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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

別の世界ではただの日常です

バトルロイヤル

作者: 茅野榛人

「おい、なんだあれ」

「こっち来るぞ!」

「伏せろ!!」

「速報です、T県R市のN公園に正体不明の飛行物体が墜落しました。この墜落による負傷者の情報は、今のところは入っておりません」

「おい見ろよ、煙の中からなんか出て来たぞ!」

「なんだあいつ、どう見ても人間の姿じゃないぞ」

「う、宇宙人だ!!」

「そうです、私が宇宙人です」

「正確には、あなた方人間が宇宙人と呼んでいる存在です」

「な、何しに来た……」

「今からあなた方人間には、バトルロイヤルを行ってもらいます」

「は?」

「いや、さっき言ったとおりです」

「今からあなた方にはバトルロイヤル……いや、殺し合いと言った方が分かりやすいでしょうか」

「殺し合い……だと?」

「そうです、殺し合いです」

「殺し合いって、俺たちが、武器をもって殺し合うってことか?」

「何度も言わせないでください、私だって、何回も殺し合いなんて言葉は言いたくありません」

「おい、早くハッキングしろ」

「あー、あー、マイクテスト、テステス、ゴホン」

「おいそんなにしなくていいから、ストーム班も準備しとけよ」

「り」

「人間の皆様、今から皆様にはバトルロイヤルを行ってもらいます」

「ルールは単純です、武器を持ち、人間が最後の一人になるまで、倒せる人間を倒し続けるだけ」

「どんな武器でも結構です、そしてたった今ブラジルでストームを発生させました、このストームはこの宇宙船の落下地点まで迫ります、健闘を祈ります」

「馬鹿馬鹿しい、第一アイツらの目的が分からん、まず目的をちゃんと説明してみんなを納得させ……」

「さらに速報です、たった今ブラジルで赤色の嵐が発生した模様です!さらに嵐に巻き込まれた人が次々と胸を抑えて倒れているそうです!!」

「さらに情報が入ってきました、こちらの映像をご覧ください。こちらの映像は現在の地球の様子を写した映像です。ブラジルから発生した赤色の嵐が少しづつ地球を飲み込んでいるということです。このスピードだと、どうやら翌日の日の出までには地球を完全に飲み込んでしまうとのことです!」

 ドン!バリーン!ガシャーン!

 ……馬鹿だ。

 グス!スパ!ドス!

 地球上の人間はみんな馬鹿だ。

 バン!ドン!ドドドドドドドド!

 指示されたことしかできない馬鹿だ。

 俺は慌てふためくリポーターを映し出すテレビに水晶玉を投げつけた。

 いつからだろうか、周りの人間がつまらない指示待ち人間になったのは。

 俺は他人に指示されるのが嫌いだ。今日という今日まで、常に一匹狼な性格を貫き通してきた。俺以外の人間が言う言葉は、俺にとって間違っているからだ。これ以上間違った言葉をいちいち訂正したくない。だから俺以外の人間の言葉は、たとえ重大な命令であろうと跳ね飛ばしてきた。

 何度も反感を買った。しかし後悔はしていない。事実、こうして地球上の人間達は普通に生きているではないか。

 やはり、俺は正しいことだけを発言して生きてきた。

 しかし今日、俺は初めて他人の意見に肯定する。

 他人と言っても、地球外生命体だ。やはり地球の人間の発言、発想は間違いだらけなのだ。

 俺は棚の引き出しに眠っていた銃と銃弾を持ち、戦場と化した地上へ赴いた。

 スポーツが好きだった俺は、何人もの人を撃ち、蹴り飛ばした。想像以上に負った傷は少なかった。

 俺は正しい、いや俺が正しい、そう言い聞かせながら俺は戦った。

 気が付くとあと少しで日の出の時間だ。

 ストームはブラジルから日本にたどり着き、俺はN公園に導かれた。

 残り数人しかいない平野、もうすぐで決着がつく頃だと思ったその時、誰かが手榴弾を投げてきた。

 あまりの爆風に、俺を含め平野の人々は吹き飛ばされた。ストームの中に飛ばされ悶え苦しむ人、手榴弾の部品が体中に刺さり倒れる人、かなりの高さを飛び、地面に叩きつけられ血を吐く人、意識を失う直前に見えた光景は、この世の地獄だった。


 目が覚めると、辺りに生きている人は誰も居なかった。

 俺の勝ちだ。そう思い込んだ瞬間だった。

 ズバ!

 俺の右手に激痛が走った。

 恐る恐る見てみると、右手の指が全て落ちていた。

 後ろを振り返ると、迷彩服を着た筋肉質な男が立っていた。かなり武装していたことから、おそらくこの男が手榴弾を投げたのだろう。

「あと一人だ、最後まで生きれたお前の、最期の言葉を聞かせろ」

「ああ、でも最期の言葉を残すのは俺じゃなくて、あんたじゃないのか?」

「いいやお前だ、十つ数えてやる、数え終えるまでに言え」

「……」

 俺は勝利を確信した、実は俺の左手袖に銃を隠し持っていたことを思い出したからだ。

 ヒヤヒヤさせやがって、だけど俺の勝ちだ。

 カチャ……

 カチャ……カチャ……カチャ……

 俺は絶望した。

 弾が切れていた。激しい乱闘で、ありったけの弾を全て撃ってしまっていたのだ。

 冷汗が滴り落ち、全身の血の気が引いた。

 ここまで来たのに、こんなあっさりと散ってしまうと思うと、情けなかった。

「八つ、九つ、十つ……撃て!!」

 俺はそっと目をつむった。

「……おい何してる!早く撃て!!」

 俺はまだ生きていた。

 状況が理解できないが、何か手違いが発生したに違いない。

 少し考えて、あることに気が付いた。

 男が十つ数え終わった後、男が直接手を下してくるかと思いきや、撃てと叫んだということだ。

「まさか、この平野の茂みに紛れて……」

 辺りをよく目を凝らして見渡してみると、男と同じ迷彩服を着た人たちが何人も倒れていた。

 俺は我慢できず、腹を抱えて爆笑した。

「君が、手榴弾投げたのに、なんで……ハハハハハ!」

「……」

 男はサバイバルナイフを取り出して襲いかかってきた。

 俺は真剣白刃取りをかまし、男を地面に叩きつけながらナイフを奪い、間髪入れずに男の胸にナイフを突き立てた。

「おめでとうございます、あと少しでこちらに船が来ますから、少しお休みください」

 今度こそ本当に勝った。

 僕は嬉しさと疲れを同時に味わい、とても複雑な気持ちだった。

 宇宙人には感謝しかない。間違いだらけの、性根の腐った人間たちを、人間同士で始末してくれたのだから。

 しばらくして宇宙船が到着した。

「さあ、お乗りください、最後まで生き残ったあなたを、セカン星にお送りします」

「え、何?」

「そういえばまだ訳を教えていませんでしたね」

 俺は他の宇宙人に右手の手当をしてもらいながら話を聞いた。

「実は私たちの住む星の系列にある、セカン星の文明を発達させようという事になりまして、なぜ文明が突然進まなくなったのかと原因を調査すると、原因は男の消滅だったんです」

「男の消滅……でも俺は人間だ。そのセカン星の生物とはまるで関係ないぞ」

「いいえ、実はセカン星には地球に住む人間と同じ人間がいるんですよ。しかし食料調達中の事故により、男が全員死んでしまったのです」

「色々分かった。ただ一つだけ聞かせてくれ」

「なんでしょうか」

「そのセカン星には、動物はいるのか」

「一応いることはいますが、よほどの体力や度胸がない限り、とても捕まえることはできません」

「そうか、だからバトルロイヤルをさせたのか」

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