表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドウズ  作者: saji
27/55

第24夜 生存者

やっと久々にバトルシーンが出てきます。

それでは、どうぞ~!

 

「......ん......うんん」


「あっ! みんなきて! 明希也くんが起きたよ!」


 重いまぶたを開けた先に、薄っすらとリナの顔が入ってきた。


(あれ......俺どうなったんだっけ)


 ところどころ記憶が飛んでいる。

 確か、探索の途中で気持ち悪くなって――


「あきやん、大丈夫?」

「このまま目を覚まさないのではないかと......心配しましたよ」

「あきやさん、8分20のタイムロスですよ」

「さいちゃん、今は時間の話はいいじゃん」


 工藤たちが心配そうな顔をして、駆け寄ってきた。


 そうか......おれはあの後、気を失ってしまったのか。


「す、すみません。 もう大丈夫で――」


 俺はそこで、初めて今自分が置かれている状況を認識する。

 横になっている俺の体。

 後頭部には、なにか柔らかい感触が伝わってくる。


 もしかして、この姿勢って......


「私の膝まくら......どうだった?」

「......っ!」


 その単語を聞いて、完全に今の状況を理解した。

 ショッピングモールのものだろうか。リナはソファーらしきものに座り、俺を横に寝かせて膝まくらをしていたのだ。


「うわぁぁ!!!」


 全てを悟った俺は、即座に体を起こし、地面に立った。


「あぁ! まだ安静にしてないと――」

「いや! もう十分休めたよ! ありがとう! 工藤さんたちも、すみません! 時間取っちゃって」


 赤面しながらも、今は心配をかけないようにと、あたふたしたまま口を動かす。


 全く、俺は何をしているんだ......。

 恥ずかしさと申し訳ない気持ちが俺の頭を満たしていた。


「しっかし、びっくりしたよ~。 急に倒れるんだから」

「本当に、もう動いても大丈夫なんですね?」

「はい、大丈夫です」

「......なら、いいのですが」


 本当は自分の体が大丈夫かなんて、よく分からなかった。


 黒い感情に支配され、命を持っていかれるような――すさまじい恐怖を心に刻み込まれたような感覚。それがまだかすかに残っている。それに――


「あの......俺大丈夫でしたか? なんか血とか吐いていたような気がするんですけど......」

「えっ? いや......血は吐いてなかったけど」

「......そうですか」


 あの時目に映ったのは――確かに両手が真っ赤な血でぬれている光景だった。

 激しく心臓が動き、ひどい頭痛と全身への痺れに襲われ、死を感じた。


 でも今は――今はそれが嘘のように、体はなんともない。

 両手に目を向けても、血の痕跡も見当たらなかった。

 あれは、幻覚だったのだろうか......。


 そんなことを考えていると、不思議そうに俺を見ている4人の姿が目に入った。


「さ、さぁ! 先を急ぎましょう!」

「あっ! 明希也くん!」


 これ以上、心配はかけさせたくない。

 そう思い、俺はリナの横に置いてあったライトを取り、すぐに足を動かした。


 休んだ分、俺が頑張って美奈を探さないと......。


「おわっ!?」


 何かが足先に当たり、鈍い音を立てて転んでしまった。


「いっ......てて」

「あきやん、大丈夫か~?」

「ちょ、ちょっと転んだだけです!」


 顔を地面に向けて人が倒れている。

 一瞬、びくっとしたが、俺はその倒れている人が、生きているのか確認するために、首元に指を当てる。


 小さな鼓動――それが指から伝わってくる。


(生きてる!)


「生存者です! 来てください!!」

「ま......まじか! すぐ行く!」


 走ってくるカイトたちを確認して、俺は再び、倒れている人に目を向ける。


「......え?」


 ――そこに、倒れている人の姿はなかった。


「どういう......ことだ?」

「あきやん! 後ろ!!」


 カイトの声を聞き、後ろを振り向いた。


 ――振り向いた先に人が立っていた。いや、人ではなかった。


 紫色の目とうなり声、殺意に満ちた表情。

 頭に刻まれた、あの時の恐怖がよみがえってくる――。


「しゃ、シャドウ......!」

「グワァァァァァァ!!」


 シャドウの手に影が纏わり、鋭い突起が形成される。


 逃げようにも、強烈な殺意を間近で浴びせられ、体がうまく動かせなかった。

 地面にへたりこんでいる状態のまま、後ろに後ずさることしかできない。


 俺の体を突き刺そうとする影――まずい。


 シャドウは容赦なく、その影を俺に突き伸ばした。



「っとと! 間に合った~」


 耳に痛い金属音と共に、目の前にいきなり現れた後ろ姿。


「明希也くん、怪我ない~?」


 余裕そうな声と表情で、リナがこちらを確認してきた。


「な......な......」


 言葉が詰まった。

 間一髪の状況で助かった直後だから――ではない。

 顔色一つ変えずにシャドウの攻撃を受け止め、しかもシャドウから目を離して、俺の心配をしている――その行動に驚愕して、舌が動かなかったのだ。


「そんじゃあ明希也くんに、かっこいいとこ見せちゃおっかな~」


 リナがシャドウを後ろにのけぞらせ、距離を空けた。


閃光ノ印(せんこうのいん)――(ハク)



 ――それは一瞬の出来事で、俺には何が起こったのか、理解できなかった。


 リナの姿が目の前から消え――たと思ったら、シャドウの後ろで刀を振りぬいていた。


 シャドウの動きが止まる。

 その胴体には横にまっすぐ、一つの白い線ができていた。


「グギャァァァァ!!」


 叫び声と共にシャドウの体から白い光が放出される――。

 白い光が消え、今度は黒い煙が大量に出てきて......シャドウは地面に崩れ落ちた。



「ふぅ~......らくしょ~う! イエーイ!」


 リナは武器を鞘に納め、俺にピースサインをしてくるのであった。


「......つよ」


読んでいただき、ありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ