第24夜 生存者
やっと久々にバトルシーンが出てきます。
それでは、どうぞ~!
「......ん......うんん」
「あっ! みんなきて! 明希也くんが起きたよ!」
重いまぶたを開けた先に、薄っすらとリナの顔が入ってきた。
(あれ......俺どうなったんだっけ)
ところどころ記憶が飛んでいる。
確か、探索の途中で気持ち悪くなって――
「あきやん、大丈夫?」
「このまま目を覚まさないのではないかと......心配しましたよ」
「あきやさん、8分20のタイムロスですよ」
「さいちゃん、今は時間の話はいいじゃん」
工藤たちが心配そうな顔をして、駆け寄ってきた。
そうか......おれはあの後、気を失ってしまったのか。
「す、すみません。 もう大丈夫で――」
俺はそこで、初めて今自分が置かれている状況を認識する。
横になっている俺の体。
後頭部には、なにか柔らかい感触が伝わってくる。
もしかして、この姿勢って......
「私の膝まくら......どうだった?」
「......っ!」
その単語を聞いて、完全に今の状況を理解した。
ショッピングモールのものだろうか。リナはソファーらしきものに座り、俺を横に寝かせて膝まくらをしていたのだ。
「うわぁぁ!!!」
全てを悟った俺は、即座に体を起こし、地面に立った。
「あぁ! まだ安静にしてないと――」
「いや! もう十分休めたよ! ありがとう! 工藤さんたちも、すみません! 時間取っちゃって」
赤面しながらも、今は心配をかけないようにと、あたふたしたまま口を動かす。
全く、俺は何をしているんだ......。
恥ずかしさと申し訳ない気持ちが俺の頭を満たしていた。
「しっかし、びっくりしたよ~。 急に倒れるんだから」
「本当に、もう動いても大丈夫なんですね?」
「はい、大丈夫です」
「......なら、いいのですが」
本当は自分の体が大丈夫かなんて、よく分からなかった。
黒い感情に支配され、命を持っていかれるような――すさまじい恐怖を心に刻み込まれたような感覚。それがまだかすかに残っている。それに――
「あの......俺大丈夫でしたか? なんか血とか吐いていたような気がするんですけど......」
「えっ? いや......血は吐いてなかったけど」
「......そうですか」
あの時目に映ったのは――確かに両手が真っ赤な血でぬれている光景だった。
激しく心臓が動き、ひどい頭痛と全身への痺れに襲われ、死を感じた。
でも今は――今はそれが嘘のように、体はなんともない。
両手に目を向けても、血の痕跡も見当たらなかった。
あれは、幻覚だったのだろうか......。
そんなことを考えていると、不思議そうに俺を見ている4人の姿が目に入った。
「さ、さぁ! 先を急ぎましょう!」
「あっ! 明希也くん!」
これ以上、心配はかけさせたくない。
そう思い、俺はリナの横に置いてあったライトを取り、すぐに足を動かした。
休んだ分、俺が頑張って美奈を探さないと......。
「おわっ!?」
何かが足先に当たり、鈍い音を立てて転んでしまった。
「いっ......てて」
「あきやん、大丈夫か~?」
「ちょ、ちょっと転んだだけです!」
顔を地面に向けて人が倒れている。
一瞬、びくっとしたが、俺はその倒れている人が、生きているのか確認するために、首元に指を当てる。
小さな鼓動――それが指から伝わってくる。
(生きてる!)
「生存者です! 来てください!!」
「ま......まじか! すぐ行く!」
走ってくるカイトたちを確認して、俺は再び、倒れている人に目を向ける。
「......え?」
――そこに、倒れている人の姿はなかった。
「どういう......ことだ?」
「あきやん! 後ろ!!」
カイトの声を聞き、後ろを振り向いた。
――振り向いた先に人が立っていた。いや、人ではなかった。
紫色の目とうなり声、殺意に満ちた表情。
頭に刻まれた、あの時の恐怖がよみがえってくる――。
「しゃ、シャドウ......!」
「グワァァァァァァ!!」
シャドウの手に影が纏わり、鋭い突起が形成される。
逃げようにも、強烈な殺意を間近で浴びせられ、体がうまく動かせなかった。
地面にへたりこんでいる状態のまま、後ろに後ずさることしかできない。
俺の体を突き刺そうとする影――まずい。
シャドウは容赦なく、その影を俺に突き伸ばした。
「っとと! 間に合った~」
耳に痛い金属音と共に、目の前にいきなり現れた後ろ姿。
「明希也くん、怪我ない~?」
余裕そうな声と表情で、リナがこちらを確認してきた。
「な......な......」
言葉が詰まった。
間一髪の状況で助かった直後だから――ではない。
顔色一つ変えずにシャドウの攻撃を受け止め、しかもシャドウから目を離して、俺の心配をしている――その行動に驚愕して、舌が動かなかったのだ。
「そんじゃあ明希也くんに、かっこいいとこ見せちゃおっかな~」
リナがシャドウを後ろにのけぞらせ、距離を空けた。
【閃光ノ印――白】
――それは一瞬の出来事で、俺には何が起こったのか、理解できなかった。
リナの姿が目の前から消え――たと思ったら、シャドウの後ろで刀を振りぬいていた。
シャドウの動きが止まる。
その胴体には横にまっすぐ、一つの白い線ができていた。
「グギャァァァァ!!」
叫び声と共にシャドウの体から白い光が放出される――。
白い光が消え、今度は黒い煙が大量に出てきて......シャドウは地面に崩れ落ちた。
「ふぅ~......らくしょ~う! イエーイ!」
リナは武器を鞘に納め、俺にピースサインをしてくるのであった。
「......つよ」
読んでいただき、ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。




