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転生先では気の向くままに。  作者: ろく
1章
8/17

異世界言語を理解した82歳の赤ん坊

 さて、前世で82歳だった私だが、先ほど転生して現在は生まれたての赤ん坊である。

 ちなみに【神からのギフト】のおかげで、異世界言語はこの段階で取得済である。


 そして、何故か前世の記憶持ちという割とチート仕様であることに気付いた。


(これは多分あの神の計らいだろうな…。)


 さすがに、この年の婆に異世界転生は可哀そうだということで、あの神様も色々と考えてくれたらしい。




 ……ただ、82歳の意識を持った異世界の言語も完璧に習得した赤ん坊である。



 今の私であれば、話すこと自体も可能だと思う。

 思うが、こんな赤ん坊が話し出したら両親は確実に恐怖するだろう。

 普通に考えて、私でも怖い。


 生まれたての赤子が、「やあ、おはよう!お母さんとお父さんは仲がいいのね!やっと外に出てこられたわぁ。」なんて話し出したら確実に二人に恐怖を植え付けるばかりか、最悪捨てられることも

 あり得るだろう。


 イチャイチャを繰り広げる両親の声を聴きながら、絶対にばれないように生きていこうと私は心に誓う。



 前世ではできなかったことをやるために、私は平和に生きていきたいのだ。


 前世の私は、独身で生涯を終えた。

 仕事に生きた、と言えば聞こえはいいが正直そういうことでもない。

 仕事はお金を稼ぎ、生きていくための手段としていただけであって、誇りやらやりがいやらを感じていたわけでもないという何とも恥ずかしい限りの生き方であった。



 そうした生き方の結果……特に良い人と出会うことなく、年だけ重ねた、と言える。



 以前は誇れるような生き方をしてきたわけではないが、せっかく転生したのだ。


 今回の転生では必ず好きな人を作り、幸せな家庭を築くことが私の目標だ。

 そして、好きなことをして生きていくと心に決めているだ。




 あぁ、早く色々なことがしてみたいな…と考えながらそっと目を閉じるのだった。



(赤ん坊の体、眠くなるのが早すぎやしないか……?)





「…あら、見てダリア。」


「ん?……疲れたのかもしれないね。」


「ええ。この子が幸せに生きて行ってほしいわね。」


「そうだね。そのために僕たちも頑張ろう。」




 暖かな両親の声を子守唄代わりにして、私は夢の世界へと旅立ったのだった。



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