ヲタッキーズ101 人間補完計画
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル第101話「人間補完計画」。さて、今回は記者失踪の取材を受けたハッカーが襲撃されます。
背後に再開発をめぐりデベロッパーが雇ったレオタード地上げ団の存在が浮上、ヲタッキーズは対決を迫られますが…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 狙われたハッカー
アキバ発の巨大メディア"ワラッタ・ワールドワイド・メディア"のニュースショーが始まる。美貌のアンカーが語る。
「パニィ・パクス記者の失踪から約1週間が経ちました。しかし、万世橋警察署の懸命の捜査にも関わらズ、パニィの失踪は未だ謎のママです。一方"リアルの裂け目"から生じる時空の歪みに消えた可能性もあるコトから、南秋葉原条約機構が捜索に乗り出しました…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
いや、SATOは僕達"ヲタッキーズ"に丸投げしただけだw
「やれやれ。スーパーヒロインの世界まで下請け構造とはwラギィ、被害者の車が見つかったンだって?何処?」
「あら。テリィたんが来たの?ヲタッキーズは、スーパーヒロインは出さズにヲタクで済まそうって腹?あっちの街灯の下の青いSUV。目撃者の話だと、2日前からココに被害者の車があったって」
「防犯カメラによると、火曜の朝10時8分から駐車です」
現場で万世橋警察署のラギィ警部と落ち合う。
馴染みの若い刑事が、抜かりなく情報を補足。
「その時、パニィは1人?」
「画像では1人でした」
「ふーん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「…では、ココでSATOの顧問である天才ハッカーのスピアさんに伺います。スピア、この事件にも貴女が協力をしてるの?」
「え。私からは何も話せナイわ」
「捜査指揮は、史上最年少で首相官邸アドバイザーにも就任した超天才のルイナさん。スピア、貴女は彼女が心を許す唯一の相棒なのょね?」
ニュースショーの画面は、ストリート育ちで、天才かどうかは微妙だけど、ハッカーのスピアのインタビューに変わる。
「YES。モチロン、腕利き数学系コンサルタントである私も真相究明には協力を惜しまないつもりょ」
「ハッカーの貴女がどんな方法で捜査に協力を?」
「失踪事件は、種々の数式で分析が可能なの。今回、パニィさんの車が見つかったけど、交通量のパターンから逃走経路を推定するコトが…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再び現場。
「近所のモールの従業員は誰もパニィを見てないそうです」
「モールに入る姿も防犯カメラには写っていません」
「うーんモールに用がナイ人はココに停めちゃダメだな」
すると、ラギィはフランス人みたいに肩をスボめる。
「今、確かなコトは、パニィは火曜の朝10時8分にココに来て、車を止めて…」
「消えた」←
「謎だらけだ。彼女にはたくさん"敵"がいたんだろーね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、美貌のアンカーにノセられスピアは絶好調w
「もし、パニィに敵対スル存在がイルとすれば、その脅威度も分析は可能です。ただし、もっと情報が必要ですが」
「なるほど。どーやら、スピアの存在が捜索の成否を大きく左右しそうね」
「何とかして見つけ出したい。その一心です」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
御屋敷のバックヤードをスチームパンク風に改装したらヤタラ居心地が良くなり、僕を含む常連達が居座って困ってるw
僕は第3新東京電力のサラリーマンで、宇宙に単身赴任中。週末だけ御屋敷でノンビリと思ったら侃侃諤諤の議論中だw
「あのインタビュー、マズいだろ。スピア、捜査内容をメディアにペラペラ話すナンて言語道断だょ」
「でも、対外秘は何も漏らしてナイわ」
「でも、SATOはそうは思わナイ。今頃、スピアはペルソナ・ノン・グラータさ」
みるみる悲しげな顔になるスピア。
「"好ましからざる人物"?…ゴメンナサイ」
「誰に謝ってンだょ?」
「ソンな!」
突然、お出掛けするスピア。
ミユリさんが呼び止めるw
「待って。何処へ逝くの?」
「ルイナのラボ。昼間やり残した仕事がアルし」
「ねぇ"今日のカクテル"を飲んでから逝けば?」
スピアは去り、メイド長のミユリさんが常連達を睨む。
「言葉に気をつけて。乙女の心は繊細ょヲタクでも」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
真夜中のパーツ通り。雑多な中小ビルが立ち並ぶ通りに、人影は皆無だ。愛用のPCを胸にSATO司令部へと急ぐスピア。
あ、ルイナのラボは警備の都合でSATOに併設してルンだ。
「え。何なの?」
背後から近づくスケートボーダーがいる。振り向くとヘルメットに付けたライトで照らされるwコレは…パッシングか?
「照らしてくれてどうも。お先にどーぞ」
ところが、距離をとってスケボーもピタリと止まる。
「な、何なの?ストーカー?」
スピアが歩き出すとスケボーもついてくる。試しに無人の通りをジグザグに歩くと、スケボーもジグザグについてくるw
「誰?助けて!」
気味が悪くなり、コンビニに飛び込む!
第2章 非対称な脅威
ルイナのラボ。ただし、翌朝。
「え。スピア、昨夜はラボのソファで寝たの?」
「あ、ルイナ。お願いがアルの。フィッシャーの脅威度分析、貸してくれない?」
「構わないけど…スピアが専門書を読むとは思えないンだけど、どーしたの?手伝おうか?」
史上最年少の官邸アドバイザーで超天才のルイナは、車椅子にゴスロリがトレードマーク。スピアを親友だと思ってるw
「違うの。実は昨夜…ストーカーに追い回されて」
「え。ストーカー?何処で?ってか、何で?末広町駅で誰かの脚を踏んじゃったとか?レイカ司令官に頼んで、私の護衛部隊を回してもらう?」
「まさか…でも、ぎゃ!こんな時間?捜査本部に顔を出さなきゃ!」
実は、国民的資産である超天才ルイナの外出には、特殊部隊の護衛がつく。レイカは沈着冷静なSATOの最高司令官だ。
「あぁまたテリィたんに怒られちゃう!」
「ど、どーしたの?テリィたんなら、先にミユリ姉様に話を通しておけばOKょ。言いなりだから」←
「ソレが…ホラ、私はテリィたんの"元カノ会"の会長だから!」
愛用PCを片手にラボを飛び出して逝く。
1人取り残され、呆気にとられるルイナ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋に捜査本部が立ち上がる。
「…腐女子がスーパーヒロインに覚醒する"覚醒剤"。秋葉原の全薬局は否定しますが、今や腐女子への投薬の半数が別の薬か、期限切れの薬です。死亡も懸念される重大な薬害が、この東秋葉原の地から広まっています!」
本部のモニターで力説スルのは失踪したパニィだ。"ワラッタ・ワールドワイド・メディア"のニュースショーの録画。
「画像を止めて。彼女は硬派の記者で、この6年で半島マフィア、秋葉原特別区の汚職役人、我が社の悪徳警官などを追って来た…何?テリィたん」
「やれやれ。周り中が敵だらけの人生ナンだね」
「YES。ざっと28の企業や個人に動機がアル。収監、巨額の罰金刑、懲戒免職への報復って感じ?憎しみの度合いは…みんな甲乙つけ難いわ」
ココでスピアが転がり込んで来るw
「大丈夫。絞り込めると思うわ」
「あら。スピア、TVでも安請け合いしてたわね」
「他にも色々請け合ってたな」
あ、マズいと思えど、ついラギィの尻馬に乗った僕はバカ←
「ヒドい、テリィたんまで。ソンな…」
「待って。フィッシャーの"非対称脅威度判定"を使えば、脅威だけでなく、それぞれの動機の強さまで計算出来るわ」
「ルイナ?」
ラボからアプリを使って捜査会議に割り込むルイナ。
「でも、動機は全部同じで"報復"だろ?」
「YES。確かにそうだけど、報復への思いの"強さ"は、それぞれ微妙に違うの。お祭りの射的を思い出して。"非対称脅威度判定"なら、的に当たったコルク弾のように、容疑者の動機の強さを測定出来る。この場合、動機の内容は関係ナイ。限界を超えるまで執念を萌やした者だけが犯行に及ぶ。つまり、パニィに危害を加えたい者は、彼女の存在を心底恐れている者ってコトになるわ」
「なるほど。で、ソレは誰?」
ゴスロリに車椅子の超天才はニッコリ笑う。
「ソレをスピアに計算してもらうの」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「9/16を頂戴」
「え。何ゴト?」
「ダメょ。テリィたん、今までポンプの異常音に気づかなかったの?」
趣味とインテリアを兼ね"潜り酒場"で水草アクアリウムをやってルンだが、知らないインド系美女がポンプを修理中w
「気づいてたけど忙しくて…ってか、ドチラ様?」
「プリカ・ヨプラ。アキバ工科大学の終身教授」
「…に水槽を修理させてるの、メイド長?」
カウンターの中のミユリさんは、肩をスボめて笑ってるw
「まぁまぁ。教授会でルイナから話を聞いて、私の方から買って出たの。タダのエンジニアリングが好きな機械ヲタクです。よろしくね。で、ベアリングがイカれてるわ」
「そ、そうナンだ?交換出来るかな」
「出来るけど…買い換えた方が早いカモ。このポンプ、古いから電気も食うし。ついでに、この御屋敷もエネルギーシステムとして設計し直した方が良いと思うわ。色々節約出来るし、地球にも優しい」
やや?眼鏡をとるとAV即OKの高身長&超絶グラマー美女w
「SDGsならもう取り組んでる。街でSUVを見かけたらタイヤを切るコトにしてルンだ!」←
「あら、ヲタクに似合わず、ラジカルなのね。環境テロリスト?」
「逆だ。環境テロリストの87%はSUVを好む傾向にアル」
メタル眼鏡の奥で、プリカの瞳が愉快そうに笑う。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"ワラッタ・ワールドワイド・メディア"本社タワー37F。
「パニィは、会社にはほとんど来てないわ」
「仕事はどーしてたの?」
「ほとんどリモートだったし」
失踪したパニィのオフィスを訪れるメイド服の2名は、ヲタッキーズの妖精担当のマリレとロケットガールのエアリだ。
「パパラッチ系の記者って、基本的に秘密主義で、取材中も単独行動が多かった。特に特ダネを狙う直前はね」
「彼女は…パパラッチなの?」
「YES。社会派記者で売り出したけど、本質的には…パパラッチだった」
整理整頓されたオフィスは、パパラッチには見えないが…
「パニィがプライベートで親しくしてた人は?」
「知らない。一匹狼で完璧なプロ。それがパニィ・パクス。人に好かれようともしてなかったわ」
「このマグカップ、航自の宇宙作戦群?」
デスクに置かれた、恐らく愛用のマグを手に取るマリレ。
「弟さんがね。作戦中に事故に遭われ死亡」
「彼女は、PCは使わないの?」
「セキュリティを信用してなかった。基本的に手書き」
ソレで仕事が回るのか?
「アナログなのね」
「では、こっちも負けズにアナログでやりましょう。デスクマットにペンの筆圧による凹みがアルわ」
「万世橋の鑑識なら読めるカモ。OK?」
案内してくれたパニィの上司はうなずき、不安げに尋ねる。
「それで…彼女は生きてると思う?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ルイナのラボ。
「後から驚かしたいけどワッ!って。でも、そんな雰囲気じゃなさそうね」
「あ、ルイナ。お気遣いどうも」
「フィッシャーの脅威評価をやってるのね?大丈夫?」
ルイナは、スピアのPC画面に並ぶ数式をチェックする。
「例の記者の失踪事件を再計算しているトコロょ」
「 28?nの値が大きいわね。n=28?」
「ソレだけ、敵が多いってコトなんだけど」
スピアの目が血走っている。話題を変えるルイナ。
「プリカがミユリ姉様の御屋敷を壊してルンだって?」
「よくわからないけど、エコ仕様にスルとかなんとか言ってるそーょ。誰なの彼女?」
「実は、官邸筋からのリクエストでテリィたんに引き合わせたンだけど…テリィたんとはどう?本人は環境テロリスト同士で気が合うって喜んでたけど…」
ココで傍らのタブレットから電子音。計算終了だ。
結果を捜査本部に持ち込もうとPCを閉じるスピア。
「さ。計算結果をテリィたんに渡さなきゃ」
「一緒に行こうか?」
「ううん。大丈夫」
スピアは、自分に逝い聞かせるように。
「きっと大丈夫だから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。捜査員に混ざり2名のメイドが作業中。
「マリレ、駐車場の監視カメラ画像?」
「YES。当日の全車両をチェックしてるの。ナンバーもチェックしてみた」
「大量過ぎるでしょ?」
メイド服のマリレに話しかけるのは、ラギィ警部だ。
「でも、この中にパニィを誘拐した車が潜んでるカモしれないわ」
「ラギィ。鑑識さん達がデスクマットに付いた筆圧痕の読み取りに成功したって」
「ウチの鑑識が?我が署ながら天晴れ!有力な手がかりゲットね!で、パニィは失踪スル前に何を描き残してたの?」
あ、関係ナイがヲタッキーズのマリレはノイズバー、エアリは図書館カフェのそれぞれメイド長で捜査中もメイド服だw
「ソレが…面白いコトに数字ばかりなの。2ページにわたってビッシリ。何かの暗号だと思う。ルイナに解読してもらうつもり」
「エアリ、失踪事件って大抵は夫や元夫、仲違いした恋人とか、個人的な恨みを持つ者が起こすのょ」
「パニィは孤独を愛する女スナフキン。付き合ってた相手とかは、特にいなかったみたい」
エアリの言葉に頭をヒネるラギィ。
ソレを見たエアリはスマホを抜く。
「スピア。今どこ?調べて欲しい数値がアルの」
「分析が終わったから、ソッチに向かってるトコロ」
「え。結果は?」
神田明神通りを万世橋へと向かうスピアが応答。
「"脅威"はなかったわ。誰にもね」
「マジ?回り中が敵だらけの人だったのに!今どこ?」
「…ちょっと待って。あっ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
スピアの背後からスケボーが追ってくるw
「もしもし?スピア、大丈夫?」
スピアは横道にそれ電柱の陰に身を隠す。目の前をスケボーが通過…ピタリと止まりコチラを振り返る。見つかったか?
「誰なの?!」
スピアが叫ぶと同時にスケボーは体当たり、路面に転がるスピアは四つん這いになりながらも、痴漢撃退ブザーをオン!
「この人、ヲタク!この人、ヲタク!この人…」
デジタルな絶叫が路地裏に響き渡る!
第3章 襲撃現場
痴漢?現場のハズが、規制線が張られてパトカーが2台もw
「大丈夫?スピア、お医者に診てもらう?」
「そうする。マジで痛いし」
「どんな奴だった?顔は見たの?」
突っ込むラギィ。まぁソレが仕事だから仕方ナイが…
「ううん。覆面レスラーみたいなマスクを被ってて…良く見えなかった。でも、ウェストひも付きのレオタードだったから、多分女子だと思う」
「3姉妹レオタード強盗界隈のネットやオフ会とかで、何か不審な人物とかいなかった?ホラ、あの前シリーズで暗躍してたハッカー集団はどう?貴女を何度もスク水公開処刑にしてた…」
「"サンクチュアリ"?彼等は今、全力でウクライダ戦争を戦ってる。スク水は…私が好きでやってたw」←
"サンクチュアリ"は、ダークウェブに潜む世界レベルの"超ハッカー集団"だ。彼等は"恥"を通貨として行動スル。
「実は…昨夜も同じ"覆面スケボー"に追跡されたの」
「え。ナゼ黙ってたの?」
「インタビューされた件で、みんなを怒らせた後だったから、私、何も言えなかった」←
がちょーん。こりゃ常連達にお灸据えなきゃ(メイド長がw)。
「スピア。何でも逝ってくれょ。君は僕の大切な"元カノ会"の会長じゃないか」←
「マジ?わかったわ!スケボーのデッキを黄色と翠で装飾。多分ブランドは"クリーチャー"」
「ありがとう、スピア。テリィたん、例の駐車場のカメラ画像だと、パニィが来た数分後に覆面スケボーが駐車場を出て行くンだけど、奴のデッキが多分"クリーチャー"」
何なんだ?突然(痴漢のw)重要情報をスラスラ語り出すスピアもスピアだがヤタラ敏感に反応するマリレもケシカランw
「覆面スケボーは、パニィの失踪にワケありか。しかし、何でスピアを襲うのかな?」
「"ワラッタ・ワールドワイド・メディア"のニュースショーを見たンでしょう。スピアは、失踪問題のキーパーソンとして紹介されてたから」
「今どきメディアを信じるヲタクとは激レアだ」
ラギィ警部から重い発言。
「どちらにせょスピアには24時間警護が必要ね。ミユリ、ヲタッキーズの方でやってくれる?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
SATO司令部に併設されているルイナのラボ。
マリレが入って来てルイナを身体検査スル←
マリレのOKサインでスピアが入って来るw
「バカげてるわ!ココはルイナのラボなのょ!」
「クスクス。ついに私も自分のラボでペルソナ・ノン・グラータなワケね?私は、構わないわょスピア」
「ルイナ、ゴメンね。スピアに何かあったら、ラギィに殺されちゃうわ。頼むから仕事させてね」
そう断りながら、なおもラボの中をチェックするマリレw
「で、パニィのオフィスで見つかった数字は、いつ見せてくれるの?それとも…そもそも、まだ続けるつもりなの?」
「どーゆーコト?」
「だって、スピア。貴女、命を狙われたのょ?この仕事から手を引いて、ホトボリが冷めるまでゲーム三昧でも構わないけど(どーせ脅威分析ヤルのは私だしw)」
スピアは、ルイナに深々と頭を下げる。
「お願い。この数字の意味を解読して。私は、逃げない。テリィたんと約束したから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パニィのマンションをミユリさんとエアリが訪問。
「パニィの弟さんは、3年前に不統一教会の爆弾テロで死亡してる。唯一の家族を失ったらしい」
「そーなの。自宅に仕事を持ち帰った形跡はナイわね。エアリ、捜査本部に戻る?」
「ミユリ姉様。私、もう少しいます。何か見落としてる気がして」
ミユリさんは、室内をもう1度眺め回す。
「そぉ。じゃ後でね」
エアリは、デスクの引き出しからNGシーンのUSBを見つけ近くのPCで再生スル。パニィのNGシーンの画像が流れる。
「ねぇ用意は?ピントはどーなの?前回のは甘かったわょ…12月、ヤヌダ判事は、未だ公判中に被告の妻デルラを誘って…」
突然、ソコでケラケラ笑い出すパニィ。
「ごめーん。デルラじゃなくてデララだったわ。もう一度やらせて!」
屈託のない笑顔が弾ける。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再びルイナのラボなんだけど、スゴいグラマラスな来客が…
「ルイナ!見て、最新の業務用の光起電力…ぎゃ!」
太陽光パネルを片手に入って来たインド美女は、マリレに呼び止められ身体検査…絶品ボディにタッチしまくるマリレw
「キャー!何なの?このメイドさん。ナンなら脱ぐけど私、脱いだらホントにスゴいんだから!」
「あ、その人は…マリレ、私がラボを出て話すわ。そのパネルもよく見てみたいし。例の宇宙発電パネルを民生用に転換したタイプょね?」
「いいえ。軍用モデル」←
車椅子のルイナがラボを出ると、今度はルイナの護衛部隊が一斉に色めき立ち車椅子を特殊部隊が取り囲み無線が飛ぶw
「"ゴーカート"は、ラボ外へ移動」
「ちょっと!"ゴーカート"って誰ょ?もっと可愛いコードはナイの?」
「ルイナ。貴女のコードは6時間毎に変わルンだ」
ルイナが護衛隊長に食ってかかる…件のインド女子はプリカ終身教授ナンだが、彼女はこの状況を大らかに受け止める。
「みんなスゴいのねぇ。でも、私はボディガードならテリィたんに頼みたいわ。あの"包容力のあるボンヤリした感じ"が安心出来る。ソレに私達、テロリスト同士で気が合うの…彼も私の"谷間"を気にしてたみたいょ」←
「あちゃー。ダメダメ。テリィたんは、貴女が行った御屋敷でメイド長をやってるミユリ姉様のTOなの。だから、気持ちを少し控えめにしてもらえると助かるわ」
「え。ジョーク?"ツルペタ推し"?負けないわ!」←
豪快に笑い飛ばすプリカ…だったが急に真面目な顔で…
「ねぇ冗談ょね?」
「ホントょ。ガンジス川の夕陽に誓うわ」
「…わ、わかった。ゴメンナサイ。あんなヲタクと付き合えるとは幸運なメイドね。ゼヒ頑張って欲しいわ!」
その時、誰かがフロアにバインダーを落とす…バタン!
「キャー!何ゴト?」
「ぎゃ!ぎゃ!むぎゅう…」
「マリレ!何なの?」
元首相の国葬直後だけに、ラボの外では特殊部隊の全員がルイナに、中ではマリレがスピアにドッチャリ覆いかぶさるw
「どいて!重いわ!何度言えばワカルの?」
「平気だって言ってるでしょ!」
「"ゴーカート"を確保。繰り返す"ゴーカート"確保!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"潜り酒場"でミユリさんをからかってたら、ミユリさんのスマホを経由して、ルイナが会話アプリで話しかけて来る。
「やぁルイナ。スピアは無事か?」
「うん。マリレが護衛してる…ねぇテリィたん、あ、ミユリ姉様も。今回の事件、スピアに手を引かせたいの」
「スピアの身の安全のためか?でも、スピアもストリート育ちだし、心配しなくても自分の身は自分で守るさ」
スマホの画面の中でルイナは、首を横に振る。
「そーじゃナイの。ほら、スピアはスピアなりにハッカーとしての才能があるワケでしょ?」
「その才能を彼女が無駄にしてるとでも?」
「うーん難しいトコロだけど…」
ルイナは、スピアの将来を心配しているのだ。
「自分が何のヲタクになるかは、自分にしか決められない。僕には、スピアはルイナとコラボするのを楽しんでるように見えるけど」
「そーかな。ミユリ姉様はどう思う?」
「(珍しくw)テリィ様と同意見ょ。スピアが毎日、自分の才能を無駄遣いしてるとは思えないわ…もしかして、ルイナ。貴女、自分のコトを逝ってるの?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パニィのマンション。郵便が配達されエアリが見ると電気料金の請求書が2通アル。口座振替にしないとはパニィぽい。
スマホを抜くエアリ。
「はい。ミユリです」
「姉様!パニィ宛の電気料金の請求書が2通来ました。その内1通は、請求先はココですが、契約先は神田リバー沿いの倉庫街です。もしかしたら、パニィの隠しオフィスがアルのカモ」
「住所を教えて。テリィ様と逝ってみるわ」
住所は、神田佐久間河岸町819の104号室。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
現場にはエアリが先行。何と目の前でレオタード姿の強盗団が、手に手に箱やPCを持ち、スケボーで滑走するトコロw
「ソレも忘れないで。さぁズラかるわょ!」
「ヲタッキーズよっ!動かないで!」
「え。やっちまえ!」
何処かで見覚えのアル3姉妹レオタード強盗団だが、三女?が箱を放り出し、肩に担いでいた突撃銃で周囲を掃射スルw
「何なの?突撃銃型の音波銃?聞いてナイわ!」
エアリも音波銃を抜き三女?を撃ち倒すが突撃銃を拾った次女?が乱射!身動き出来なくなるwソコへ蒼い電光が一閃!
ボンッ!
ムーンライトセレナーダーの"雷キネシス"だ!瞬時に萌え上がる次女?を長女?が抱き抱え、スケボーで急発進スルw
「何?あのレトロなウェストにヒモ付きのレオタード?」
「ミユリ姉様!恐らくアレは、キャッツア…」
「すっかりオバサンになったわね」←
第4章 彼女は副所長
「逃げたキャッツア…じゃなかった、レオタード強盗は2人ね。エアリが仕留めた三女?は?」
「死にました。もう1人は、ムーンライトセレナーダーの"雷キネシス"をモロに食って黒焦げ」
「とりあえず、死体を確認しましょう…エアリ、平気?」
エアリは負傷しながらも、三女が残した箱の中を漁ってるw
「危なかったけど何とか…しかし、彼女達は何を盗ったのでしょう?箱の中には、またまたビッシリと数字が描き込まれた便箋です」
「同じ暗号だわ。ルイナが解読中ょ…あら?リリヌ・テイラの記事の切り抜きがアルわ。ソレも大量に」
「あの大物デベロッパーのリリヌ・テイラですか?自称"不動産女王"の?」
悪徳不動産業者に関する雑誌や新聞の切り抜き集だ。
パニィは彼女を追い何かをスクープしようとしてた?
「姉様!コッチの写真は…コイツは、さっきのレオタード強盗団の長女です!」
UUX再開発ビルのペデストリアンデッキで、リリヌがレオタード強盗団の長女に何か耳打ちしてる(ように見えるw)。
「マリレ、確かなの?」
「YES。姉様、レオタード強盗はリリヌ・テイラと何か繋がりが…姉様、待って!何処行くの?」
「ちょっち御挨拶してくるわ」
エアリは泣きそうな顔で叫ぶw
「ヤメて。姉様みたいなスーパーヒロインには似合わないわ!私が行きます…ってか、テリィたんに行かせれば?」
ミユリさんは、フランス人みたいに肩をスボめる。
「テリィ様じゃ"ドス"が効かないわ」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"リリヌ・エステート"のヘッドオフィスは、中央通り沿いの高層タワーにアル。秘書や警備員を振り払って正面突破w
「広場の使い方がコレでは物足りないわ。大通りの…え。ムーンライトセレナーダー?モノホン?」
「ウチのハッカーに2度と近づかないで。OK?」
「な、何の用なの?会議中だけど」
リリヌ・テイラは、見事に太った中年女性で前話に登場のホテル王と似たテッペンに盆栽の乗った"帽子"を被ってるw
流行ってるのか?
「何なの?」
「この写真をよく見て。アンタといるのは、ウチのハッカーを襲った3姉妹レオタード強盗団の長女ょ」
「この女とは、UUXのペデストリアンデッキでスレ違っただけだわ」
ムーンライトセレナーダーが、リリヌを指差す。
その指先が微かに放電。まさか"雷キネシス"?
「とにかく、警告はしたから」
「ムーンライトセレナーダー。私は"リアルの裂け目"の向こう側で7才の時から不動産取引を始めた。次元マフィアや異次元人の組合、恐喝にも慣れッコょ。ヲタッキーズなんか怖くないわ」
「次は、蔵前橋(の重刑務所)にブチ込むから」
ドアを蹴り開け、ムーンライトセレナーダーは出て逝く。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パーツ通り地下数1000mにアルSATO司令部。
「私を襲った女がわかったの?!」
「この画像の女。どう?」
「うーん…よく見えなかったの。ゴメンナサイ」
コーヒーを飲みながら司令部に入って来たスピア。
メインスクリーンに映った画像を見て肩を落とす。
「謝るコトは無いわ」
「だけど、まさか死んだナンて…」
「私に発砲した。だから、彼女は死んだの」
スクリーン画像は、レオタード強盗団の三女。
「ムーンライトセレナーダー。レイカ司令官がお呼びです」
「え。また?さっき、お説教されて来たばかりょ?」
「やっぱリリヌ・テイラを脅したのはマズかったですね」
エアリがクスクス笑う。
「で、リリヌの情報、集めときました。神田リバーでレストランや映画館の入る複合施設の再開発を計画中です」
「あ。この前、オフィスにジオラマがあったわ」
「アキバ特別区にとっては、神田リバー沿いの荒廃地を再生し、一挙に税収源に変える"税の錬金術師"扱いで大歓迎されてます」
ムーンライトセレナーダーは大きく溜め息。
「やれやれ。特別区まで敵に回しそうwホント、錬金術はハガネだけにして欲しいわ」
「全くです。でも、パニィには真実が見えてた。彼女は、リリヌの手下に脅されて地上げされた旧住民達を丹念に取材しています」
「え。リリヌの手下って…まさか、再開発のために地上げ屋を雇ってるの?」
さらに、驚愕の事実w
「YES。しかも、地上げ屋は3人。いずれもレオタード姿だそうです。目下、プロジェクトは特別区の区画設定委員会の認可待ち。ところが、地上げの悪評を聞いた委員会は紛糾、意見が真っ二つに割れた。現在、審査を中断してます」
今回の事件の全貌が浮上スルw
「リリヌは、プロジェクトの息の根を止められると、今や戦々恐々なワケね」
「無茶な地上げが命取りでした。この時期にマスコミが悪事を暴いたりしたら…」
「認可は下りず、投下した資金が焦げついて破産?バブル後の不動産業者の大量絶滅を思い出すわ。将来"令和のレオタードバブル"と呼ばれたりして」
ムーンライトセレナーダーは軽率に発言するエアリを睨むw
「問題は、パニィが証拠をつかんでたか、どうかだわ」
「レオタード地上げ屋の長女とかね。彼女も何とかして捕まえなきゃ」
「いずれなぜょ、多分あの数字暗号が鍵だわ。スピアの解読作業はどーなってるの?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そのスピアは煮詰まってるw
「暗号解読、完全にお手上げだわwねぇルイナ、下降分析ってナンだっけ?も1度レクしてくれない?」
「あのね、スピア。ソレには、先ず自分が何を分析してるかの立ち位置を明らかにしないとダメょ」
「全てが再開発と関係があるハズ。例えば、投資家のリストとか…」
スピアは、ラボで脳内パンクし煮詰まり状態w
「ねぇスピア。私が方程式をみてあげようか?あの、その、フィッシャーの脅威分析って一夜漬けはムリだから」
「私は、行き詰まってない!とにかく、自分で解決したいの!」
「お?議論白熱?結構仮面だ」
認めよう。親父ギャグを黙ってられない僕はバカ←
「あ、テリィたん。今、スピアの忍耐と知力が試されているトコロょ」
「うるさいわね、ルイナ。テリィたん、捜査は進展してるの?」
「うん。例のレオタード強盗は、不動産女王の傭兵だった…何か手伝うコトある?」
超天才とハッカーは"貴方には無理"ビームを目から発射w
「あちょ。解決の助けにはナラナイだろうけど、きっとパニィは、大事な数字だから必死で描いたンだと思うょ」
「何でソンなコトがわかるの?まるで彼女のコトを知ってるみたい…まさか、(また)元カノ?」
「元カノ会の会長はスピアだろ?会長の知らない元カノって…隠れ元カノ?萌えるな」←
話がヤバくなった頃に再びラボにインドから来客だ。
「環境テロリストのテリィたん、ココにいるってレイカから聞いたけど」
プリカ?しかし、スゴい胸だなwスイカでも入ってるのか?
「ナ、ナンか用?アクアリウムのポンプが直ったとか?」
「とっくに直した。今日は、第6世代太陽パネルの売り込みに来たの。半導体量子ドットとナノ粒子がキメ手ょ。とりあえず、テリィたんのバックパックに付けてアゲルからスマホでも充電したら…」
「うるさい!静かにして!」
スピアが怒鳴って、顔を見合わす僕とプリカ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、万世橋の捜査本部。
「ラギィ警部!ヲタッキーズが射殺したレオタード強盗ですが ICPO のデータベースにヒットがありました。ラダラ・レイバ。世界中で3姉妹合わせて逮捕歴132回。保釈金の支払いは全て義姉のソニラ・レイバ」
「あらあら。いつから秋葉原に来てるの?」
「去年、神田リバー水上空港から入国。リバー沿いの安アパートの前に"クリーチャー"製の黄と翠のスケボーを確認」
ラギィ警部が立ち上がる。
「OK。挙げるわょ!ウチのSWATは?」
「準備完了です」
「相手がスーパーヒロインの可能性がアル。ヲタッキーズにも連絡して!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ターゲットは2階です」
アパートの外付け階段を拳銃を構えて上がるラギィ。
既に、ドアの左右にはSWAT隊員が張り付いている。
「裏口班?」
「いつでもどうぞ」
「3で突入。1, 2…万世橋警察署!万世橋警察署!」
特殊工具でドアの蝶番が飛び、完全武装のSWATがアパートに飛び込む!
ソファでコーヒーを飲んでたソニラが紙コップを放り投げ、裏口へ走るw
「そこまでだ!後ろを向いて膝をつけ!早く!」
裏のドアを開けるとヲタッキーズのマリレとエアリ。
観念して両手を頭の後ろで組んで、膝をつくソニラw
「警部。奥の部屋で真っ黒焦げの女が死んでます」
「次女のミリラ・レイバね?」
「黙秘スル。秋葉原の警察、怖くない」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
つまみ出された僕が、SATO司令部でプリカから新型太陽パネルのセールストークを聞かされている頃、ラボの中では…
「ダメょルイナ。私には出来ない」
「大丈夫。もう一度やろう。私も一緒に検算スルから。検算なら関わっても良いでしょ?計算品質の向上としては、古来から有力な手段だし」
「どーせ無駄ょ」
ルイナは、スピアの横に車椅子をつける。
「でも、パニィを救わなきゃ。今、諦めたら彼女を見捨てるコトになるわ」
「そんなコトは100も承知ょ!でも、出来ないの。頭がシビれて働かナイの。私、貴女みたいな超天才じゃないから。だから、もう放っておいて!」
「スピア…」
とうとうスピアはシクシク泣き出す。
スピアは、別室に移りスマホを抜く。
「もしもし。あ、ミユリ姉様?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部の取調室。
「黙秘ならムダ。アンタのためにならないわ」
「パニィが入った8分後に駐車場を出たでしょ?防犯カメラの画像がアルの。暗号書類を奪い、彼女を拉致した。そーょね?」
「ナーンだ。状況証拠ばかりじゃないの。私の留置は、せいぜい48時間ね?明日の朝までかしら」
フテブテしく開き直るソニラ。手こずるラギィ警部。
「あのね。実は、私はアンタなんかどーでも良いの。ターゲットは、あくまで黒幕のリリヌょ。どーせ私達は、全てを調べ上げる。そーしたら、もう貴女に死刑を逃れるチャンスはなくなるわ。取引材料がアルなら、アンタいつ歌うの?今でしょ」←
「死刑?私は誰も殺してナイわ」
「あら。パニィは未だ生きてるのね?」
ソニラは、しまったと唇を噛む。
「その調子。もっと気持ち良く歌って」
「ふん。最後に見た時はって話ょ。今も生きてるかはワカラナイ。神の味噌汁」
「…神のみぞ知る?流暢な割に日本語イマイチね。ま、世界をマタにかける強盗だから仕方ナイか…」
その瞬間、ヒラメくラギィ。
「わかった!アンタ達のミッションは、役所が再開発認可を下すまでパニィを拉致しておくコトなのね?何週間監禁しろと言われたの?監禁場所は?」
「彼女は…無事。でも、私が行かないと飯も食えなきゃ水も飲めナイ。トイレも垂れ流し。いつまでもつかしら」
「やっと良い取引が出来そうね。お望みは?」
完全にラギィのペースだ。さすが元"新橋鮫"。
「即時の釈放。そしたら、パニィの居場所を教える」
「無理」
「女が死んでも知らないわょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"リリヌ・エステート"のヘッドオフィス。
「またまた取締役会の最中に出没とは!ムーンライトセレナーダー、アンタってバカァ?」
「ソニラを逮捕したわ。ミリラとラダラを殺されて、自暴自棄になってる」
「あの3人は日本のアニヲタでコスプレ好きなだけ。共通項は泥棒だけで赤の他人ょ」
ホントの姉妹じゃなかったのかw
「で、次に会う時は、私を逮捕スルとか言ってたけど、何か証拠でも出たの?」
「いいえ。そのテッペンでタンポポが咲いてるハデな帽子を被りながら冷や汗かく顔を見に来ただけょ。だって、ソニラが見つかれば、誰が黒幕か直ぐに歌うでしょ?」
「ソレもコレも全部パニィが無事ならの話。やっぱり冷や汗をかくのはムーンライトセレナーダー、貴女の方だと思うけど」
ソコへミユリさんのスマホに着信。
「ムーンライトセレナーダー。取締役会なんだから、スマホは切ってょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
10分後。ムーンライトセレナーダーは、アキバで1番高いビルのテッペンにフワリと舞い降りる。スピアを抱いたママ。
「ミユリ姉様。ココで何を?」
「スピア。私が"リアルの裂け目"の影響でスーパーヒロインに覚醒した時、なぜ頑張れたと思う?」
「なぜって…スーパーヒロインになれてうれしかったんじゃナイの?」
強い風に吹き飛ばされそうになりながら、遥か眼下に関東平野を見下ろしながら、ヲタク女子のガールズトークが続く。
「スーパーヒロインと言えば聞こえは良いけど、つまり突然変異で"人"ではなくなったミュータント。もう私は"人"には戻れない」
「そんな…」
「でも、私は信じてた。私がどーなっても、テリィ様も、ラギィも、ルイナも…そして貴女も、絶対に私を見捨てないと知っていた」
ムーンライトセレナーダーは続けて語る。
「でもね、スピア。パニィには誰もいないの。何処かの暗闇で縛られ、監禁されている。私、どーしても彼女を助けに行ってあげたい」
「私だって力になりたい!でも、ホントに何も考えられないの!私を責めないで!」
「良くワカルわ。私も、スーパーヒロインに覚醒した時には悩んだ。もう"人"には戻れナイって。でも、ソレは間違いだった。ヲタクもスーパーヒロインも"人間"なの。ねぇ"人間"って何だと思う?人と人の間で生きる生き物のコトょ。ヲタクでもスーパーヒロインでも、人と人の間で生きれば"人間"になれるの。でも、そのためには頭の中で考えるだけではダメ。声に出すの。ソレも関東平野に響き渡るような、思い切り大きな声で洗いざらいを話すの。ねぇココならマスクを取っても良いわ。とにかく、いつまでも1人で平気なフリを続けていてはダメ」
ナゼか涙が込み上げて来るスピア。
「私、平気じゃナイわ。平気じゃナイけど…」
「だからこそ、話すの。怖くて当然なの。ちびったって恥じゃない。しかも、ココならどんなに大声で話しても誰にも聞かれない。だから、声に出して話して。そうしないと立ち直れなくなる」
「わかった。少し長くなるけど…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
長くナラナイ。10分後にはスピアはラボに戻る。愛用のジャージをハラリと床に落としてスク水になって本気出すw
「おかえり、スピア」
直ちに、車椅子の全速力でルイナが駆けつける。有無をいわさズ、スピアのアルゴリズムにビシバシと手を加えて逝く…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「わかった!不動産情報を暗号化したモノだった!10桁は、所有者番号。面積、区画、評価額を数字に置き換えてたの!」
捜査本部のモニターに、スピアの顔が大映りになって叫ぶ。
「え。スピア?な、何かあったの?ってか、公的記録なのになぜ暗号にスルの?」
「パニィは、数字が変だとは感じてたけど、きっと未だ何かわかってなかったンだわ」
「ラギィ警部。私から説明します」
超天才ルイナの説明が始まる。
「先ず、不動産の評価額は1件だけでするモノではありません。周辺の環境が関係しています。例えば、プールの水面に浮かぶコースロープにつないだブイ。あるブイを沈めようとすると、他のブイも隣から順番に沈むでしょ?同時に、周りの浮力で最初のブイにも浮き上がる力が働く。ソレと同じで、不動産の価値は、近隣不動産の価値に連動します」
「なるほど。で、パニィは何を変だと思ったのかしら?」
「多分リリヌは、不動産の査定額を操作したんだと思う。再開発スル土地の評価額を不当に下げた形跡がアル。つまり、さっきの例だと、繋がってる一連のブイを全部沈めたのね。ストリート育ちの私に思いつくのは、再開発委員会の不動産の査定員に特別なコネがアルとか」
ラギィの得意分野だw
「特別なコネ?例えば?査定員が買収されてるとか、脅迫されてるとか」
「YES。実は、ロリコンだとか女装趣味だとかの弱味を握られてるとかね。ソレで地上げの買収費を億円単位で節約出来ルンだから、トラップにかける費用に金の糸目はつけないでしょう」
「ソレをパニィが暴いたらタダじゃ済まなくなる。節約どころか投資が丸々焦げ付く。コレは立派な不動産詐欺だわ。さすがね、スピア」
スク水姿のスピアは力説スル。
「ロリコンも女装もヲタクにとっては正当な権利。コレは、私達ヲタク、そして、秋葉原への明確な挑戦でもアル。お願い、必ず犯人を捕まえて」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部は、事件解決マシンと化しフル回転に移行!
「黒幕は、リリヌ・テイラ。彼女が所有スル不動産で、パニィを監禁しておくのに適した場所は?」
「警部!リリヌが秋葉原に所有する46の不動産以外から当たりましょう。自社ホテルじゃリスクが高い」
「逆でしょ!待って。変ね…リストには49あるのに何で46なの?」
頭をヒネるラギィ警部。
「3つは区画設定委員会の査定対象外だったので除外しました。外郭地で、しかも更地ナンです」
「アプリオリに除外しないで。逆に人の目がなくてパニィを隠しやすいわ」
「警部!SATOから衛星写真の提供がありました。おぉ!神田明神も照覧あれ!3ヶ所の内の1つに古いプレハブが!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
既に真夜中だ。古いプレハブに忍び寄る警官隊。
またまた特殊なバールで蝶番を飛ばし突入スル。
「万世橋警察署!万世橋警察署!」
「誰かいますか?…奥は?」
「クリア」「クリア」「クリア」
ラギィ警部が全員を制し耳をすませる。
どん、どん、どん…
誰かが何かを叩く、弱々しい音がスル。
「地下から聞こえる?」
「隣の部屋だわ。その棚をどけて!」
「おい、ソッチを持て」
警官隊が棚をどけると裏に隠し部屋…猿轡されて転がる女w
「パニィ?パニィ・パクス?」
「…誰も気がつかないかと思った」
「貴女の声、聞こえたわ。さぁ行きましょう。立てる?」
うなずくパニィ。猿轡を解かれヨロヨロ立ち上がる。
「手を貸すわ」
「よして。他人の助けはいらない。平気ょ。いつも1人で立って来た」
「ソンなつもりじゃ…」
溜め息をつくラギィ警部。ベテラン警官が肩を叩く。
「警部。きっとアレが人流の精一杯のありがとうって奴でしょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再び"リリヌ・エステート"のヘッドオフィス。
「ムーンライトセレナーダー、また来たの?もうすぐ再開発の認可が下りる。私、色々と忙しいのょ」
「逮捕状が出たわ」
「え。」
ムーンライトセレナーダーがリリヌの頭をジオラマに突っ込むw
「パニィを見つけた。ソニラも白状した。驚いた?」
「な、何ょ!アンタの個人的な恨みなの?」
「いいえ。アキバ全体の恨みょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「結局、リリヌも全面自供。検察に引き渡して一件落着だ」
「コレでスピアも、もう安全ですね。良かった」
「でも、今回もムーンライトセレナーダーが美味しいトコロをさらって逝ったね」
僕は、前から考えてたコトを口にスル。
「アキバは、スーパーヒロインのコトを解放してあげるべきだと思うンだ」
「解放?どこへ?」
「スーパーヒロイン達に、もっとふさわしい世界へさ」
ミユリさんは、少し困ったような顔をスル。
「ソレが、このアキバなのですが」
「…うん。わかってる。でも、もしソンな世界が見つかったら、正直に逝って欲しいなって思う」
「はい…例えば、御屋敷の電源をソーラーにしたら、とか思ったりはしましたが」
え。ソレはダメ←
「ミユリさん。アキバの地下には超高圧変電所があって、原子力発電所直通の地中送電ルートが引き込まれてルンだ」
「さすが、第3新東京電力のサラリーマン。テリィ様は、都市のインフラにお詳しいですね。で、ソーラーですけど、この前、テリィ様好みの超絶ボディ&谷間のプリカさんに聞いたら…」
「その前フリには、何か悪意を感じるけど、街には歴史に培われたインフラが必要ナンだょ」
すると、ミユリさんは、絶品の色仕掛けオネダリ発動←
「なるほど。でも、インフラを進化させれば、あと100年、アキバは世界のヲタク首都でいられるし、御屋敷も安泰だと思うのです。ねぇお願い。今宵は…少し甘えさせて欲しいな、テリィ様」
「おいで、メイド長」
「はい。テリィ様」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌日。休暇を終えた僕が宇宙に戻る前に会社に顔を出したら…僕のオフィスにプリカがいる。ポンプ修理代の請求か?
「プリカ。良く会社に入れたね。何か用?」
「テリィたん。私ね、本日付けで 第3新東京電力初の宇宙発電所"TEPCO-3"の副所長を拝命したわ」
「え。」
プリカ・ヨプラは、僕の方を向いて元気に微笑む。
「よろしくお願いします。テリィ所長」
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"危険な報道"をテーマに、失踪する社会派記者、再開発デベロッパー、デベロッパーが雇うレオタード3姉妹、元気なインド系グラマー美女、うっかり取材に応じて襲われるハッカー、襲撃事件を追う超天才やヲタッキーズ、敏腕警部などが登場しました。
さらに、主人公のサラリーマン人生を狂わすグラマー美女、ヲタクも人間という考え方などもサイドストーリー的に描いてみました。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、新型コロナの感染者が半減しつつある秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。




