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転生先では気の向くままに。  作者: ろく
2章
15/17

元気の源、鳥の唐揚げ

「今日の夜にはダリアが帰って来るみたいよ?」



チクチクと洋裁をしていた母様が放った言葉に、弾かれた様に顔を上げる。

洗っていた皿の水が顔に飛んだ様な気がしたが、それどころではない。


「本当ですか!母様!」


「ええ。3人揃うのは1週間ぶりねぇ。」



母様の問いに食い気味に言葉を紡いだ私を見て、笑いながら母様が言う。

そんな母様の声色も、とても嬉しそうである。



父様は、この村の狩人だ。

父様の仕事は、村の仲間たちと獣を狩り、狩った獲物を都市まで売りに出る事である。


その間、獲った獣の皮や骨等を加工して物を作るのが狩りをしない者の仕事である。


自給自足の生活のため、少しでもお金を稼ぐ為に村の男衆が狩りをする事が多い。

とは言っても、女で狩りをする者もいるので、適材適所ではあるのだが…。



「ちょうど今日、アドリアーナのおじ様が鳥を一羽くれたところだったのです!」


「スライドさんが?」


「はい!この前作ったレモネードをアドリアーナの家にプレゼントしたら、お返しに下さいました。」


そう言って、貰ってきた鳥を母様に見せる。

丸々としながらも身がプリプリとしている、とても美味しそうな鳥である。


こんなに良い鳥があるのなら、作るとなるのは【唐揚げ】であると私は思う。

いや、むしろ【唐揚げ】以外浮かばない。



「なので今日はこれで、ジューシーな鳥の唐揚げを作ります。」


母様に向かってそう宣言すると、『鳥の唐揚げ?』と不思議そうに首を傾げる母様の姿。


名前を聞いただけではどんな料理なのか想像がつかないらしく、小さく眉を潜めながら顎に手を当てて考える仕草をする母様を見て、クスリと笑う。


新しいものは、グダグダと説明するより、食べてみる方が分かりやすいのである。



「どんなものかは楽しみにしていて下さい。」


ニコニコと笑みを溢す私の瞳に、不思議そうな顔をした母様の姿が映る。


(母様ごめんなさい。説明するより見たほうが早いのです…)



母様の不思議そうな視線を背中に受けながら、鳥の唐揚げ作りへと、私は取り掛かるのであった。




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