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バスケットって難しい

俺たちの攻撃だが、バスケ部野郎はディフェンスを抜き去った。ゴール下でもディフェンスが来たが意にも快さないといった感じでダブルクラッチで躱しシュートを決めた。

 こいつ、普通に上手いんだな。

「オラオラディフェンスだ!」

 パンパンとバスケ部野郎が手を叩いた。

 俺たちと相手チームの試合運びは真逆だった。

 上手くボールを回して得点を重ねる相手チーム。

 バスケ部野郎の個人プレーで得点を重ねるこっちのチーム。

 中盤までは互角だったが、それも徐々に均衡が破られていった。

「だ、ダブルチームだと?」

 バスケ部野郎に二枚ディフェンスがついた。ヒョロ男がノーマークである。常人なら普通パスを出すだろう。

「抜いたらぁ!」

 レッグスルーといった高度なドリブル技術を活用し、抜き去ろうと試みた。

 しかし、それで抜けるほど高校バスケは甘くなかった。所詮はやつは中学レベル。あっさりとボールを奪われた。

「デ、ディフェンスだ!」

 あっさりと速攻を決められてしまった。

「チ!」

 ここで第三クォーターが終了した。やれやれバスケ部野郎は個人プレイが悪目立ちするな。

「確かにみんな川村君のようには上手くできないかもしれない。だけど、バスケってチームプレーが不可欠なスポーツじゃない。バスケって。他の人にあまり強く言ったらチームプレーも悪くなるし。みんなで一緒にバスケしていこ?」

 天使のように微笑みながら諭すように川村に言う今泉だった。

「わ、悪かったよ」

 ぶっきらぼうながらも謝る川村だった。さすが今泉。こんなに気難しそうな今泉を丸め込んでしまうとは。クラス委員長の名は伊達じゃないってことか。

 第四クォーターが始まった。相手の攻撃から始まる。

 俺のマークしているやつがボールを持った。俺は腰を低くした。大丈夫。俺はこう見えても「諦めたらそこで試合終了ですよ」のバスケ漫画とか超次元バスケ漫画とかを読んできた。

 相手がシュートの素振りを見せた。

 エンペラーアイ––この眼によってあっという間に相手のボールを奪い去る、なんてことはなく、俺はあっさりと相手のフェイクに引っかかってしまった。

 俺のマークしているやつがゴース下に切り込むと、川村がヘルプにきた。

「オラァ!」

 河村は高く飛び、相手のレイアップシュートをはたき落した。

 おお! 本家のハエ叩きよりかはさすがに迫力が劣るがなかなかのブロックショットである。

 ルーズボールを今泉が拾った。

 今泉は華麗なドリブルをして、速攻を展開した。っていうかブルブルと胸揺れてるな。眼福眼福。いや、俺も速攻に参加しよう。

 今泉は川村の方を見ながらドリブルしていたが、ノールックで俺の方にパスを出してきた。すごい視野である。バスケの素人なら絶対に川村に出すと思った。 

 俺がボールを受けとった場所はスリーポイントラインの手前。よし、打つしかないな。

 くらえ、超高弾道スリーポイントシュート!

 まぁ、普通にスリーポイントを打った。入るのを確認せずに後ろを振り向いた。

「エアボールだ!」

 誰かがそう叫んだ。ああ、エアボールなのね。すみません。前を向くと、リングに触れもせずに落ちていったボールをちょうどいいところにいたヒョロ男が掴んだ。

 そして、そのままゴール下シュートを決めた。

「ナイスパス!」 

 珍しく川村が褒めてくれた。ぶっちゃけ、今のは狙ったわけじゃない。

「鍵村くん、ナイス!」

 微笑みながら今泉が言った。今泉の顔にはほとばしる汗が滴っている。

「ま、まぁな」

「みんなディフェンスだ! 気合入れろよ!」

 川村が他のチームのみんなにカツを入れた。

 相手の攻撃、背が大きめなセンターの選手にボールを入れた。

「くぅ……」

 ヒョロ男は頑張ってこらえようとしたがあっさりとゴール下まで押し込まれてシュートを決められてしまった。

「ドンマイドンマイ! オフェンスで返すぞ!」

 第三クォーターまでなら、「何やってんだ!」と言っていただろう、川村だったがヒョロ男に励ましの言葉を送った。いやぁ、変わったな。これぞ、今泉補正というやつか。

 今泉は自分がボールを持つと、自分で攻めるでもなく、ポチャ美にボールを渡した。

「奈緒美! 行ってしまえ!」

 川村が叫んだ。ポチャ美さん、奈緒美っていうのか。なかなかいい名前だな。

 奈緒美は相手を弾き飛ばし、ゴール下まで押し込んだ。

 おお! すごいパワーだ。やはり体重はパワーに比例するのかもしれない。

 しかし、シュートは力強く、ガゴンとリングにあたり、ボールが大きく弾けた。

 川村はリバウンドを拾い、ミドルシュートを颯爽と打った。

 ボールはリングに触れることなくスパッと決まった。

 おお、かっこいいな。やはりシュートが上手いと女性からモテそうである。

 その後は一進一退の攻防が繰り返され、残り時間は三十秒。

 特典は三十一体三十二でこちらが一点負けていた。

 相手ボールであり、なかなか相手が攻めてこなかった。体育の試合では二十四秒ルールを設けていないため、このまま攻めずにボールをキープしていても何も反則ではない。

 躍起になって相手のボールを奪おうとした川村だが、なかなか奪えない。

 すると、今泉がダブルチームを仕掛けた。

あ! とうことは。俺は反射的な脚が動いた。当然のごとく、ノーマークとなっている、今泉がマークしていた選手にパスを出した。俺はこれを読み、パスをカットした。

「でかした! 鍵村!」

 川村が俺を褒めた。それにしても、俺の名前を覚えていてくれたのか。俺は鍵村にパスを繋いだ。

 川村に対してディフェンスに食らい付いてきた。ゴール下で小泉にパスを出すと、小泉は華麗にボールをキャッチし、綺麗なシュートフォームでシュート放った。

 ボールには綺麗に縦回転がかかっており、リングに吸い込まれていった。

 三十三対三十二で俺たちの勝ちとなった。ピーという音がなった。

「試合終了です!」

「やったね! 鍵村くん! ナイスディフェンスだったよ」

 今泉が俺に近づき、そう言った。

「いやぁ、俺は大したことはしてないよ。川村と今泉が頑張ってくれたからなl」

 すると、今泉は俯き、髪を弄り出した。

「あ、ありがと……」

 後の試合は川村と今泉の活躍により大勝で終わった。ちなみに今日の俺は一度もシュートを決めることができなかった。

 いやぁ、結構バスケは難しい。現実のバスケは漫画のようにスパスパと決まらないものである。



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