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転生



 辺りは真っ暗、目を細めて遠くを見ようとしてもその景色は永遠に変わることはない。そんな光景が広がる世界の中に、黒髪ニュアンスパーマの青年とキトンを身に付けた金髪ロングの小さき美女がいた。


 それぞれパイプ椅子と王座に似た豪勢な椅子に腰掛け向かい合っている。


 そして、お互いに沈黙が続く限りだったが少女側が口を開く。


「あなたは死にました」


「○ッキュー」


 開幕早々失礼。


 今青年に死亡宣告をしたのが女神リリス、汚い暴言を吐いたのが佐渡真也。


 さきほど訳あって死んでしまった青年…真也は目の前にいるリリスに状況の説明、これからの出来事を教えろという意思表示と、ただの八つ当たりと言う名目でさっきの一言を放ったのが、伝わるはずがない。伝わっても八つ当たりの部分だけだろう。


 リリスも青筋がたちそうになるのをなんとか堪え、目の前にいる真也にいままでとこれからを伝え始める。


「いきなりの事で混乱しているしているかもしれませんが、あなたには転生してもらいます。もちろん容姿、記憶は今のままです」


「チートハーレム?」


「残念ですが、あなたに授けられるのは寿命800年と少しばかり強力な治癒能力だけです」


 転生と聞き心踊ったが、女神の一言による一気に落胆する。


 上げてから落とす…そんな鬼畜の常套手段を使うリリスに対し真也は、「こんな馴れをしているが実は悪魔なんじゃないか」という疑いを持ちながら、目の前の悪魔に尋ねる。


「微妙ですね…神に選ばれた伝説の勇者的なアレで特典的なヤツは?」


「ないです、そもそも勇者でもないですし。転生者自体は1000年に1度の頻度で異世界に送ってますから」


「なんだそうなんですか…」


 所々で非常な現実を突きつけてくるのは何なのだろうか?


 もう少し期待させて欲しい。


「ですけど、向こうの世界は魔法が使えたりするので楽しいと思いますよ?」


「魔法…!」


 その一言で少しばかり元気を取り戻し、ほんのちょっとだけ異世界に行きたくなる真也。


 リリスは、そんな真也を見据えて異世界について説明を始めた。


「あなたがこれから転生するのは、ジ・パンニル。数個の国と多いなる大地が広がる世界です。魔法はもちろん、獣人、エルフ、ドワーフ、吸血鬼などが存在します。ちなみに人間はいません、全て亜種です。この種族達に対し人間は弱すぎるので創りませんでした」


「Yes、亜種族!」


「ちなみに言語は日本語です。オリジナルだと覚えて貰うのが面倒臭いので」


 異世界転生というロマンチックな光景が広がる中、やはり現実的な事情が絡んでいる部分があった。


「…ん?創った?」


「はい。この世界も生物も全て私が作りました。ちなみに、世界は私とリンクしているのでやろうと思えば天変地異で世界滅ぼせます」


「やめてあげて」


 向こうの人が可哀想だからそういう事はやめてあげて。


「で、どうやったら転生出来ますか?やっぱり魔法陣?」


「え?違いますよ?えっと、確かここら辺に……あった!」


 リリスが椅子から立ち上がり、手探りで何かを探し始めた。そして、椅子があった位置から右に5メートル程の所で壁を見つける。


 その壁を力一杯押すと、眩しい光が入ってきた。


「よし、準備出来ました!真也さん!」


「まさかの扉式…まぁ、いいか。それじゃぁ、行ってきます……えっと、名前なんでしたっけ?」


「リリスです。あと、一応女神です。まあそんな事どうでも良いです!それでは良い異世界生活を!」


「あぁ、ありがとなリリス」


 俺はリリスに礼を言う。いや、礼を言う必要はあったのか?ほぼ一方的に転生強制されたし……まぁ、細かい事は気にしなくていっか。


 そういえば名前を教えていなかったがどうして知っていたのだろうか?


 そんな疑問を胸に抱きながら俺はその扉をくぐった。

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