第15夜 本当に仲間?
15話です!それでは、どうぞ〜!
着いたのは、とあるマンションの駐車場。
停めてあった車の数は、片手で数えられる程度であった。
広い駐車場を黙々と進む二人についていくと、運転席の窓から顔を出し、軽く手を振っている男の姿が見えた。かなり高そうな白い車に乗っている。
「仲間の人ですか?」
「そうです」
車の近くで立ち止まる。よく見ると、助手席側にも一人乗っていた。
「霧生さん、工藤さん、予定より5分28秒遅れています。計画修正のため、この先はより迅速な行動を求めます」
「まぁまぁサイちゃん。 霧生さんが遅れるのは、いつものことっしょ」
陽気な雰囲気を漂わせている金髪の男性、そしてメガネをかけた長髪の女性。二人とも工藤さんと同じ軍服を着ており、パージストだと一目で分かる。
「おや? そちらのお連れさんは?」
車から出てきて、二人は俺に目を向ける。
工藤さんが、こちらに手を向け「谷原明希也くん、私たちが探していた人物です」と紹介した。
「おぉ! やっと見つかったんすね! でも......へぇ~、霧生さんが探してるって言うからどんなやつかと思ってたら、意外と普通っすね!」
「これでほぼ作戦成功ということですね」
金髪の男性はホッとしたように、大きく両手を伸ばして背伸びをする。
「ん~そんじゃ、こんな物騒な街から早く抜け出しましょ! 霧生さん」
「どうやらそうもいかないらしい」
「えぇー!? 何でですか!? もうやることないっすよ!? だって――」
金髪の男性が乗っていた車の後部座席を開ける。さっきは暗くてよく見えなかったが、人が乗っていたようだ。
そして――おれは乗っていた人物の顔を見て、驚愕した。
「滝川......勝又?」
そこにはシスト市の市長がいた。
腕と胴体を縄でがっちりと拘束され、口はガムテープでふさがれている。
「ほら! こっちも仕事終わってますもん! 早く出ましょうよこんなとこ!」
「い、いや! あんたら何やってるんですかぁ!?」
思わず、大声が出てしまった。
市長を誘拐するのが仕事って......この人たち、もしかして本当は誘拐犯だったのか!?
「明希也くん、落ち着いてください。 今から説明しますから」
工藤が明希也の肩をつかみ、気を静めるように言う。
市長にこんなことをして、なぜそんな冷静でいられるのだろうか,,,,,,。
裏切られたのではないかという不安と怒りをなんとか抑え、明希也は口を開いた。
「どういうことですか。 下手すればシスト市のパージスト全員を敵に回すことになりますよ?」
工藤は明希也の肩から手を離し、滝川のもとへと近づいていった。
そして、滝川の胸ぐらをつかむと、車の外へと投げ飛ばした。
そのあまりの予想外すぎる行動に声を失った。が、地面に強くぶつかった滝川が、うめき声を出してうずくまっていくのを見て、声が出始める。
「ちょっ......ちょっと! 何やって――」
「彼は! 滝川勝又は、シャドウと手を組み、シスト市を支配していたのです」
「......は?」
不意に明かされた話に、体も思考も動かなくなった。
「智則、ガムテープ取れ。 そいつに全部吐かせる」
「はい」
工藤が滝川の口のガムテープを取る。
「き、貴様ら! 私にこんなことをして生きて帰れると思うな!」
ベリッ、っという剥がれる音の直後に滝川が怒号を飛ばす。
「御託はいい。 お前らの行ってきた計画について全部話してもらう」
「はっ、誰が貴様らなんぞに! 拷問をされたとしても話すわけが――」
「そういえば、護衛にシャドウはいたのか? どうだったカイト」
「いえ、10人ぐらいいましたけど、全員人間でした~。 弱かったです」
金髪の男がそう言って、乗っていた車とは別の車を顎で指す。
目をやると、その中には座席数を超える人数の人影が見えた。滝川の護衛人たちだろうか。縛られて乱雑に車に入れられている様子だ。
「シャドウと手を組んでいたというのに、護衛にはシャドウがいないんだな。ってことは、奴らにとってお前は特別必要ってほどでもなかったようだが?」
「そ......それがどうした!」
地面に横倒れの滝川に近づき、霧生はしゃがみ込んだ。
「利用価値がなくなれば、即消されるだろうな。 例えば、そうだな。 お前が公の場に立ち、舌を回す役割を任されているなら、拷問の後で舌を切り落としてやろう。」
「なっ!」
「こうすれば、俺らの拷問で口を割らなかったとしても、利用価値の無いあんたは確実に消されるんだろうな」
「そんなことしなくても、拷問してれば口割りそうですよこいつ~」
「きっ、貴様らはパージストだろう!? 人に危害を加えるなど、上層部が知れば大ごとになるぞ!」
霧生が滝川の胸ぐらをつかみ、強く顔に引き寄せる。
「人間に害を与えてんのはてめぇだろうが。 ふざけてんじゃねぇよ」
低い声で怒りをぶつける霧生に冷たい恐怖を感じた。
「それに、俺に関しては元パージスト、つまりただの一般人だ。 ここでお前を殺して犯罪者になっても、お前の思っているようなことにはなりそうもないが? どうする? おい」
その光景を俺は黙ってみていることしかできなかった。滝川が本当にシャドウと手を組んでいたのかは、まだ分からないが、度を越えた霧生の尋問は、こちらの息をも詰まらせるようだった。
沈黙の空気が辺りを包む。荒い呼吸をするだけの滝川に呆れ、霧生は滝川を乱雑につき離し、煙草に火をつけ、口にくわえた。
「はっ......はは、どうせこの都市からは生きて出られやしないんだ。 暇つぶしに話してやろう」
しばらくして、滝川が沈黙を破り、うつむいた姿勢のまま話し始めたーー
その話の内容は、俺の思考を置き去りにするほどに、信じられないものであった。
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