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 まぁ、そんなことよりも今は主人公の設定を考えないと。

 まずは名前から決めよう。主人公の名前は……名前は影宮裕太かげみやゆうた。名前は適当に決めた。人工知能によって両親を殺されてしまった彼は天涯孤独である。

 いや? 待て、ギャルゲでは妹を出せば売れる。漫画の場合はどうだ? 売れるだろうか。俺は一分ほど自問自答した結果、妹は出さないことにした。

 ラノベならいざ知らず、週刊少年ジョークではあまり、妹ものは受けないだろう。しかし、ヒロインは出したほうがいい。魅力的なヒロインはこれだけで読者を増やすことになるだろう。

 脳をフル回転させようとした瞬間、リリスに突然話しかけられた。

「カギエルー。私、コーヒー入れるけどカギエルもいる?」

 コーヒーか。コーヒーは嫌いじゃない。こころがぴょんぴょんするアニメを見て、コーヒーにハマりだした時代もあったものだ。

「ああ。頼む」

「あいよ」

 リリスは席から立ち、台所に移動した。ウィーンという、コーヒーマシーンが豆を挽いている音が耳に入った。

「ミルクとコーヒーはいる?」

「うん」

 リリスが俺のところへスプーンが入ったコーヒーカップとミルク、シュガーを持ってきた。コーヒーカップにはリラックマの絵が描かれており、白い湯気が発生している。

「はいどうぞ」

「ありがとう」

 リリスからコーヒーを受け取った。リリスは俺が書き連ねている主人公の設定を見た。

「どう? すすんでる?」

「まぁボチボチ」

 俺はミルクとシュガーをコーヒーに投入した。まるで絵の具のように黒色から薄い黒色へと変わっていった。

「そう。それじゃ、続きお願いね」

 コーヒーをスプーンでかき混ぜて、口に入れた。絶妙な味わいが口の中に広がった。マイルドで苦すぎず、甘すぎない絶妙な味だった。中々いいコーヒーマシーンを使っているのかもしれない。

 俺は椅子から立ち上がり、リリスの机に近づいた。

「リリスはどんな絵を練習しているんだ?」

「うん? 今、一枚絵を書いてる」

 見ると、シャーペンで制服を来たごついとこが仁王立ちしている絵だった。シャーペンだけで描いているかかわらずものすごい迫力がある。ラノベの挿絵に使えるんじゃないかと思わず思った。

 やはり、画力はかなりのものだ。

「う、上手いな」

「そう? ありがとう」

 リリスは俺の褒め言葉を聞いてご機嫌になったのか嬉しそうに微笑んだ。俺は自分の机に戻り作業を再開することにした。

 なんとか、リリスの絵と釣り合う話を作らなければ。

 主人公の年齢は高校二年生ということで十七歳という設定にしよう。身長は百七十前後、人工知能に対して復讐心を抱いているものの、困っている人間をほっとけない心優しい一面も持ち合わせている。

 次はヒロインの設定を考えるか。

 ヒロインの名前は……赤羽風裏あかばねふうり。名前は適当につけた。容姿はメガネをかけており、中々のプロポーションの持ち主。人体実験してくれと志願した主人公に対し、快く人体実験を行ったマッドサイエンティスト。

 人体実験をしてからも主人公のために様々な武器の開発をして支える心強い味方である。

 ヒロインの設定は大体こんなもんでいいか。

 次は敵の設定だな。

 敵は人工知能。ロボットであり、人間を見つけるやいなや攻撃を仕掛けてくる恐ろしい存在である。人工知能の全てが自我を持っている。人間はおろかであり、滅ぼすべき存在という考えを持っているが、人工知能の中には人間と共存していくべきだという平和主義を掲げているものもわずかにいる。

 敵の設定は大体こんな感じか。

 次に世界観について決めておこう。西暦三千××年の地球である。人工知能に怯えた人間は幾つもの地下のシェルターに隠れて生活をしている。地上には人類を滅ぼさんとする人工知能が武器を開発したり、地下シェルターの移動を試みようとしている。

 主人公が住んでいた地下シェルターが襲われ、主人公の両親は殺された。主人公は命からがら助かったものの、両親を失い、人工知能に復讐を誓うことになる。

 ざっとこんな感じに設定資料を書きあげていった。他にも重要人物の設定、果てはモブキャラまで細かい部分の設定を定めて行った。また、世界観の設定もその都度、書き換えたり付け足したりしていった。


 気がつくと、あっという間に時間が過ぎていった。集中するとこんなに時間が過ぎるのが早いんだな。ギャルゲに夢中になっている時もあっという間に時間が進んだのを俺は思い出した。

 黙々と作業を続けて出来上がったので、俺はリリスのところに持って行った。

「リリス、設定資料できたんだけど、見てもらっていいか?」

 リリスはかなり集中していたようで俺に話しかけれるまで全く気づく素振りを見せなかった。

「え? あ、うん。見せて見せて」

 リリスは俺が書いた資料集をまじまじと見た。長い沈黙が続く。

 ペラペラと次のページを捲った。ふむふむと言いながら前のページを行ったり来たりして読んでいた。

「うん、結構面白いと思う。これをネームにしてって言いたいところだけどもう遅いから明日にしたほうがいいかな」

 俺は時計を見ると、すでに夜の一時を回っていた。しかし、俺の興奮は収まらない。

「待ってくれ! 是非ともネームを書かせてくれ! 今書けばいいものができそうな気がする」

 なんか今ちょっと深夜テンションになっていた。明日、学校だが徹夜はギャルゲで慣れている。

「ま、まぁ。カギエルがやりたいっていうなら構わないけど……」

「ありがとう。なぁ、リリス。ちょっと、そこの棚の漫画とか借りてもいいか?」

「え? いいけど……」

「ありがとう」

 俺は三冊ほどリリスの本棚から漫画を借りた。ネームを描くためにコマ割りやセリフなどを勉強のために使おうと考えたのである。

「ふわぁ……ねむ。カギエル、悪いけど私は先に寝ていい? 明日、バイトあるんだよね。机と漫画は自由に使っていいから」

「分かった」

「それじゃお休みなさい。カギエル」

「お休み。リリス」

 俺は漫画を読んでどうネームを描くべきか考えた。

 それにしても、今日は色々なことがあったな。突如、悪魔と出会い悪魔が描いた漫画を読み、どっかの漫画見たく原作と作画に分かれて漫画家になる。

 よくよく考えたら今日はすごいことがたくさん起きた。


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