布団
今日の出来事。
朝起きると、快晴の空だった。
秋も終わりかけの乾燥した空気が、日光に当てられ、ほかほかとぬくい。
珍しく休日の朝9時に目が覚めたのと、快晴の心地よさに誘われて、布団をベランダの手すりまでせっせと運んだ。
「いい天気だ」
腰に手をあてて、空を見上げる。
部屋には布団から舞い出た埃がキラキラと光っている。
ついでとばかりに、掃除機をかけて、開け放った窓からそよぐ風の心地よさと、日の当たるフローリングの床の暖かさに誘われる。
お昼のニュースを見ながら、冷凍の唐揚げと餃子を調理し、テーブルに並べてから冷えた缶ビールを開ける。
ぷしゅっ
心地よい音が床に落ちてしまう前に、缶ビールを口に運ぶ。
冷えたビールが喉を通り抜け、しゅわしゅわが残る口にアツアツの唐揚げを入れる。
はふはふと一人奇声をあげながら、食べる。
そして、またビール。
穏やかな日和とほろ酔いのまま、横になって眠る。
雀のちゅんちゅんという声を聞きながら、まどろんだ。
ふと、肌寒さに目が覚める。
日が暮れ始めている。
布団を取り込み、新しいシーツで綺麗に整える。
「ふかふかだな」
太陽の温もりを存分に詰め込んだ布団を眺め、有意義な休日を送れたと満足感に満ちあふれた。
だが、明日からの食料品が無い。
夕飯の惣菜と、当分の食料品を買いに出掛けることにした。
ベランダの鍵を閉めて、財布と携帯電話とエコバッグを持って玄関に向かう。
玄関で部屋の鍵を手に取り、きちんと鍵を閉めて出掛けた。
買い物を済ませて、テレビを観ながら夕飯を食べ、シャワーも済ませて、ダラダラとビールを飲んだ。
ほっこりとした気分で、布団に入ろうとすると、人が寝ていたように枕と布団がへこんでいた。
枕元には、俺のではない長い髪が数本へばりついていた。