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転生先では気の向くままに。  作者: ろく
2章
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元気の源、鳥の唐揚げ 後

夕方を知らす鐘が辺りに響き渡り、空が茜色に染まった頃、家主であるダリアが家のドアを開けた。


ドアを開けた瞬間、食欲をそそる唐揚げの香りが鼻をくすぐる。



「父様!お帰りなさい!」

「ダリア、おかえりなさい。」


「あぁ、ただいま。」



迎えてくれる愛娘と愛妻を抱きしめる。

軽く抱擁をした後、2人が手をグイグイと引っ張りながら部屋へと連れて行く。


「今日の晩ご飯は鳥の唐揚げです!」

「ダリア、早く食べましょう!」


「あ…あぁ。」



2人の勢いに押されながら部屋へ向かうと、先ほど感じた食欲をそそる香りが強くなる。



手を引かれ、椅子に座ると同時に愛娘のプラムが手際よく料理を並べて行く。


白い皿の上に黄金色をした塊がいくつか乗っており、それが先ほどの匂いを発しているのだと気付く。



「プラム、これは?」


「これは鳥の唐揚げです。」


「唐揚げ…?」


「ダリア、冷めてしまう前に早く頂きましょう?」



唐揚げ、と呼ばれた塊をまじまじと見ていると、急かすようにシランが口を開く。


確かに、この食欲をそそる香りの存在を早く食べてみたいと先ほどからお腹が悲鳴を上げているのがわかる。



「じゃあ、食べようか。いただきます。」


「「いただきます。」」



(プラムが作ったものだから大丈夫だろうが…。)


そう考えながら、見たこともない黄金色の塊を恐る恐る口に運び、一口齧る。


と同時に、ダリアは衝撃に目を見開く。



なんと美味しく、柔らかな味なのか!?

サクリとした衣の中にある肉はふわふわと柔らかく、それでいて肉汁が溢れ出してくるではないか!!


シランも同じことを思ったようで、バッと2人で顔を見合わせ、宝物でも見るかのような視線を唐揚げに送る。


そして、それを作った張本人は、ニコニコと笑みを浮かべながらバクバクと美味しそうに【鳥の唐揚げ】を貪っているという、なんとも奇妙な光景が出来上がる。



「こんなに美味しいんだな、唐揚げと言うのは。」


「ええ!私、これがとても好きだわ!」


感動した、と口々に感想を述べる両親に向かい、「鳥料理と言うと、他にも色々と試したくなりますね。」と何も考えずに言葉を発するプラムを見て、2人の顔がさらに輝く。




____この後、うちに立派な鶏小屋が出来、多くの鶏が飼育されるようになるのは、すぐの話である。





(人の食欲って…凄いのね……)


新しく作られた鶏小屋を茫然と眺めながら、プラムは静かに思うのであった。



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