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ビキニハンター  作者: 柴田 洋
修正版(ここから下を読んでください)
7/16

第三章 初めての宇宙人抹殺

「……貞操帯ですか?」


「そうよ、スミレさん。性的な行為ができないように下半身に付ける特殊な下着みたいなものだけど、知っているかしら?」


「…………世の中に、そういうものがあるという事は知っていますが…………」


 中学生とは思えないほど巨乳で一つ年上のコハク先輩が、貞操帯なんてものを知っているかと私に聞いたのは、ビキニハンターをやめさせてほしいと私がお願いしたからだ。


 その時の私は、昨日の夜に、寮の洗濯物を保管している部屋で何者かに襲われそうになった時の恐怖を、まだ忘れられずにいた。


 それで、目を覚ましてすぐに、寮で同じ部屋に住む、髪を三つ編みにした一つ年下のツキヨちゃんといっしょに、コハク先輩の部屋を訪ねると、まだ時間が早くて人が少ない食堂へ移動して、そのすみの方で、三人で食事をしながら話を切り出したのだ。


「コハク先輩、お願いですからビキニハンターをやめさせてください! 昨日のような恐い思いをするのは、もうたくさんですから!」


 それからツキヨちゃんが、昨日の夜の出来事をコハク先輩に説明して、それを聞き終った先輩は、片方の腕にギブスをはめているので、もう片方の手だけで食事をしながら私を見る。


「……スミレさん、かわいそうだけど、あなたがビキニ型宇宙人のテロリストを抹殺するというビキニハンターの使命を放棄しても、宇宙人の方は、あなたを殺そうとする事をやめたりはしないわ。だってあなたは、少女の下半身に寄生する宇宙人が地球の侵略をもくろんでいるという秘密を知ってしまったんだもの」


 ツキヨちゃんもそれを肯定する。


「そうなんですよ、スミレ先輩……。宇宙人のテロリストは、秘密を知ったであろう者を見逃したりはしません……。そして宇宙人は、誰に寄生するか分からないのですから、逃げたり隠れたりしても、ずっと恐い思いをする事になります。だから、本当にその恐怖をなくしたいのなら、悪い宇宙人の全てを抹殺するしかないんですよ…………」


 そんな事を言われても、私はもう二度と、自分の方から宇宙人を探したりするのは御免だったので、それをしっかりと二人に伝える。


「宇宙人が、この私の意志とは関係なく、これからも私を襲ってくる事は分かっています! でも、自分の方から積極的に宇宙人を探して近付くなんてもう絶対に嫌なんです! だからこれからは、放課後から次の朝まで、ずっと寮の部屋に閉じこもって、宇宙人に寄生されていればすぐに分かるような本当に親しい人としか会わないようにします!」


 するとコハク先輩が、困った顔をする。


「…………分かってないわね、スミレさん。あなたが寮の部屋に一人で閉じこもっている時に、友だちが何人かで訪ねて来たとして、その中の一人がその直前に宇宙人に寄生されているかもしれないのよ。そして部屋の扉を開けたとたんに、その一人が暴れ出して、そこにいるみんなを巻き添えにして、あなたを殺してしまうかもしれないじゃない」


「え……でも、寮の部屋の中でそんな事をしたら、すぐに大勢の人が集まってきて、宇宙人はどこにも逃げられなくなるはずです……」


「いいえ、スミレさん、夜ならビキニ型宇宙人は、あなたを殺してから部屋の明かりを消して窓を開けて、ビキニの本体だけで、こっそりと誰にも見られずにそこから逃げる事ができるわ。だから、あなたには戦う意志がないという事を宇宙人に知られてしまったら、そういう過激な行動に出られるかもしれないのよ。そして、そんな行動を宇宙人にさせないためにも、この秘密を知った者は常に戦う準備をしておかないといけないの。でないと、あなただけでなく、あなたの友だちまでが危険にさらされてしまうから」


「う……確かにそうかもしれないですけど…………」


「それで、どうせ常に戦う準備をしておくのなら、こちらから攻めた方がずっと有利なのは分かるでしょう? だから、スミレさん、あなたは自分のためだけでなく、友だちみんなの安全のためにも、ビキニハンターを続けた方がいいのよ」


「…………それは……そうですが…………」


 そして、それでもまだビキニハンターを続けるのをしぶっている私を見て、コハク先輩は仕方がなさそうに、ただ一つだけ宇宙人に襲われにくくなる方法がある事を教えてくれる。


「……よく聞いて、スミレさん。実は一つだけ、少女たちをビキニ型宇宙人の寄生から防ぐ、とっておきの方法があるの…………。ただし、かなり特殊な方法だけどね……。それで、もしもあなたが、その方法を周りの友だちの全員に実行させる事ができれば、あなたは宇宙人に襲われる危険を限りなく低くできるんだけど…………」


 そう前置きをしてから、コハク先輩が言い出したのが、貞操帯だった。


 貞操帯というのは、下半身に装着する頑丈な下着みたいなもので、それを付けて鍵を掛ければ、その鍵を外すまで性的な行為ができなくなるというものだ。


 ちなみに、そんなものの存在を私が知っているのは、以前に南米のコロンビアのノーベル賞作家が書いた変な小説を読んだ時に、その話に登場する少女が祖母にそれを付けられた描写があって、どんなものか調べた事があったからだ。


 コハク先輩は、私が貞操帯というものを知っているかを確認した後で、それの有効性を説明する。


「スミレさんが貞操帯の事を知っているのなら話は早いわ。それさえ付けていれば、パンツをはく事だってできなくなるんだから、ビキニ型宇宙人に寄生されるのを完全に防ぐ事ができるのは分かるでしょう? そして、あなたの周りの友だちの全員にそれを付けさせて、みんなが絶対に寄生されないようにすれば、宇宙人はあなたに接近するのも難しくなるから、襲われる危険もほとんどなくなるというのも分かるわね?」


 なるほど。


 ビキニ型宇宙人が厄介なのは、それが誰に寄生しているのか分からないために、周りにいる全ての少女を警戒しなければならず、どうしても隙を突かれてしまうからだ。


 だけど、周りにいる少女の全員が絶対に寄生されないという状況さえ作る事ができれば、それ以外の少女だけを警戒すればいいのだから隙を突かれる心配がなくなり、宇宙人も簡単には私に近付く事ができなくなって、襲われる危険をかなり減らす事ができるという訳だ。


 …………しかし、友だちのみんなに貞操帯を付けさせるなんて、どうお願いすればいいのか…………。


 何しろこの学校は、生徒だけでなく職員も女しかいないので、こんな環境で貞操帯を付けてほしいとお願いしたら、絶対に頭がおかしいと思われてしまうだろう……。


 そうやって私が悩んでいると、コハク先輩はさらに貞操帯の話を続ける。


「あとねえ、貞操帯って、おしっことうんこをするための穴が開いているんだけど、性的な行為をさせないために、その穴は男の人のアレが通らないようにしてある訳じゃない? それでもまあ、おしっこの方は大丈夫なんだけど、うんこをする方の穴は、それなりに狭くてギザギザになっているから、どうしても、うんこがその縁に付いちゃうのよね……。だから、うんこをした後は、その穴の縁に付いたうんこを拭くのが面倒なのよ…………」


 この発言には、さすがにツキヨちゃんも怒る。


「コハク先輩、食事中ですから、やめてください!」


 しかし、この先輩は中学三年生なのに、なぜ貞操帯を実際に付けられた経験があるみたいに話すのか…………。


 でも、その答えなんて絶対に聞きたくなかったので、私はそれには何も突っ込まないでおく。


 そして、それから結局、友だちに貞操帯を付けさせるなんて、どうやっても無理だとあきらめた私は、仕方なく、これからもビキニハンターを続ける事をしぶしぶ受け入れる。


 ただ、コハク先輩とツキヨちゃんは、これからはずっと、放課後から朝まで二人のうちのどちらかが必ず私のそばにいて、私が一人で宇宙人に襲われる事がないようにすると約束してくれる。


「大丈夫よ、スミレさん。昨日の夜だって、ちゃんとツキヨちゃんがあなたの事を守ったんでしょう? だから、そんなに恐がらないで、これからどんどん宇宙人のテロリストを抹殺していきましょう! 三人でがんばれば、宇宙人に襲われる事のない昔の地球にすぐに戻せるわよ!」


「……はあ……そうだといいんですけど…………」


 そういうやり取りが朝にあったので、私は気が進まないながらも、その日の昼休みも食事を手早くすませると、中庭に行って、コハク先輩とツキヨちゃんといっしょに、少女たちのパンツの観察をする。


 でも、その日は怪しげな少女は一人も見付からず、それで放課後は、昨日コハク先輩が調査を担当した、メガネをかけた緑のビキニの少女を、三人でいっしょに見張る事になる。


 そのメガネの少女は、昨日は洗濯物をクリーニングに出しておらず、宇宙人に寄生されているかどうかの確認がまだできていなかったからだ。


 コハク先輩は、私とツキヨちゃんに、その少女の説明をする。


「そのメガネをかけた緑のビキニの少女は、文芸部に所属していて、昨日はかなり遅い時間まで部室に残っていたわ。どうやら文芸部には三年生がいないようで、二年生のその子が部長をしているみたいなの。でも他の部員はけっこう早くに帰っていたから、今日も同じ状況になるのなら、そのメガネの少女が一人で部室を出て階段を降りるところを、私たち三人で攻撃できるはずよ」


「え? コハク先輩、そのメガネの少女はまだ宇宙人に寄生されているのかどうか分かっていませんよね? それなのに、いきなり攻撃するんですか?」


「……もちろんいつもなら、寄生されている事を確認した上で、ちゃんと計画してからその少女を攻撃するわ。でも、その文芸部がある部室棟は、遅い時間になると誰もいなくなるから、ものすごく攻撃に適した場所なの。それで、こういう幸運に恵まれた時は、寄生されているのかどうか、はっきりと分からなくても、いきなり攻撃する事にしているのよ。だって、危険な宇宙人は少しでも早く抹殺できた方がいいでしょう?」


「でも、寄生されていない少女のパンツに液体をかけてしまったら、その事をその少女に言いふらされて、すぐに私たちが変態だってうわさが学校中に広まってしまいますよ!」


 するとツキヨちゃんが、そうはならない事を説明してくれる。


「スミレ先輩、私たちが持っている水鉄砲に入っている特別な液体は、宇宙人を抹殺するだけでなく、生物の身体をマヒさせて、さらにその前後の記憶も消す事ができるのです。だから、もしもその少女が宇宙人に寄生されていなかったとしても、パンツに液体をかけた瞬間に、その事は忘れてしまいますから、うわさを広められる心配はないのです」


 けれど私は、その説明は変だと気が付く。


「待って! それは変よ……。だって、二日前に金属バットを持った黒いビキニの少女がコハク先輩の腕を折った事があったでしょう? あの時ツキヨちゃんがそのビキニに液体をかけようとしたのを、あの黒いビキニの少女は手でスカートを押さえて防いでいたわ……。つまり、あの黒いビキニの少女の手には液体がかかったはずじゃない? だけど、あの少女の身体がマヒした様子はなかったわよ!」


 ツキヨちゃんが、私のその疑問に答える。


「それは、あの黒いビキニの少女が宇宙人に寄生されていたからです。実は、ビキニ型宇宙人に意識を乗っ取られてしまうと、その寄生された生物の方には液体が全く効かなくなるんです。だから、宇宙人に寄生された少女を止めるには、その宇宙人の本体であるビキニ部分に液体をかけて抹殺するしかない訳です。あと、スミレ先輩、そういう事ですから、水鉄砲を撃つ時は十分に注意してくださいね。間違えて自分の身体に液体をかけてしまったら、自分がマヒしてその前後の記憶を失ってしまいますから」


 それから、コハク先輩がもう一度確認する。


「分かってもらえたかしら、スミレさん? だから、宇宙人に寄生されているかどうか分からない少女が一人でいて、それを絶対に逃がさない自信がある時は、とにかくパンツに液体をかけてみるのよ。昨日は私一人だけだったから、逃げられた場合の事を考えて攻撃ができなかったけど、今日は三人もいて逃がす心配はないでしょうから、そのメガネの少女が一人で帰る時は迷わず攻撃しましょう」


 そしてその放課後、私たち三人は文芸部がある部室棟の中で、メガネをかけた緑のビキニの少女が帰るのを待ち伏せる。


 その時は、すでに他の生徒は全員が帰っていて、その部室棟の建物の中には、メガネの少女と私たち三人だけしかいない。


 文芸部がある二階から一階へ降りる階段は二つあったから、その一つでコハク先輩が待ち伏せて、もう一つで私とツキヨちゃんが待ち伏せていた。


 それから、やがて夕日がほとんど沈む頃になると、ようやくメガネの少女が部室を出てカードキーで扉をロックする音が聞こえ、その足音から、どうやらコハク先輩が待ち伏せた方の階段へ歩いて行ったのが分かる。


 たぶんコハク先輩は、私たちと同じように階段の手すりの陰に隠れて、そのメガネの少女が階段を降り始めた瞬間に飛び出して、下から緑のビキニに液体をかけるつもりだろう。


 それで、私もツキヨちゃんも耳をすませて、そこからの展開に注意する。


 すると、メガネの少女が階段を降りる足音が乱れて、それはすぐに二階の廊下をこちらへ向かって走って来る足音に変わる。


 どうやらメガネの少女は、コハク先輩がかけようとした液体を、しっかり避けたようだ。


 そして、水鉄砲の液体に対して、そんなふうに反応できるなら、宇宙人が寄生しているとしか考えられないので、私もツキヨちゃんも身体を緊張させる。


 さらに、そのメガネの少女の足音の後に、それを追いかけるコハク先輩の足音も聞こえてくる。


 でも、私たちがこっちで待ち伏せている事を、メガネの少女に気付かれてはいけないので、コハク先輩は無言で走って、けして私たちに呼びかけたりはしない。


 それから、メガネの少女の足音がすぐそばまで来て、それが階段を降り始めたので、私とツキヨちゃんは階段の手すりの陰から踊り場に飛び出して、仰向けの状態から緑のビキニを狙って水鉄砲を撃つ。


 だけど、メガネの少女は手に持っていたかばんで、私たちが発射した液体を受け止めると、そのままツキヨちゃんの水鉄砲を蹴ってはじき、それと同時に私につかみかかって来る。


 私とメガネの少女は互いに身体をつかんだまま階段の踊り場を転げまわって、そこに追い付いたコハク先輩が階段の上から水鉄砲を撃とうとするものの、とても緑のビキニを狙えるような状態じゃなくなる。


 それから、ツキヨちゃんがその動きを止めようと、メガネの少女の背中にしがみ付くんだけど、身体の小さなツキヨちゃんの力では止まらない。


 そして私は、その少女につかまれた手をほどこうとしているうちに、つい力が入って持っている水鉄砲を無駄に撃ってしまう。


 ただ、その液体はすぐに蒸発してしまうので、壁や床に当たってもそこに残る事はないから、自分の身体に直接当たらなければ危険はない。


 でも、そうやってもみ合っているうちに、私はその水鉄砲を放してしまい、メガネの少女は、私に馬乗りになって私の首を締め始めたので、あわてたコハク先輩はギブスをはめてない方の手に持っていた水鉄砲を捨てながら階段を降りて来て、その腕をメガネの少女の首にまわして、その身体をなんとか私から引きはがす。


 そして、片腕しか使えないコハク先輩が、身体の小さなツキヨちゃんと二人で、かろうじてメガネの少女を押さえ付けながら叫ぶ。


「スミレさん! 早く、この子のビキニに液体をかけて!」


 私は首を締められた事で少しふらつきながらも、階段の踊り場に落ちていた自分の水鉄砲を拾うと、その少女の片方の脚にスミレ先輩が自分の脚をからめていたので、もう片方の脚にしがみ付いて、二人がかりで両脚を大きく開かせる。


 しかし、三人で押さえ付けて一人の少女の脚を開かせているこの行為は、地球を守るためにやっているとはとても思えない…………。


 それから私は、丸見えになったそのメガネをかけた少女の緑のビキニに、水鉄砲の液体を夢中でかけ続け、するとその少女の動きがしだいに弱くなっていって、やがて気絶する。


 それでも、まだ私が液体をかけ続けていると、コハク先輩がそれを止める。


「もう十分よ、スミレさん。よくやったわ」


 それで私は、その気絶したメガネの少女から離れて立ち上がるんだけど、身体のあちこちをぶつけていたから、あらゆるところに青あざができていて、とても痛い。


 しかも、水鉄砲を確認すると、その中にはもう液体が残っていなかった。


 私は水鉄砲を下ろしながら、ため息をつく。


「スミレ先輩、ビキニ型宇宙人と戦う時は、接近戦になるとこっちが不利ですよ……。宇宙人の方は私たちを殺すつもりで攻撃してくるのに、私たちの方は、寄生されている少女の身体を傷付けないように気を使わないといけないので、どうしても強く攻撃できないですから……」


「そうね、スミレさん。宇宙人を攻撃する時は、できるだけ距離をあけるように注意した方がいいわね…………。それじゃあ、スミレさん、宇宙人の死体を回収してちょうだい」


「え? 私が脱がせるんですか?」


「もちろんそうよ! だって、今回の宇宙人は、あなたが初めて抹殺した記念の宇宙人じゃない!」


 すると、ツキヨちゃんが、階段に置いていたかばんを開ける。


「あっ、スミレ先輩、私、デジカメを持っていますから、記念に写真を撮りましょう!」


「え、いや、ツキヨちゃん、お願いだから写真は撮らないで…………」


「いいじゃないの、スミレさん! その気絶した少女の横にしゃがんで、脱がせたビキニを自分の胸の前で広げてみて! きっと、いい写真になるわよ!」


「……コハク先輩まで、やめてください…………」


 こんなところを誰かに見られたら絶対に大変な事になるのに、それを写真で残すなんて、この二人はどういう神経をしているのか……。


 そう思いながら、気絶したメガネの少女から緑のビキニを脱がせていた私は、ふと階段の下を見た時に、そこに一人の少女が立っている事に気が付く。


 その少女は、ちょっと太めで、髪の短いあどけない顔をしていて、手には食べかけのドーナッツを持っていた。


 きっと、そのドーナッツの少女は、この部室棟の近くを通りがかった時にさっきの戦いの物音や私たちの声を聞いて、心配して見に来たのだろう。


 そしてその少女は、ドーナッツでいっぱいの口を開けて、私たちを見上げたまま呆然としている。


 それは、そうだ。


 何しろ私たちは、倒れた少女を囲んで、一人がデジカメを持って、もう一人がその少女のパンツを脱がせているのだから。


「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 悲鳴を上げながらドーナッツの少女は逃げて行く。


「うわー、やばい! 私の水鉄砲はもう空です、コハク先輩!」


「私のは二階の廊下だ! ツキヨちゃんのはどこ?」


「えー! さっき蹴られて、どこかに飛んでいきました!」


「スミレさん! 私は二階の水鉄砲を取ってくるから、あなたはその少女を捕まえて! あと、ツキヨちゃんも自分の水鉄砲を探して!」


 それで私は、今、脱がせた緑のビキニをつかんだまま、逃げるドーナッツの少女を急いで追いかける。


 もしも、その少女に逃げられたら、私たちの変態行為が、全校の生徒に知られてしまうから、私も必死だ。


 そして、走りながら私は思う。


 こんな変態の一日が、これからもずっと続くのか……。

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