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双子の弟目線。



 陸はオレからすれば弟のようなもんだ。

 みなみには「どう見てもあんたが弟!」と言われるが、先にオギャアと出たのが陸なだけで受精卵に受精して細胞分裂始めたのは、多分オレが先だ。

 



 オレらが通う学校、というかクラスはちょっと変わっている。


 特進科らしく学内では偏差値のトップクラスが集まってはいるが、その偏差値の幅がエグい。

 オレらも勉強は出来るほうだと思っていたけど嫉妬心も消え去るア然するような頭のイイやつがいる。


 普通の進学校は同じレベルの人間が集まって高偏差値の有名大学受験にまっしぐらだと思うんだけど、この私立の学校は進学校として知られているわけじゃあない。


 「変わってる人が多いんだよね?」が他校から見たイメージだ。


 宗教戦争が起こりそうな神学科と仏学科、好きな事以外したくない体育科と美術科のおかげで目立たないが、学校案内パンフの進学先に掲載されている名前には国立大もあるし、カタカナの専門学校に紛れてアメリカやイギリスの名門校の名前も連なっている。


 

 ただ、普通科や特殊学科に比べれば多少受験対策をしているが、それでも他の学校に比べればかなりユルい。

 だから、大学受験に目線を合わせている一般的なクラスメイトは塾かカテキョを必ずつけているし、オレらにもカテキョは昔から何人か付いている。


 でもどこの分野の科に通おうが、使える隙間時間があるのがこの学校のいいところだ。


 有名どころの高校に落ちて来たやつは必死に勉強してるし、オレらみたいな経営者の子供は「特進に入ったんだからいいだろ」と、科の名前を免罪符に多少遊んでいるし、「一応ちゃんと高校生してるんだからいいじゃない」と、特進科の水準を満たす成績を出して、働いている奴らもいる。


 

 特進科なのにガリ勉野郎ばっかりじゃない、ってところが面白い。

 みなみに「こっちのほうがボンボン学校より面白そうだからカイもこっち受けたら?」と誘われてよかった。

 

 ちなみにその時、陸は誘われていない。


 みなみなりに考えて、1回くらいオレらを離したほうがお互い自由を満喫できると思ったんだろうけど、それだと陸は死んでしまう。


 オレの世話を焼くのを面倒くさいと思っていないのに、ソレを取り上げたら陸は外を見ない。

 そんなことになれば親や役員に言われるままの生活を送り続けるんだろう。



 基本、陸には欲しいものが無い。

 

 だから連れまわして「アレが好きコレが嫌い、陸はどうよ?」までがテンプレだ。

 そうすれば、さすがに考えるし、陸も選ぶ。


 オレを通して人も見る。「オレ、あいつら好き、陸はどうよ?」

 そうやって、人間関係も広げてきた。

 いつもなら同調も否定も少しの間を空けて返事がくるのに今回はあいまいなまま答えは貰っていない。

 好きでもあって嫌いでもあるような複雑な気持ちなら、いい変化だと思う。



 閉じた世界をこじ開けて、外を見せ続ける。

 いつか欲しいものが見つかるように。


 オレらは一緒に居るほうが、ふたりとも自由だ。 


 

 「けど、ああいう顔は家でも滅多に見ねぇぞ」



 朝の一幕を思い出して、少し委員長に嫉妬する。


 前のほうの委員長の席を見れば、誰よりも必死に机にかじりついている。

 「特進科イチのガリ勉女」という称号はきっと来年も委員長のものだろう。

 おめでとう三連覇。



 まぁ学校でしか勉強できる時間がないって言ってたから必死にもなるだろうけど、先生までドン引きの授業スタイルはもう誰も何も言わない。


 前は「あれだけやってもクラスの上位に食い込めないなんて」とあざ笑うような陰口があったのに、なりふり構わず本気で取り組んでいるのがわかるから、そんなことを言うようなバカも居なくなった。



 オレも男なんで「強くてカッコいいヒーロー」っていうのは昔から大好きだ。


 うちの委員長は強い。

 他人の声に耳を傾けるのに、左右されない意志がある。

 だからクラスのどのタイプの人間とも話せる。


 去年はただ指名されただけのお飾り委員長かと思っていたら、なるべくしてなった委員長だった。



 「バイト先で色んな人間見てるからねぇ…」と、死んだ目をしていたが、陸ももっと委員長と絡んで今までの価値観ぶっ壊してもらえばいい。

 

 何があってもオレは一緒に居るんだし!安心して壊れろ!



 キリッ!とそんな念を送れば陸と目が合った。

 眉間にシワが寄っている。


 アホなこと考えてないで授業に集中しなよ、と言っているのがわかる。

 双子ってなんでこんなにも頭の中がスケスケなんだ。



 オレが一生つきあっていく本当の悩みはこれだ。

 いや、パンツ問題もどうにか解決したいけど。



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