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 07:20

 防犯会社のセキュリティONを確認して戸締まりをし学校へと向かう。




 「ん、委員長」


 「ありがとー」



 手を差し出され制服の入った紙袋のみならず、鞄まで持ってもらう。


 最初はものっすごく抵抗があったものの満員電車で荷物大きいのも迷惑でしょ、ってことで毎回稲葉くんが網棚の上に置いてくれる。


 さらに気づけば最近ではもう店から駅に向かって歩き出す時には私の手に荷物はない。


 

 え、私そんなに俺様ですかね…?と不安になって聞いてみれば


 「うちの店の女の子はみんなお姫様です」と、素晴らしい模範解答を笑顔で返されました。


 

 うーん、このバイトでますますモテる要素増えてる気がするよ…?


 将来が恐ろしい。




 閑散とした繁華街を抜け、駅に着くと「日常に戻ってきたなぁ」としみじみ思う。

 いや、バイトも含めて日常なんだけど、やっぱり非日常を売りにしたテーマパークで働いているっていう感覚があるから何気ない風景にほっとする。


 今日も一日あっという間に終わるんだろうな。


 まだ始まったとこなのにそんな事を考えて笑ってしまった。


 


 ホームに入線してきた電車から吐き出される人に流されないよう稲葉くんを盾にして、発車ベルが鳴り止まないうちに車内へとなだれ込むと、反対側の扉近くまで進み網棚の角に荷物を置いた稲葉くんが身を捩りこっちに振り返って肩を抱き、私を扉側に移動させ後ろから守るように立ってくれる。

 


 ち、近くて、この瞬間が一番緊張する…!


 もしここで幽体離脱できれば後ろからハグ状態で一緒にクイズ番組の動画見てるのとか悶えるんだろうけど、目が合ったりしないぶん、さっきまであった温もりを感じて安心しているのかもしれない。

 

 お父さんよりお父さんっぽい…!



 それに何より痴漢されなくなったので背中を預けられるのは心強い。




 動画で歴史や雑学のネタを仕入れつつ、芸人さんのボケで楽しく満員電車をやり過ごせば学校の最寄り駅に到着。


 駅構内のトイレ前で稲葉くんとはバイバイだ。

 私のほうが着替えに時間掛かるしね。



 「じゃまた後でね委員長」


 「うん、ありがとね、いってらっしゃい」



 ふ、と微笑まれて「いってきます」なんて言われたら落ちない女の子いないんじゃないかな。



 ああっこれで今日も一日頑張れる!



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