に染まってしまった。


「一緒に帰りましょう、そしてうちに来ない?」

冷華はとんでもないことを言ってきた。

「親御さんはいらっしゃるの?」

つい、そういうことを連想してしまい聞いてしまった。

「例えそういうことでも良いわよ、それとも親に隠さないといけない程度の遊びの関係なのかしら」

よよよと泣き真似をする。その姿を見て取り乱してしまった。

「真剣だってことは分かっているわ、わたくしに任せなさい」

早速、月ノ宮さんのご両親とご対面だ。どきどきはするがなんとかなる気がする。


 今夜は皆既月食、冷華と一緒に見ることになるだろう。月がきれいですねと言ってみよう。冷華はなんと返してくれるのか。ただ一つ言えるのは、もっと仲睦まじくなれるのは確かだということだ。


 月は影があるからこそ、夜だからこそ輝く、これから先のことをちょっとだけ予感した。


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 和歌は漢字に直すと「望月の 足れり輝く 真澄鏡 影掛かり合い 忌みなき夜べ(意味なき寄るへ)」

訳は、

「満月が影と一体となっている(皆既月食のこと)が、これは不吉でない夜の現象である」

となりますが、

「月の宮さんの満ち足りた幸せな様子は、影城君とくっついたことによるもので、2人は意味が

なくても傍にいる」

と意訳も出来ます。

表現技法の解説は次の通り、

望月の足れり輝くが、第1話の一目惚れからの本歌取りとなっております。望月のは足るを、真澄鏡は影を導く枕詞で、月とかかるが縁語となっています。

以下補足説明

皆既月食は古典では忌むべきものとされていますが、むしろここでは月の宮さんと影城君がくっついた喜ばしいこととしてとらえて欲しいです。掛かり合うで一体となるという意味ですが、あうは会う(結婚する)に通じ、この先を連想させています。


また題名の「月を紅に染めるまで」というのも、皆既月食では月は真っ暗にはならず、赤く光ることから皆既月食の連想させる意図をこめてつけました。

これが最終話の予定です。

途中のなれそめの部分は企画終了後にはなりますが、順次追加予定(時期未定、失踪の可能性あり)です。


感想等お待ちしております。


誤字報告、語句の誤用などの指摘はとてもありがたいので、是非お願いしたいのですが、文体はなるべく優しく、あくまでも優しくお願い申し上げます。

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