知らない部屋だ、もう一度寝よう
二度寝すれば夢から覚めることができる(現実逃避)
目が覚めたら、知らない骸骨と目が合いました。
驚きのあまり腰が抜けそうになったが、よくよく見ると、骸骨以外黒一色の部屋。床に仰向けに倒れていたなら、天井に貼り付けてある骸骨と視線が合うのも納得。
部屋の奥に大きな天蓋付きのベッドが、これまた漆黒に染まっていた。何かが動いている。
ビビりながらも近づくと、似た顔が2つ。
この部屋に似合わないほど天使な寝顔があった。
つまり俺は、他人様の寝室、しかも推定10歳未満の部屋に不法侵入しているということか。26歳にして犯罪に手を染めるとは…親が知ったら泣くぞ。いろんな意味で。
て、違う違う。昨日はちゃんとマイホームというなのアパートにあるマイベットで俺は寝たぞ。地獄の13連勤を終え、重い足を引きずり、なんとかたどり着いた筈だ。 むしろ、鞭打って動かした身体で他人の家に侵入する変態な性癖は持ち合わせていない。
それに……
チラッと寝顔を再確認。
………俺にロリの趣味はない。
黒のシーツに黒の布団で挟まれた隙間から見える、白い肌。北欧人かな? 透き通った金髪と銀髪のそっくりな双子。目鼻立ちが良く、とても同じ日本人だとは思えない容姿をしている。
俺の気配じゃ起きないようで、すぅすぅと寝息が聞こえる。
このまま気づかれずに部屋から出よう、そうしよう。
踵を返し、反対側にあるこれまた黒いドアに手を掛ける。音を立てずにそーっと開け……開かない。
何度も取っ手を回しても開かない。まさか横か!
ふすまと同じ様に横へ力を入れるが動くわけがなかった。ですよね、どう見ても普通の押しドアだよな。もしかしたら鍵でもかかっているのかもしれない。
もう一度部屋を見渡し、テーブル、イス、クローゼット、壁の隅々まで調べたが、月明かりだけでは目を凝らしてもよく見えず、手探りで床に這いずり回ったが、結局鍵はなかった。
「「なにしてるの? 」」
「いや〜とくに怪しいことをしているわけじゃなくて、あのドアの鍵をさがしとぅぇええ」
振り返ると紅く光る目が4つ。月の影が消えると、息を飲む程の美しく、だが、無表情に見下ろされていた。
「鍵? 知ってる? ターナ」
「鍵? これかな? ニーナ」
ターナと呼ばれた少年が、首元から赤い鍵を取り出す。無くさない様に紐に繋がれている。
「たぶん、それ? かな」
この部屋の主が持っているなら、まず間違いなく、あのドアの鍵で合っているだろう。
「それ、お兄さんに貸してほしいなぁー」
「「……」」
ひそひそ何か話し合っている。
「おじさん、だれ? 」
「どこからきたの? 」
「おじさん……まぁいいか。うん、しかたない。おじさんもどうしてここにいるのかわからない。だから君達の部屋から出ようと思っているが、ドアが開かなくて困っている」
「「……」」
また話し合いを始めちゃった。どうでもいいが、さっきからずっと手を繋いでいるな。知らない人がいて怖いからだろうけど、子供に怖がられるとちょっと傷つくな。
「おじさんは呼ばれた人? 」
「おじさんは選ばれた人?」
「いや、どっちでもない」
「かぁ様が言っていた、運命の人」
「とぅ様が言っていた、定めの人」
ちょっ、話がおかしな方向に向いて行っている。
「「もう2人きりじゃない」」
グィッと両手を引っ張られ、四つん這い状態だった為、顔面を強打した。
それでも、引っ張る力が弱まる気配がない。いつのまにかドアが開かれ、これまた黒一色の廊下を引きずられていく。
子供のどこにそんな力があるんだ…と思ったけど、異世界仮説ならあり得ると納得した。