表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/205

98



 開店準備も滞りなく進み、朝礼が終われば皆それぞれのポジションに散っていく。


 私の手の中にある本皮の二つ折りバインダーの中身は、通常ボトルリストだけれど今夜は来店者リストだ。

 同伴縛りの最終日なので、キャスト名とお客様名がペアでずらりと並んでいる。



 全部で26組52名。

 キャストから申告のあった来店予定時間順に並んでいる。


 客席数を考えると5組は1セットでチェックして欲しいが…最悪相席か。

 

 

 最終日19:30~22:00、最大3セット150分の限定営業。


 

 キープボトル交換キャンペーンは2日間だけだったので今夜は確実にセット料金確定だけど、シャンパンイベントは最終日も継続中。



 【お得!シャンパン!】

 クリュッグとドンペリ7本ずつ、ミニのフル盛り付きでボトル代金50%取っ払い。


 【一口馬主ならぬ一口シャンパンタワー】

 カフェパのりんご味で、使うボトル11本売れた時点で終了。



 もちろん今夜はキャンペーンボトルは完売させるつもりだし、うららのキャストにも何かボトルを出させたい。

 その為にはタイミングを見計らってホールにもお邪魔しなきゃいけないだろう。



 クリュッグやドンペリ以外にも撃ち込める弾数は揃えたし、店内には雪柳から藤宮くん担当キャストを3人だけ、最初の1時間お借りしている。

 フリー客が居ないので同伴来店したキャストの着替え時間の繋ぎだけのために来てくれていて、何っっのウマ味もない、雑用扱いといっても過言ではないので申し訳なさ過ぎる。


 頭を下げに行ったら、どうやら3日間ずっと参加していてくれたようで「終わるのが寂しいね」と労われ「今度はうちでも何か企画してよね!」と背中を叩かれたので…楽しんでもらえていたなら何よりだと安堵した。



 ミモザからは私が担当する5人が今夜もやってくる。

 初日から同伴ポイントがつく扱いなので最終日も全員参加。

 誰か1人くらい休むかなと思っていたのに例えインフルエンザでも行くと、ものすごく迷惑なレベルでの意志の強さだった。


 5人とも来店時間はバラバラだけど9時前には揃うようでほっとしている。



 「綾瀬マネ、開店10分前なのでここで1度失礼しますね」


 「あ、ハイ!宜しくおねがいします!!」



 人の気配が無いエレベーター前、いつもはひとりきりで居る薄明かりのフロント。

 いつも通りの静かな空間で、完ッ全にコロコロでもするかなって気ぃ抜いてた!!!


 後ろから耳元で囁かれてちびりそうになった!いや!年頃の乙女としてそれは絶対しないけれども!!

 うわぁぁん!!いい香りがするよーー!!!


 いい男モードの稲葉くん。ジレ姿が最高にカッコよくて蝶ネクタイが萌え殺されるくらい可愛いです。

 


 そう…今夜は稲葉くんとダブルフロント!!

 といっても最初の1時間半くらいの話で、しかも1階と3階に別れている。


 1階で他の店舗のお客様と、うららに来店するお客様を選別するためだ。

 わざと3階ボタンを押してフリーで入ろうとするお客様が居ないとも限らない…うちの校長とか、ああいうダメなお客様対策だ。


 全員同伴来店すれば、エレベーターの3階のボタンが反応しないよう設定する。

 …それまでは、いつもとは違ってチラチラと稲葉くんと会う頻度が高い。



 「綾瀬マネ」


 エレベーターに乗り込みこちらを振り返ると、携えた同じ本皮バインダーを掲げる稲葉くん。



 「リスト見たけど…今夜も綾瀬マネが1番いい女ですよ」



 扉が閉まり、微笑みの余韻が残ったまま、1階へと消えていったエレベーターを見つめる。



 なっなっ…なんてことを言い逃げしてくかな…!


 あぁもぉ…!エレベーター到着音の度に心臓潰れそう…!!

 カッコいい私…カッコいい私…!どうにか降臨して…!!!


 仕事は仕事でちゃんとしたいんだよーーー!!!





 「綾瀬さん…フロントの防犯カメラ切っておこうか…?」


 千葉さん!!そういうお気遣いはノーセンキューですっ!!!

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ