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特訓

「神威よ。今日からお主も桜華流を覚えてもらうぞ」


デートの次の日だってのに、いきなり何?

椿がいきなり変なことを言い出した今日この頃、オレは朝からジャージ姿で庭に立たされていた。


「妾は考えたのじゃ、今の妾がお主の身体を操るだけの桜華流よりも、お主自身が身をもって覚えた桜華流とシンクロした方がより強い技となるとな」


目の前の椿はいつもの袴姿ではなく、白いシャツにピンクのジャージを羽織る姿になっていた。

あれ、沙耶のじゃね?


「聞いておるか?」


「oh YES!!!」


オレは、最高の笑顔でサムズアップをして見せた。


「では、今妾が言ったことを復唱してみよ」


「ご主人様には今日一日ゴロゴロしてもらって「1文字もあっとらんので今からこの庭10周ほど全力ダッシュじゃ」Why!!?」


早速朝から、椿に全力ダッシュを命じられてしまった。何が間違っていたのだろうか。


「ゼェ!ハァ!」


「ようし、では話しを戻すぞ」


既に虫の息のオレにこれ以上何をさせようって言うんですか!!?

オレはうつ伏せになったまま、顔だけを上げて椿を見上げる。


「何じゃ?」


「いや、お前、白いシャツの下にそんな青色のブラは透けて見え「地獄に落ちよ!!」アヴェシ!!!」


顔を踏まれてしまった。痛い!チョー痛い!


「とにかく聞かぬか!桜華流の底上げするにはお主の実力の底上げも必要なのじゃ」


「へ…ヘイ」


「ご主人がんばれー」


「おにぃ、なんか知らないけど頑張ってねぇ〜」


2階のベランダから、ういはと沙耶がオレの事を応援してくれてる。嬉しいけど恥ずかしいぜ。


「なんかやらかしたらまたお母さんに報告する準備できてるからぁ〜」


沙耶のは応援じゃなくて見張りでした。


「とりあえずホレ、これを持たぬか」


椿が、木刀の1本をオレに投げ渡してきた。おっと懐かしい、中学の頃の修学旅行で買ったやつじゃないか。


「というか、何故木刀が3本もあるのじゃ?」


椿はもう一本の木刀を手に持ち、更にもう一本引っ張り出してきてオレに問いかけてくる。


「フッ、知れたことを、貸してみな」


「?」


オレは椿から残る2本の木刀を受け取り、1つは口に加えて残る2本を両手に持った。いわゆる例の麦わらの一味の戦闘員の戦闘スタイルよ。


「いよ、こえがひゃんとぉりゅうよ(見ろ、コレが三刀流よ)」


スタスタスタ


椿が、早歩きでオレの下に歩いてくる。


「?」


トン


「あぁぁぁぁぁぁ!!!!?」


椿のやつ、オレの咥えた木刀に強めのチョップをかましてきやがった!!!?


「歯がぁ!!オレの歯がぁぁぁ!!!」


「阿呆な事しとらんと先に進むぞ」


お前が何で3本あるのって聞いてきたんじゃん!!?


「ご主人だいじょーぶかなぁ」


「何やってんだか、あのバカ兄は」


ベランダにいるふたりは、そんな姿のオレ達を見学しながらそれぞれ違う思考になっているようだ。


「さて、今回は初回じゃ、軽い運動と今まで使った技のみ型を覚えるとしようかのぅ」


軽い運動か、なら安心「まずはランニング20キロからじゃな」は?


なんか恐ろしい言葉が聞こえてきたんですけど?


「この庭をぐるぐるまわるだけでも、表を走ってくるのでも、どちらでも良いぞ」


ちょっ…まっ…え?ガチなやつ?


「その後、腕立て500回にスクワット300回、腹筋と背筋を…まぁこれは200回程でよいじゃろう。それが終わったら枝垂桜と花椿、彼岸花、あと鬼椿の型を覚えるぞ」


「おさらば!!!」


逃げ出そうとしたオレを、椿は木刀でオレの首元の襟に引っ掛けてオレごと振り回す。


「あぁぁぁぁぁぁ!!」


ドスッ


そして、地面にひれ伏せられて上に座られ逃げられなくされてしまった。

なんという手際の良さ!!!これも桜華流なのか!!?


「逃がしはせぬぞ?ちゃぁんとこなしてもらうからのぉ」


「いやぁぁぁぁ!!!!」


「お姉ちゃんすごーい!!」


「椿姉って結構スパルタなんだね」


そこの2人、感心してないで助けてくんない!!?


全ての運動が終わる頃、オレはほぼ廃人と化していた。


「まったく、情けないのぉ、まだ軽い運動が終わったところじゃろうが」


「軽くない!!!絶対!決して!誰がなんと言おうと軽くないぞ!!!」


「おーおー、まだまだ元気じゃのう、これなら次の型の稽古も楽々じゃな」


「それとこれとは違っ…いや、ちょっ木刀で襟を引っ掛けるな、無理やり立たせるな、構えを取らせるなぁ!!!」


こいつ、木刀1つでなんでも出来すぎじゃない!!?何で木刀1本でオレの身体操れてんのよ!!!


「ゆくぞ神威よ!まずは枝垂桜じゃ!」


「だから木刀で器用に操るなぁぁぁ!!!」


それからオレは、日が暮れて夕飯が出来上がるまで、一日中椿にしごかれ続けた。


「毎週日曜日は必ずやるぞ」


「殺す気か!!!」


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