表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先では気の向くままに。  作者: ろく
2章
14/17

夏野菜のさっぱり冷やしうどん 後

【うどん】というのは、小麦粉を練って作る麺であり、前世の日本ではかなりポピュラーな食べ物であった。


そして驚いた事に、この世界にも【うどん】は存在しており、質素な生活を送る庶民の食べ物として大切にされているのだ。



「でも、うどんを冷やすって言うのは新しいわ。」


ズルズルと丼に入ったうどんをすするプラムを見ながら、シランが言う。


シランが言ったように、この世界のうどんは温かいままのものであり、【冷やしうどん】なる物は存在しない。

そればかりか、【冷たい食事】と言うものが存在しないのだ。



「昔、何処かで聞いた事があったのです。」


「そうなの?あなたは物知りね。」


「私では無く、それを発明した人が凄いのです。」


「…確かに見つけた人は凄いかもしれません。ですが、それを活かそうとする事は、とても誇るべきものなのですよ。」



にっこりと微笑みながら言うシランの姿に、前世での母親の姿が重なる。


(母親という人は、なんと偉大なのか…。)


ありがとうございます、と呟く私をにこやかに見つめる視線に気付かない振りをしながら、うどんをすする。



【冷やしうどん】なのに胸がほっこりと熱くなるのは、きっと母の愛から来るものなのだろう。

プラムは、ポカポカとした暖かさを胸に感じながら、冷たいうどんをすするのだった。



_________________


「…で、これはどうやって作るのかしら?」


「これはですね、まずはナスとウリ豚の肉を油で炒めて。その後にこのお出汁を注ぎ入れます。それからトマトを飾って、摺り下ろしたレモンを飾れば出来上がりです。」


「簡単なのね。」


「家庭料理は、簡単で美味しければそれ以上言うことは無いですからね。」


「確かにその通りね…。」


「料理は、美味しさとスピードが大切ですから。」


「今度は私が作るわね。」


「!!…それ…は…楽しみにしています…」



母様の言葉を聞いて、背中に冷汗がツーッと流れ落ちる。


母様は、料理がとても独創的だ。

それ故に、いつも私が料理番をしているのである。


(その日だけは、絶対に父様にも家にいてもらおう…。父様だけ食べないのは、ずる過ぎる。)


その日が来ないことを祈るが、来た時は必ず父様を道連れにしよう、と心に決めるのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ