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30年ほど前のバブル期、流行語大賞の大衆賞に「5時から男」というものがあったらしい。
仕事が終わった後のほうが元気だ、という揶揄だそうで。
うちの委員長はそんな30年前に居たようなテンプレ委員長ではない。
黒髪に三つ編みなんてこともないし、スカート丈も長すぎず短すぎず、メガネですらない。
誰も読んでない生徒手帳に書かれているようなことは彼女もまるっと無視して、ゆるいパーマに明るさは控えめだけどブラウンに染めている。
私立の特進科に所属していながら、勉強だけではない人である。
あえて委員長らしさを挙げるなら、無駄のない集中力や計画性を持っているっていう所だろうか。
授業中は授業を聞きながらその日出される範囲の宿題を併行しながら進めているし、それが終われば次の科目の教科書を隠しながら開いている。
たぶん、あと半年もすればあれが赤本に変わるんだろう。
この1学期が終われば特進クラスは高校3年までの範囲が終わり、2、3学期は3年分を総ざらいする。
高2である今が、若さを武器に燃料をガンガン投下して限界に挑戦って感じだ。
特進クラスは1クラスのみなので学級委員も1年の頃からそのまま持ち上がりで2年目。
他学科は半年ごとだったりするけれど、新しいことを覚えて負荷がかかるようなら変えなくてもいいんじゃない?と、委員長も副委員長である俺も、もちろん他の係もそのまま据え置きだ。
どうしても手が回らない時はみんな助けてくれるし特に問題はない。
午前中は委員長と話すことはないが、午後からはちょこちょこ話す。
今日は月曜日。委員会の会議がある。今回は校外学習先を候補の中から選んでタイムスケジュールを組む。
諸先輩方からどう組んだかの資料やしおりはすでに手配済みなので、それほど難しいこともない。
うちの学科は基本的に大人しくてイイヤツばっかりだし、候補を持ち帰らなくても委員長の独断即決で大丈夫。
それでも出なければいけない週1の会議なので、委員長は必ず出席。
委員長は1日中忙しい。
基本的に補佐役の俺はなるべく余計な仕事をさせないようフォローに徹していたら
「同じバイトもしてくれない?」と誘われた。
バイト内容もほぼ委員長の補佐役で、学校の延長線上だった。
綾瀬委員長は誰がどう見ても毎日忙しい。
繁忙期のGW(´=ω=`)休みが1日しかない