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 『特2の綾瀬、職員室でも校長室でもどっちでもいいからさっさと来い』


 

 呼び出し音の後に、ガガッとマイクノイズがして響き渡る放送。

 のほほんと食後のコーヒーを堪能していたのに。



 「あ~~…忘れていたかった…」


 「まぁここまでされちゃ行かないと後が面倒でしょ、片付けとくから行ってら~」


 「ありがとー」



 みなみちゃんと別れて職員室へと向かう。

 いきなり校長室をノックしようなんて思わないし出来れば関りたくない。


 

 テスト期間でもないので扉が開きっぱなしの職員室の外から声を掛ける。



 「竹田先生居ますー?来てあげましたよー?」 


 「遅ぇ」


 「そりゃそうですよ、来る気無かったんですから!」



 何をそんな当たり前のことを!と驚いた顔で言えば眉間にシワを寄せられた。

 だって、なんとなく嫌な予感しかしない。


 はぁ~っとため息をつかれてからA4サイズの封筒を2束渡される。


 …結構な厚みがある。



 「帯付き?」


 「アホか、んなわけあるか。中身見ろ中身。お前と宝の分だろうが」



 綾瀬と書かれた封筒を開けてみれば、入っていたのは現金ではなく、プリントの束だった。

 みなみちゃんのほうが厚みがあるのは休んでた期間が長いからか。


 各教科揃っているし、ポイントであるところは赤が入れてあるし、その赤文字は筆跡がどの教科も同じであるというのは、…ちょっとこれ、感動するよ?


 

 「竹田先生…!先生って先生だったんだね…!!」


 「なんかその評価の低さが鼻に付くが、まぁ行くぞ」



 重厚な扉をノックして中からどうぞと声を掛けられれば、校長が深刻そうに待ち構えていた。



 「失礼致します、お呼びでしょうか」



 まぁ呼ばれたんだから来たんだけど、お約束ごとってゲームでもリアルでも言わなきゃいけないって茶番過ぎる。



 「呼び出されるような、心当たりはありますよね?」


 「イエ、何もございません」


 

 食い気味に答えて、早く帰りたいんですけど?と言わんばかりの態度で接する。

 昨日は授業をサボったとはいえ、一応病人という体をとったのでさほど問題もないはずだ。


 校長と竹田先生は目線を合わせ、コクリと頷いた竹田先生がポケットからスマホを取り出す。

 

 

 「校長が言いたいのはこのことだ」


 

 画面を覗けば500前後のリツイート。


 『俺ツイてた!今年の運使い切ったかも!』



 そんなコメントに添えられている写真は金髪ウィッグにビキニでショートパンツ、サングラスをしていても誤魔化せない美人。――昨日見たな、この女性。

 っていうかいつもメールしてるし結構な頻度で会ってたわ。

 

 

 「遅いだろうけど削除依頼案件ですね、ありがとうございます」


 「もうとっくにアカウント削除まで追い込んだ」


 「何してんですか」



 達成感たっぷりの、地球を救ったような戦士の顔をしたオッサンが2人。


 自分のスマホで某掲示板サイトにあるうらら板を見れば、…ガッツリ炎上してた。

 戦場があのビルからネットに移行している!

 で、ネットでも荒れているのはうらら板!ミモザも雪柳も通常コメのみ!!


 ここなら戦ってもいいだろうと、うららが関が原扱いだ。

 なんて残酷な。勝っても負けても原住民には何ら得することはない。



 「それはもうどうでもいいとして綾瀬、俺らに言うことあるだろう?」


 「…昨日はサボってすみません?ご覧の通り昨日は準備も忙しかったんで仕方なかったんですよ」



 バァン!と机を叩き、我慢ならずというような雰囲気の校長が怒鳴る。


 「そんなことを言いたいんじゃありませんよ!」


 「え、じゃあ仮病使ってすみませんでした?」

 

 「1日や2日、サボるのなんかどうだっていいんですよ!それに仮病なら構いません!本当に病気になるより良いですから!」



 いや、どうだって良くないと思うんですけど。


 

 「私が言いたいのは、コレ!椿ちゃんでしょう!?」


 「あっ、ハイ」


 「ということはさ、さ、佐保さんも…!」


 「あ、ハイ、昨日はうららに協力してくれました」


 「佐保さんまでこんな淫らな格好を…!!!」



 膝から崩れ落ちる校長を見下ろす。

 微塵も教育者として尊敬できないものの「イエ、佐保さんは腐った女子の心を乱す王子様ルックでしたよ」とも言い辛い。



 泣き崩れるおっさん…いや校長に寄り添い、励ますおっさん、いや担任を見て目が腐るかと思った。


 腐女子的な意味合いではなく、なんでこんな汚いものを見なきゃいけないんだというような。



 「綾瀬!お前はこんなにも打ちひしがれている校長を見て心が痛まないのか!?」


 「ハイ、全く」


 無傷です。

 何ならそろそろ昼休みも終わりだし戻りたい。

 教師ならサボらせるようなことしないで欲しいし、そもそも泣き崩れたまま前屈みになって股間を押さえている校長なんか見たくもない。



 「俺もうららのホームページ見たぞ!今日もあるらしいじゃないか!」


 「ハイ、ありますよボトルイベント。各店舗からヘルプ出すかもしれないですね」



 ミモザの場合はヘルプというより同伴扱いになっているから店を盛り上げるサクラみたいなもんだけど。



 「今夜も佐保さんと…ニナさんもヘルプに出るんだろう!?」


 「さぁ?昼休み中に連絡したかったけど、こう呼び出されてたから~…わっかんないですね」


 出るけどわざわざ言う必要もないので営業用の笑顔でしらを切ってやる。


 「「今すぐ連絡取ってくださいーーーー!!!!」」




 オッサン2人に縋られ、午後1発目の授業がサボりになった。

 

 …2人とも教職なんか辞めてしまえ!!!!



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