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 エレベーターと店舗のガラス扉までの2m弱、それがフロントスタッフの縄張り。

 ガラス扉は…例えばフロント不在だとか、よほどのことがない限り営業中は開けたままだ。



 1階に黒服が立っている時には10秒前にインカム無線機で同伴かフリーの何名様か連絡が入るものの、平日だとスタッフが割けないのでエレベーターの到着音で扉から漏れる音を一瞬拾い、多人数なのかお一人様なのか予想の上、ご来店のご挨拶で頭を下げた瞬間、お客様から見えないように同伴客及び常連客であれば名前をフロアマネに伝える。

 


 そのどちらかであればその連絡を出した瞬間に案内するテーブル卓が確定し、お客様の1m前をゆっくり歩いて先導している間にキープボトルなどをホールスタッフにセッティングしてもらう。



 ご新規やフリーのお客様の場合、エレベーターの店舗の扉までの2mで料金やシステムの説明をさせていただき、ご納得いただいた上でお席までのご案内となる。



 ここで反社会組織の方々や引き抜き目的の同業他社の方々にはお帰りいただくことになるので、力は無くても、キレられようが動じずに対処する鋼の精神だけは要求される。


 その際、女だとナメて掛かられることもしょっちゅうだけど、女相手にみっともない醜態さらすのもどうなのっていう男の無駄なプライドも刺激するらしく、見破ってしまえば基本的に皆さん素直にお帰りいただけるのでフロアでお酒を運ぶホールスタッフをすることは最近は滅多にない。


 あっても「代わって!」とお願いされる。



 …そんなに嫌かな、このポジション。

 まぁ面倒くさいことこの上ないけど。


 

 お客様がお帰りになられる際にはエレベーターを事前に呼び出してツルっとお帰りいただく。


 もしもフリーのお客様が場内指名も入れずにご帰宅になってしまう場合は一緒にエレベーターに乗り込んで、ご満足いただけなかったのかどうかの確認や次回使えるクーポンを裏に番号を振ってお渡しして1階までお見送りする。


 そしてミモザではフロアマネにどのキャストを着けたのか聞き出してからクーポン番号記録用紙に記録しておき、次回は違うキャストを着けられるよう徹底している。


 もし着いたキャストの中に担当するキャストが居れば、少しヒアリング調査する。

 年齢やお住まい、お仕事など分かることは番号用紙に一緒にメモで残し、連絡先を交換していれば次回指名してもらえるよう、最低限その場ですぐメッセージを発射させ、翌日の夕方にも打つようお願いする。



 あとは出勤してきたキャストが居れば、何分で出て来れそうかフロアマネが仕事しやすいよう必ず伝えておく、というところが主な仕事だろうか。



 たまーにスタッフの出勤率が悪いとフロントとVIP席兼任という…もの凄ーく疲れることになる。


 指名ならいいけどそんな時に限って2卓もフリーでVIPかよ!!!という許しがたい…いやありがたいけど困った事態になる。


 基本フロアマネが指名回しするけれどVIPと一般席は仕切られているので中央で働くフロアマネからは様子が見えない。

 

 VIP担当がおしぼりや灰皿の取り替えで席の様子を伺い、次に誰を着けるか進言しなければならないので「早く誰か指名して!」と心の中で絶叫しながら半個室のVIPとフロントを目立たないよう地味にウロウロしている。


 

 今夜は出勤キャストも平日で少なめだからフロントでお客様をご案内する人数も少なめだしスタッフも足りているため、たまにエレベーターを呼び出してはエレベーター内の絨毯をコロコロで掃除したり由宇兄ちゃんのテーブルにシャンパンセットを運んだりしたりする暇もある。



 由宇兄ちゃんのご機嫌を窺いながら、少し会話に混ざりつつ1本目のシャンパンを開ける。

 その瞬間、フリーで着いていた美緒さんの目が光る。


 もしも、ここで美緒さんが場内指名を取れればこのボトルのポイントバックは美緒さんのもの、フリーのままで終わればスタッフである私のものになる。


 まぁ3人目のニナさんに場内指名入れさせる気満々なんだけど、もし由宇兄ちゃんから美緒さんがいいと一言あれば!ということで、ここで燃えなきゃどこで燃えるんだって話なので美緒さんが頑張るのというのならそれならそれで、と思っている。


 まだあと2本はスパーン!と発射させますしね。

 

 


 VIPに入るついでに一般席に目を向けて稲葉くんを借りれそうか確認しておく。


 うーん悲しいかな飲食もそれほどオーダー入っていないし、1人抜けてももうすでに大丈夫そう。

 2人目にもうニナさん着けてもらってもいいかもしれない。


 とりあえず稲葉くんを借りたいとフロアマネとあやちゃんに連絡をする。


 『フロントあやです、VIP1番卓、20分後にしゅわっとさせるんで2本目は稲葉に開けさせてください、そしてそのまま15分稲葉借ります』



 先に八木さんから返事が来る。


 『はいはーい、こっちは全然大丈夫だよー』



 『フロアがいいならこっちは何も言うことは…いやある。ボトル3本目ワインにならない?ゼロいっこ多いやつ』


 まゆちゃんめ…。


 『オマケでフルーツとフード出してくれて、尚且つ盛り上げて飲んでくれるスタッフ派遣してくれるならゼロいっこ増えてもいいですよ』


 流石に短時間で由宇兄ちゃんとキャストだけで飲ませるには水分とアルコール量が多すぎる。




 『じゃあ俺2本目のシャンパン乾杯参戦するー♪』


 八木さん!いい人!!


 『できればワインも1杯くらい参戦してくださいね!』


 『かしこまり~』



 『まーゆーちゃーん?』

 

 『…わかったよ、ワインは乾杯しに行くから』



 よし!これで何話そうが数字的に問題ない!

 私の今日の仕事8割終わったかも!!



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