表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/205

182



 16:58


 スーツに着替え、髪を纏め、爪を切り身だしなみを整えて更衣室を出る。

 まさかちゃんとタイムカードが切れるとは思わなかった。


 

 まぁ私ひとりで来たんだけど。

 何故か稲葉くんはみなみちゃんたちと同伴出勤。


 …キャストじゃなくても同伴ってアリなの?

 いや特にポイントつかないし、出勤扱いにもならないみたいだけど…まぁVIP客のご案内ということで遅刻扱いにはならないらしい。


 そりゃそうでしょうよ!何そのちょっと優しさ見せましたみたいな態度!

 



 あー、でもきっと美味しいもの食べてくるんだろうなー。いいなー。


 ミモザは清掃も開店準備も済ませていたのに時間ぴったりに出勤してしまって、まぁまぁ暇である。

 


 「八木くーん、暇で死ぬー」



 一緒にソファで脱力仲間。

 何もしてないのに時給が発生してる。嬉しくない。



 「だなー」


 「じゃあこっち手伝ってくださいよ2人とも」


 「北山くん何してるの?」



 少し離れたソファに座っているのは、まさかの大卒で入社してきた元バイトくん。

 さっきから真面目にノートパソコンでコツコツと作業しているのは視界に入っていた。



 「こういう暇な時にしか出来ないでしょう、ホームページの更新」



 そう言って、スタジオで撮影したキャストの写真や求人ページを更新している。


 

 「何か手伝えるの?」


 「求人用に2人写真撮ってもいいですか?」


 

 最近写真撮られてばっかりだなー。



 「未成年が堂々と出ちゃマズいでしょー」


 「まぁ顔出さなきゃいいんじゃないの?スタイルで女の子なのは分かるし、女性スタッフ増えるかもよ」


 「やるやるやる。シェイカーでポーズするから撮って撮って」



 またモブモデルだけど女性スタッフは是非とも増えてほしい。

 介抱要員はいつでも大募集だ。

 やっぱり背中さすって嘔吐のヘルプが堂々と出来るのは同性だもの。


 


 お練りの時に使っていた狐のお面を被って目元を隠し、いつもは使わない紅い口紅を塗り、カクテルシェイカーをこれでもか!と高い位置で構え状態を少し逸らす。

 スーツを着ていても少しは弓なりのボディラインが際立つだろう。

 女子来い女子来い女子来ーい!!!

 

 ついでに一緒に写った八木くんも口元だけを隠した狐のお面を装着して…手裏剣を投げる前のどこかの仕事人のように名刺を構えている。



 「…高級店なのにアホっぽい写真でいいんですかね?」


 

 確かに、こういう感じは雪柳の専売特許のような気もするけど。


 「話のネタになるんならいいんじゃないかな?カッコよく加工してくれたら大丈夫じゃない?」


 きっとキャストやお客様も見るだろうしね。

 


 「…じゃあついでにラミネートしてコースター作っちゃいましょう。八木さんこれ事務所のパソコンにデータ送るんで印刷しててください。綾瀬マネは包装する…テープ付アルミ蒸着袋買ってきてください」

 

 「俺ら一応先輩だった気がするんだけど気のせいだったっけ?」


 「えっアルミ…何?」


 「文具店でコースターを入れる銀色の袋が欲しいって言えば出てきますよ」



 あーなるほど、北山くんがどこぞのコラボカフェみたいなことするつもりなのはわかったけど、私そこまで身売りしたくないんだけど?



 「っていうか…売れないでしょ」


 「「売れる」」


 「ハズレであろう八木さんのコースターは5枚でドリンク1杯交換にしていいか…副店長に聞いてきますね」


 「ひでぇ!!」



 その後もコースター用に何ポーズも写真を撮られて、1枚だけお面なしの写真も撮られた。

 あれ?求人用だったはずなのに何かスムーズに騙された気がするよ?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ