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ビキニハンター  作者: 柴田 洋
旧バージョン(五番目の修正版から読んでください)
3/16

(ボツにしました)

これは旧バージョンです。


この流れはボツにしましたので、第四章までしかありません。


ごめんなさい。




すみませんが、5話目に修正版の第一章を掲載しましたので、そこまで飛ばして読んでください。




 同じ有機アンドロイドのギンと、この後、二人で組んで宇宙人を抹殺しないといけない事を知らされたボクは、その事を不安に思いながらも、ギンの管理者であるショウビ博士の話を聞く。


「クロ、私は、昨日の夜にギンのチュートリアルを済ませた後で、他の三体の有機アンドロイドのチュートリアルがどうだったのかが気になって、その記録を見たんだ。それで、あなたが本物のビキニ型宇宙人を相手にチュートリアルをして、ちゃんとその抹殺に成功した事を知って、その話を早く聞きたいと思って、こうして朝早くにここに来た訳だ」


「……ショウビ博士、そう言われても、ボクは本物の宇宙人を抹殺したという実感がまるでないんですよ……。ただ美女がはいているビキニに、液体をかけただけという感覚しかなくて……。なにしろ、宇宙人に寄生されて意識を乗っ取られていたという美女も、ただ逃げるばかりで、宇宙人に操られているような怪しい行動は何一つしませんでしたし……」


 ボクがそう言っても、ショウビ博士はそれに構わずに話を続ける。


「ああ、寄生された美女が普通の行動しかしないのは、いつもの事だ。宇宙人だって、意識を乗っ取った美女が怪しい行動をしているところを映像にでも記録されてしまったら、そこから自分たちの存在が明らかになるかもしれない事は、分かっているはずだからな。だから、基本的にビキニ型宇宙人は、自分が寄生している美女には、絶対に怪しい行動はさせないんだ。もちろん、これから出会うヤツの全てがそうだとは限らないだろうけどな」


「でも、そうすると、美女がビキニ型宇宙人に寄生されていても、普通の人間と全く見分けが付かないじゃないですか。それなのに、なんでスミレ博士は、ボクのチュートリアルの目標となった美女が、宇宙人に寄生されている事が分かったんでしょうか?」


 そのボクの質問に対して、ショウビ博士は声をひそめて答える(研究所の中にはボクたちしかいないので、そんな必要はないんだけど)


「……実はスミレ博士は、ビキニ型宇宙人に寄生された人間だけに見られる、特徴的な動きの解析に成功したんだ。それでスミレ博士は、それを基に人間を撮影した映像から、宇宙人に寄生されているかどうかを判定する、映像解析プログラムを作った訳だ。だから、私たちは、街にある監視カメラの映像さえあれば、それをコンピュータに解析させて寄生された美女が誰かを特定できる。ただし、その人間が確実に寄生されていると判定するには、最低でも百時間分の映像を解析にかける必要があるんだけどね」


「…………あのう、ひょっとして博士たちは、街に設置されている監視カメラの映像を勝手に集めて、それを解析しているんじゃ…………」


「ああ、もちろん、そうだ。地球を宇宙人の侵略から守るためなんだから、そのくらいは当然だろう? すでに政府の中枢までが宇宙人に支配されて、警察も報道機関も頼れず、ネットに書き込む事すらできないんだから、手段なんか選んでられないからな。あと、街の監視カメラの映像は、ただ集めるだけじゃなくて、私たちにとって都合が悪い映像の改ざんもしている。たとえば、あなたが昨日の夜に、ビキニ型宇宙人を抹殺した時の周辺の監視カメラの映像は、スミレ博士が、ちゃんとその全てを差し替えて、あなたが映っている部分は完全に消去しているはずだ」


「……………………」


 どうやら、スミレ博士とショウビ博士は、宇宙人の侵略から地球を守るためなら、どんな手段でも使うつもりらしい。


 だけど、違法な手段ばかり使っていると、ビキニ型宇宙人に目を付けられる以前に、警察に捕まる危険が増えるので、ボクとしては、こういう状況でこそ、もっと慎重に行動した方がいいのではと思ってしまう。


 とは言っても、ボクに、そんな事を提案するような度胸はないので、そのまま黙っていると、ショウビ博士は話を戻す。


「そんな事より、クロ、あなたが本物のビキニ型宇宙人を抹殺して、その死体を持って帰った時の事を詳しく聞かせてくれ」


「いえ、ショウビ博士、さっきも言ったように、ボクは美女がはいているビキニに液体をかけている最中も、それが宇宙人だという実感はまるでなかったんですよ。それから、そのビキニを脱がせて手に持った時も、それが宇宙人だとはぜんぜん思えませんでした。だから、ショウビ博士が期待されているような話はなにもなくて…………」


 すると、よせばいいのに、ギンが、又、話に割り込んでくる。


「クロ、お前は鈍いから、宇宙人と、ただのビキニの違いも分からないんだよ! 俺だったら…………」


 そして、ギンが再びショウビ博士にふっ飛ばされて転がって血を吐くので、ツキヨちゃんは、このままではギンが危険だと判断して、あわててボクに言う。


「クロさん! 私はギンさんの手当てをしますので、すぐにスミレさんを起こしてきてください! 午後から、クロさんとギンさんの二人が組んで、ビキニ型宇宙人を抹殺する訓練が予定されていますので、それを早く始めてもらいましょう! このままギンさんを、ここにいさせたら、そのうちに死んでしまいますから!」


 それで、ボクは急いで研究所とつながっている、スミレ博士の個人の居住空間に向かう。


 ちなみに、スミレ博士は研究に集中するために、家族とは離れて一人で暮らしているので、その居住空間にいるのは博士一人だけだ。


 だからボクは、その居住空間の前まで行ってから、果たしてボクが、そこに入る事を許されるのだろうかと思ったけれど、その扉はボクが近付くだけで勝手にロックが外れて何の警告もなく開く。


 どうやら、スミレ博士は、いつもボクには冷たいけれど、信用だけはしてくれているみたいだ。


 それでボクは、その居住空間の間取りを研究所のデータの中から検索して、まっすぐ寝室の前まで行くと、扉をノックしてスミレ博士に声をかける。


「スミレ博士、起きてください。ショウビ博士とギンが来ています」


 でも、そうやって声をかけ続けて五分が経っても、スミレ博士が起きてくる気配がなくて、このまま、ここでギンが死んで、ツキヨちゃんが責任を感じてしまうと困るので、ボクはその寝室の扉のロックを解除して中に入る。


「スミレ博士、入りますよ…………って、なんで、あなたはビキニを頭に被っているんですか?」


「…………うん? ビキニ型宇宙人の死体を被って寝れば……その残留思念を……読みとれるのではないかと思って……試してみたんだ…………。ところで、クロ……私は自然に目が覚めるまでは……起きない主義だ…………。すぐに出て行け…………」


 まだ寝ぼけているスミレ博士は、そう言ってさらに寝ようとするので、ボクはツキヨちゃんのために、博士をベッドから無理やり立たせると、頭に被っていたビキニを脱がせてベッドの上に置き、洗面所に連れて行って顔を洗わせる。


 ところで、ボクは有機アンドロイドだから人間よりも身体能力はかなり高いのだけれど、十才の身体なので、十四才のスミレ博士を支えるのには、ちょっと手こずった。


 それから、ボクに連れられて研究所に入ったスミレ博士は、あくびをしながらショウビ博士に文句を言う。


「ショウビ博士……今日は午後から来る予定だったのでは? ……こんなに早く来られても困るのですが…………」


「すまない、スミレ博士。私は午後になるまで、ここで待つつもりだったのだが、このギンの管理がどうにもうまくいかなくて、クロやツキヨちゃんに、いろいろと迷惑をかけてしまったようだ。それで、午後から予定していた、クロとギンが二人で組んでビキニ型宇宙人を抹殺するという訓練を早く済ませて、さっさと帰ろうと思う。迷惑だろうが付き合ってくれ」


「…………その訓練ですが、仮想現実での訓練など時間の無駄なので、私は本物のビキニ型宇宙人を相手にした実戦をしたいと思います……。ショウビ博士、いかがですか?」


「……そうか……スミレ博士は、昨日の夜にやったクロのチュートリアルも、本物を相手にさせていたな……。私一人では、そんな危険を冒す度胸はないが、スミレ博士に自信があるのなら、ぜひギンにも本物の宇宙人を相手にさせたい。よろしく頼む」


 すると、それを聞いたツキヨちゃんが、心配そうにスミレ博士に確認する。


「あのう、スミレさん、次の訓練は警察官がいる中でビキニ型宇宙人を抹殺するというものでしたよね……。それを仮想現実でなく本物でやるという事は、本物の警察官がいる場所で、本物のビキニ型宇宙人を抹殺するという事になるんじゃないですか? さすがに、それは危険すぎると思うのですが…………」


「ツキヨちゃん、クロもギンも有機アンドロイドで、人工知能で考えているんだから、あらかじめ計算された仮想現実での訓練なんてやっても、新しい事は何も得られないでしょう? だから、すぐに実戦をやるべきなのよ。それに、クロもギンも、ビキニ型宇宙人を抹殺するために生まれてきて、それが使命なんだから、危険なんて関係ないわ」


 そうスミレ博士が言いきって、ショウビ博士もそれを否定しない以上、もうツキヨちゃんにはそれを止める事はできない。


 そういう訳で、ボクとギンは、次の目標となる美女のいる場所へ向かう事になるんだけど、そこは、この街の中央の公園で、昼間でも周辺を警察車両が巡回しているので、何か騒ぎが起きれば、すぐに警察官が来るのは間違いなさそうだ。


 それで、ボクがそこへ向けて出発しようとしたら、ギンがボクを呼び止める。


「ちょっと待ってくれクロ。実は昨日の夜にチュートリアルが終わってから、朝まで暇だったんで、これを作ったんだ」


 そう言って、ギンは自分の手首にはめた金属の腕輪を見せて、さらに話を続ける。


「それで、これからお前は俺といっしょに組むんだから、これをお前にもはめてほしいんだ」


 そう言いながら、ギンは同じ腕輪をボクに差し出す。


 それを受け取ったボクは、なんだか怪しいと思って、それをはめてもいいのかスミレ博士の判断をあおぐけれど、博士はあっさりとそれを許可する。


「いいんじゃないの、クロ。仲間っぽくて」


 それでボクは、水鉄砲を持った方の手首にその腕輪をはめてから、ギンと二人で下水道まで降りて、目標の美女がいる公園へ向かうんだけど、その途中でその腕輪の正体が分かる。


 なんと、あきれた事に、その腕輪は、タッチするたびに他の者が付けている腕輪を振動させる事ができて、それでこっそりとモールス信号を使った会話ができるのだ(ボクたち有機アンドロイドの人工知能は、あらゆる言語と共に、モールス信号も理解できる)


『どうだ、クロ。これで博士たちに聞かれずに会話ができるだろ。なにしろ、俺たちがしゃべったり見たり聞いたりした事は、二十四時間ずっと記録されてしまうからな。でも、さすがに、あの博士たちでも、俺たちの皮膚の感覚までは記録していないだろうから、これでようやく、なんでも話せるようになる』


『ギン、君って思ったよりもマメな人だね。ただ内緒話をするためだけに、こんなものを作るなんて』


『クロ、お前はショウビ博士が管理者じゃないから、そんな事が言えるんだ。あの博士が管理者だと、思った事がなんにも言えないんだぞ!』


『……それは、ギンの発言の方にも問題があるよ。それに君の管理者を選んだのは君自身なんだから仕方がないだろう』


『うるさいな! それくらい俺だって分かっているよ! でも俺は、思った事を自由に話せないという事を除けば、ショウビ博士の事はけっこう気に入ってるんだ。だから、これからお前がいつでも俺の話に付き合ってくれれば、何の問題もなくなる』


『えー。いつでもは付き合えないよ。ボクだって、一人で考え事とかしたい時もあるんだから』


 そんなふうに腕輪のモールス信号を使って博士たちに内緒の話をしているうちに、下水道の中を通って目標の美女がいる公園の近くまで来たので、ボクとギンは人通りがない場所のマンホールから、こっそりと地上に出て公園へ向かう。


「スミレ博士、もうすぐ公園に着きます」


「ええ、ちゃんと見えているわ、クロ。そこの公園は坂や階段が多いから、二人でうまく追い込めばビキニ型宇宙人を抹殺するのは簡単なはずよ。ただし、今回の目標となる美女は三人もいて、一人目のビキニを抹殺し終わったころには警察官が集まって来るでしょうから、捕まらないように注意するのよ」


「はい、分かってます、スミレ博士。未登録で変質者の有機アンドロイドが捕まったら、分解処分されるのは確実ですからね」


 それからボクとギンは、上空を飛んでいる支援用ドローンからの情報で、目標となる三人の美女の位置をつかみ、公園に入って一番近くの美女の方へ歩いていると、ギンが言う。


「クロ、お前はチュートリアルですでに本物のビキニ型宇宙人を抹殺しているんだから、今回の最初のビキニは、俺に抹殺させろ」


「いいよ、ギン。じゃあボクは反対側にまわって、美女が逃げるルートをふさぐよ」


 そしてボクは、美女をはさんだ反対側に行ってから、腕輪でギンにモールス信号を送る。


『こっちはいつでもいいよ、ギン。でもボクは、ビキニ型宇宙人なんてものがいるなんて、まだ信じられないよ。ひょっとしたら、これは何かの間違いじゃないかって、今でもそう思うんだ』


 すると、すぐにギンからの返事が腕輪の振動になって届く。


『俺はビキニ型宇宙人なんてものが存在しなくても、ぜんぜん構わないよ。だって、美女がはいているビキニの正体がなんでも、それに液体をかけて脱がせて持って帰るのは最高に楽しいからな!』


『ええ? ちょっと、ギン、何を言ってるの?』


 でもギンは、それには答えず、次の瞬間には奇声を上げながら美女を追いかけ始める。


「ヒャッハー! 宇宙人は皆殺しだーー! ウヒョー! イヒヒヒヒヒ!」


 そしてギンは、公園の中にある丘の斜面を逃げる美女の、スカートがめくれて見えたビキニに液体をかけながら大笑いする。


「すげえー! キョエエエエエ! 最高だーー! ギャハハハハハハ!」


 それで、ボクはやっと気が付く。


 ひょっとして、ギンは有機アンドロイドでいながら、本物の変質者なんじゃないのか?

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