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ビキニハンター  作者: 柴田 洋
旧バージョン(五番目の修正版から読んでください)
1/16

(ボツにしました)

これは旧バージョンです。


この流れはボツにしましたので、第四章までしかありません。


ごめんなさい。




すみませんが、5話目に修正版の第一章を掲載しましたので、そこまで飛ばして読んでください。




「…………つまり美女のスカートの中のビキニに、この水鉄砲に入った特別な液体をかけてから、それを脱がせて持って帰るのがボクの使命ですか?」


 ボクが手に持った水鉄砲を上げてそう質問すると、まだ十四才のスミレ(菫)博士は、ストレートのショートヘアの、まっすぐに切りそろえた前髪の下に光る大きな目でボクを見つめながら答える。


「そうよ」


 それで、十才の少年の姿で、クロ(黒)という名前を付けられたボクは、それに疑問を投げかける。


「…………でも、それって明らかに犯罪行為ですよね?」


「だから、さっきも説明したでしょう、クロ。そのビキニに見えるものの正体は、地球侵略をたくらむ宇宙人で、その美女の下半身に寄生して意識を乗っ取っているんだって。つまり、その水鉄砲に入っている特別な液体をかけてビキニ型宇宙人を抹殺すれば、そのかわいそうな美女を助ける事になるのよ。あと、ビキニ型宇宙人の死体はそのまま放っておくと、仲間の宇宙人に蘇生されてしまうから、必ず脱がせて持って帰らないといけないわ」


「…………スミレ博士、まさかとは思いますが、ボクをからかっていませんか? ビキニ型宇宙人なんてものの情報は、ボクの人工知能に接続してあるネットで検索しても、外部のデータでは一つも出てこないですよ?」


「それは、すでにビキニ型宇宙人の侵略が、各国の政府の中枢にまでおよんでいるからよ。だから、外部に書かれていたその事に関するデータは全て消去されて、今、その事をネットに書き込んだり、報道機関や警察に報告したりした者は、すぐに拘束されてしまうの。ところで、クロ、あんたのその人工知能は、まだビキニ型宇宙人に支配されていない国を衛星回線で経由してネットに接続しているから大丈夫だけど、本当はこの国でその事を検索するだけでも危険なのよ」


「でも、そうすると、美女がはいているビキニに液体をかけて警察に捕まっても、本当の事は話せない訳ですから、ずっと変質者のふりを続けないといけないじゃないですか! そしたら有機アンドロイドのボクは、人工知能に欠陥があると思われて、間違いなく初期化されてしまいます!」


「いいえ、クロ、あんたの事はまだ登録すらしていないから、警察に捕まったら人工知能の初期化どころか、全身まるごと分解処分されるわ」


「ちょっと待ってください! スミレ博士、なんでボクの事を登録していないんですか!」


「だって、あんたの事を登録したら、あんたが警察に捕まった時に、私までビキニ型宇宙人に目を付けられてしまうじゃない。だから、これからもあんたの事は登録しないわ。という訳で、クロ、あんたは警察に捕まったらおしまいよ」


「おしまいって…………スミレ博士……そんなの冷たすぎです…………」


「ちょっと、クロ、あんた男の子なんだから、この程度の事で泣かないでちょうだい。そもそも、あんたの使命は、宇宙人の侵略から地球を守るという重大なものなんだから、多少の危険は仕方がないでしょう? それに、あんたは十才の少年の姿に作られているから、美女がはいているビキニに液体をかけるくらいなら、警察だってそんなに本気では怒らないわよ。あっ、でも、その後でビキニを脱がせて持って帰るのは、冗談ではすまないかしら…………。だけど、地球に侵略に来ている全てのビキニ型宇宙人の抹殺に成功すれば、あんたは世界中の人たちから感謝されて、みんなのヒーローになれるんだから、いいでしょう?」


「…………ウソだ。どうせ、ボクの手柄は全部スミレ博士のものになるに決まっている……」


「あら、クロ、あんた、さっき起動したばかりなのに、ずいぶん鋭いわね。……分かったわ。手柄は九対一で分けましょう。それならどう?」


「……それって……一割の方がボクですよね?」


「当然よ。そもそも、私がいなければ、あんたはこの世界に生まれていないんだし、情報を集めるのも作戦を考えるのも私なんだから、単なる作業員のあんたが一割も手柄を認められるなんて、ありがたい話じゃない?」


「単なる作業員って……警察に捕まって分解処分されるかもしれない危険を冒すボクに、いくらなんでも、あんまりだ…………」


「……まあ、作業員という言い方は、ちょっとひどかったかしら。だったら、あんたは今から正義のヒーロー、ビキニハンターよ。これなら格好いいでしょう?」


「…………そのヒーローの使命が、美女がはいているビキニに怪しい液体をかけて、それを脱がせて持って帰る事だなんて……」


「あんた、有機アンドロイドのくせに、同じ話を何回くり返す気なのよ! いいから、だまって、あんたの管理者である私の指示に従いなさい!」


 こうして、ボクはスミレ博士から、ビキニハンターという訳の分からない使命を押し付けられて、途方に暮れる。


 すると、それまで黙っていたスミレ博士の助手で、博士の三つ年上の、十七才になるコハク(琥珀)さんがボクを気づかってくれる。


「スミレ、そんなふうに言ったらクロちゃんがかわいそうよ。クロちゃんは、ビキニ型宇宙人を抹殺するために作られた四体の有機アンドロイドの中では、一番まじめでやさしい性格に設定されているんだから、もっと、ていねいに説明してあげなきゃ」


「……そんなふうに、あまやかしてはダメです、コハクさん。クロは自分の意志で、この私を自分の管理者に選んだんですから、この私のやり方に慣れてもらわないと困ります」


 そう言って、スミレ博士はボクから離れると、その部屋にあった端末の一つを操作し始める。


 すると、コハクさんは、ボクのそばに来て、ウェーブがかかった長い髪を指に絡めながら小声で話す。


「クロちゃん、スミレを管理者に選んでくれて、ありがとう。でも、本当は君も、他の三人の博士の誰かを、自分の管理者に選ぶつもりだったんでしょう? だけど、他の三体の有機アンドロイドが誰もスミレを選ばなかったから、君は一人だけ残っていたスミレを選んだのよね? きっと、君はやさしいから、スミレだけが、自分が開発にかかわった有機アンドロイドの管理者になれないと、かわいそうだと思ったんでしょう?」


「…………ボクは、自分の意思でスミレ博士を管理者に選びました。それだけです……」


 さっきまでは、ここに、スミレ博士も含めて四人の博士と、ボクも含めて四体の有機アンドロイドがいて、起動されてすぐのボクたち有機アンドロイドは、四人の博士のこれまでの業績や評判を、それぞれの人工知能で分析して、自分にふさわしいと思う管理者を自分の意志で選んだのだ。


 それから、他の三人の博士は、それぞれが自分を管理者に選んだ有機アンドロイドを連れて、自分の研究所へ帰って行き、ボクはスミレ博士を管理者に選んだので、もともとスミレ博士の研究所だったここに残った訳だ(どうやら、このスミレ博士の研究所は、他の三人のものよりも大きくて、それで、四人が共同で有機アンドロイドの開発をする事になった時に、ここが拠点になったようだ)


 そして、しばらくすると、端末を操作していたスミレ博士が、ボクに向かって言う。


「クロ、今すぐチュートリアルを始めるわよ。ビキニ型宇宙人に寄生された美女の一人が、ちょうどこの近くを歩いて通るから、その美女がはいているビキニを抹殺して持って帰ってきてちょうだい。……でも、こんな深夜に女が車にも乗らずに一人で出歩くなんて、ビキニ型宇宙人はこの国の治安の事を分かってないわね……。まあ、余計な人間が出歩いていないから、チュートリアルとしては都合がいいけれど…………」


 すると、コハクさんがあわてて、それを止める。


「ちょっと待って、スミレ! 本物のビキニ型宇宙人を相手にしてチュートリアルをするなんてダメよ! スミレだって、他の三人の博士がいる時は、仮想現実を使った疑似体験でチュートリアルをする事に合意していたじゃない!」


「でも、その後で、合意で決めた内容はあくまで基本的な方針にすぎず、自分が管理する有機アンドロイドの指導方法は、各自の判断を優先して構わないって事で、他の三人の博士も合意しましたわ」


「それは、基本的な方針から大きく外れなければの話よ! だけど、ビキニ型宇宙人についてはまだ分かっていない事の方が多いんだから、チュートリアルでいきなり本物を相手にするのは、基本的な方針から外れすぎだわ!」


「コハクさん、クロの人工知能の中には、私たちが知っている情報は全て入っているんですから、仮想現実の疑似体験なんてやっても意味はないです。それに、いつかは本物を相手にしなければいけないのなら、それをチュートリアルでやっても構わないでしょう? …………クロ、今からやるチュートリアルを、本物を相手にするかどうかは、あんたが自分で決めなさい。でも、あんたが本物を相手にするのは嫌だと言うのなら、私はあんたの管理者を降りるわ」


 それを聞いて、コハクさんは手で口を押さえて、心配そうにボクを見つめるけれど、ボクの答えは最初から決まっている。


「……スミレ博士、ボクは自分の意志で博士を自分の管理者に選んだのですから、できる限り、その指示には従いたいと思っています。ですから、博士がチュートリアルの相手を本物にすると言うのなら、それに反対する理由はありません」


「あんたらしい答えね、クロ。ところで、この研究所の中から下水道へ降りる秘密のルートは分かるわね?」


「はい、分かります。それから、その下水道から目標の近くへ最短で行くためのルートも、ちゃんと分かります」


「そう。それじゃあ、クロ、すぐに出発して」


「はい、スミレ博士」


 それから、ボクが急いでその部屋を出て行く間にも、スミレ博士はコハクさんに指示を出していく。


「コハクさん、街に隠してある未登録の支援用ドローンを使って、水鉄砲の液体の予備のカートリッジを目標の周辺にばらまいておいてください」


「分かったわ、スミレ」


 そして、その後、二十分ほどでボクは夜の街に出る。


 その場所にいると、遠くの方で警察車両のサイレンが鳴るのが聞こえてくるけれど、コハクさんが周辺に飛ばしている支援用ドローンからの情報で、近くに警察がいない事は分かっているので、今は目標の事だけを考えればよさそうだ。


 すると、研究所にいるスミレ博士の声が、ボクの頭の中に響く。


「聞こえる、クロ?」


「はい、聞こえます、スミレ博士」


「あんたが持っている水鉄砲の液体は、ビキニ型宇宙人に直接かけないとそれを抹殺できなくて、服の上からでは全く効果がないわ。だから、あんたはミニスカートの中のビキニに液体をかけやすいように、美女が坂道や階段を登るように誘導するか、風が吹く場所を利用してスカートがめくれるようにする必要があるの。ちょうどその近くには地下鉄が通っていて、あちこちに通風口があるから、そこへ誘導するのがいいかもしれないわね。あとは単純に、ボールみたいなものを置いといて、それで転ばせてもいいわ」


「…………それ、絶対にヒーローがする事じゃないです……」


「クロ、地球を宇宙人の侵略から守るためなんだから、手段を選んでいる場合じゃないのよ。それに、寄生されている間は、美女の方には記憶が残らないから、後で文句を言われる事もないし、もしも記憶が残ったとしても、宇宙人から解放してくれた事を感謝して、たいがいの事は許してくれるわよ」


「…………美女が許してくれても、ボク自身がそういった行為をするのには抵抗があるんです……。ところで、スミレ博士、ビキニ型宇宙人は、なんで意識を乗っ取った美女に、ミニスカートなんて着させているんでしょうか? もっと自分自身を隠せる服を着させれば、ずっと安全なのに……」


「よくは分からないけど、宇宙人自身の呼吸か放熱のためにミニスカートを着させているんじゃないの? そんな事より、そろそろ目標が見えるころよ。クロ、準備はいい?」


「……本当にやるんですね……」


「そうよ、さあ、行きなさい!」


「……分かりました……」


「クロちゃん、がんばってね!」


「……はい、コハクさん……がんばります……」


 それで、ボクは、目標となる美女がはいているビキニに液体をかけるために走り出す。


 きっと、その美女は、ボクの事を本物の変質者だと思うだろう。


 そして、ボクが思ったとおり、こっちへ向かって歩いていた目標の美女は、深夜の街で銃らしきものを持って走ってきたボクを見て、悲鳴を上げて反対方向へ逃げ出すので、ボクは坂道がある方へ誘導するように動く。


 すると、美女はボクの思惑どおり坂道を登って行き、揺れるミニスカートの奥に、はいているビキニがチラチラと見えるようになって、スミレ博士が叫ぶ。


「今よ! クロ、撃ちなさい!」


「はい、スミレ博士!」


 でも、ボクが発射した液体は、美女の脚を濡らす事しかできず、美女はさらに悲鳴を上げて必死に逃げて行く。


 そして、それを追いかけながら、ボクは思う。


 ボクがこの世界に生まれてきた理由が、こんな変質者みたいな事をするためだなんて、いくらなんでもひどすぎる。


 それで、思わず涙があふれてきてしまって、スミレ博士に叱られる。


「ちょっと、クロ、あんた、なんで泣いているのよ! 泣くのはビキニ型宇宙人を抹殺してからにしなさい!」


「…………すみません……」


 こんなボクに、宇宙人から地球を守るなんて事ができるのだろうか…………。

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