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授業も終わったので、出勤はしないけど新しく入荷した日本酒の納品の確認だけしにミモザに行こうか考えていた。
特典はこれといって思い浮かばなかったのでタイルやビーズを組み合わせたコースターを授業中に作った。
最近は何でも材料が百均で揃うのはありがたいし、何をしていようが止めない私立の先生方は最の高。
もうここまできたらどこまでやれるのか試したくなるじゃないか。
次はティアラでもつくってやろうかしら。
出来上がったコースターはどのお客様の手に渡るのかはわからないけれど、こんな特典のためにボトルを入れてくれたお礼を私が言いたがってたということにしてお姉さんたちはまた次につなげてくれるだろう。
シャンパンに比べれば高くない日本酒が高く化けてくれる呼び水になればいい。
そして今日は一日長かった。
てっきりみなみちゃんからワイドショーのレポーターみたいなツッコミがやってくるもんだと身構えていたら、みなみちゃんどころか陸も海も休みだった。
風邪とかじゃあないよね、と不安になってメッセージを飛ばすと「昨日から親の都合でしばらくがっこ休むことになる!つまんない!!」と返事がきた。
あの3人が居ないとこんなに静かだったんだね、うちのクラス。
すっごい平和でびっくりよ。
でもそれ以上に稲葉くんの視線が絡まりまくって死にそうです。
え、普段からこんな見られてるわけじゃあないよね?いつもこの視線に気づかなかったのはあの3人が居たからとかじゃあないよね?
終礼を受けているとスマホにまゆちゃんからミモザのキャスト・スタッフ全員への連絡メールが入る。
『本日9時までの同伴はポイント3倍、スパークリング日本酒3種入荷』
開店が8時半なわけだから…さっさと連れて来い!ということだろう。やる気だ。
あ、それに日本酒ちゃんと届いたみたいだ。
確認に行く手間も省けちゃったなぁとまゆちゃんにメールする。
『日本酒スパークリングの特典にコースター作ったんだけど今日持っていったほうがいい?』
『どんなのか画像見せて』
まぁそりゃそうか。
素人のつくったもんだし。
終礼が終わって後ろを振り返り、視線の先にいる人を呼ぶ。
「稲葉くん、ちょっとスマホで撮って」
不思議そうに首を傾けて寄ってくる。
鞄の中から作ったコースターのうち2枚で目を隠す。
青くてキラキラした大きい目の女子高生の完成だ。
パシャリと撮影してもらったものを多少加工する。
『どう?まゆちゃんのタイプでしょ?笑』
そのメッセージには返事は来なかったものの、ミモザ連絡メールがもう1度届く。
『なお某マネージャーが新商品日本酒の売上に貢献したキャストへ、特製コースターを準備中』
さっきふざけて送った画像がそのまま貼り付けられていた。
…おーい、肖像権は放棄してませんよー。
うーん、準備中としてくれたから今日は行かなくてもよくなったし…授業中作ることもなかったな。
あー失敗したなー。いや、さっきの画像がミモザの全員に行き渡ったのが一番の失敗だけれども。
もういいや、帰ろ。
考えることいっぱいで疲れた。
「じゃあね稲葉くん、また明日~」
「う、ん?」
ははは、そんなにミモザに行かないの珍しいかなー。
でもたまには自分のためにだって時間使いたいやい。
多分佐久間さんがある程度片付けてくれていそうだけど、大量の使用済みタオルやら寝巻きもどうなってるか気になるしね。
明日の午前中までは家事強化デーだなー。




