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シャドウズ  作者: saji
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第12-2夜 三人で

 ショッピングモールは三階建てでとても広く、複数の小売店舗や飲食店、美容院、サービス業の店舗などがたくさんあり、私と花子はとりあえず、適当なカフェで軽食をとることにした。


「これからどうすればいいんだろ......」


 ()()()()――その言葉が花子とこの後、ショッピングモールをどう楽しめばいいのかという意味なのか、それとも、友江と今後どのような接し方をしていけばいいのかという意味なのか、よくわからなかった。でも、現時点ではとりあえず、その言葉を前者の意味でとる方がいいのかもしれない。


「花子はどこか行きたいとこある? って言っても答えてくれないか」


 自分から質問した後だったが、黙々と食べ物を口に運ぶ花子をを見て、返答の期待を無くした――

「ん......」

 と思っていたが、花子が急に服の袖をくいくいと引っ張り、もう片方の手でここから少し離れている洋服店を指差した。


「は、花子~!!」


 何か反応を返してくれる。それだけで嬉しかった。考えてみると一番かわいそうなのは花子だ。私と友江が勝手にケンカをしてしまったばっかりに、せっかくの約束の休日も台無しにしてしまった。悲しい気持ちにもさせてしまったかもしれない。花子は何も悪くないのに――


「よ~し! じゃあ、あのお店行こっか!」


 花子の頭を優しくなでる。カフェでの会計を済ませ、花子が指差した店へと歩いて行った――



 ■



 花子とは時間を気にせずショッピングモールを歩き回った。思いのほか楽しめた――というか楽しかった。洋服店から始まり、色々な店で買い物をした。といっても、それほどほしい物はなく、ちょっとした小物を買ったぐらいだった。ゲームコーナーで遊び、本屋へ行って面白そうな本を一緒に探す、なんてこともした。私と遊び歩いている間でも、花子はほとんどしゃべらず、反応も薄かったが、時折、何か少しでも反応してくれるだけで――それだけで、嬉しい気持ちになった。たった一度だけだったが、笑顔も見れた。ほんの少し口元を上げ、目をやや細くする。昔からの花子の笑い方だ。他人から見ると、笑っているのかわからないほどだが、私にはわかる。気持ちを共有し合える友人がいるというだけで、すごく心が和らいだ――――



「花子、はいこれ。 買ってきたよ」


 自動販売機から買ってきた飲み物を花子に渡し、一緒にベンチに座った。


「ふぅ~、今日は楽しかったね~」


 買ってきた自分の飲み物のふたを開ける。

 それを飲もうとした。が、隣から花子の視線を感じ、飲むのを止めた。


「......忘れてるわけじゃないよ。 けど、まだ会う決心がつかないの」


 もうすぐ六時になる。こちらから連絡をすると言っておきながら、かなりの時間がたってしまった。向こうは、今どこにいて何をしているのだろうか。もう私たちのことは忘れて、二人で帰ってしまっているかもしれない――


 しかし、その方がいいのかもしれない、と思ってしまう自分がいた。正直、今日はもう友江たちと合わずに、花子との楽しい思い出を持ったまま、早く帰りたかった。

 そうだよ。家に帰れば、このもやもやした気持ちも、自然となくなる。別に友江とはこれっきり、ということでもないだろうし。もしかしたら次に会った時、今日のことなんて忘れているかもしれないし。なにも今日、友江と会って何かする必要はない。ないはずだ。


 そう思っている、のに――


「花子、わたし......どうすればいいのかな?」


 花子からの返答はない。それでも、美奈は続けた。


「わたし......ずっと考えてたんだ。 友江のことなんか忘れて、花子と楽しく遊ぶつもりだったんだけどね。 どんなに忘れようとしても、ずっと心に、針みたいに刺さってるの」


 涙ぐみそうになり、持っていた飲み物の容器に力が入る。


「考えていくうちにさ、間違ってたのは、本当は私の方だったのかな、とも思うの。 昔の友情に、ずっと執着して、友江と花子と一緒に遊びたい、っていう私の考え方は、友江のことを縛るような考え方だったんじゃないかって。 友江が誰を好きになって何をしようが、それを責めて、行動を縛る権利は、私にはないかもしれなかった......。 そう思うの」


 花子が聞いているのかは、わからなかった。声も震えていたし、急にこんな話をして、動揺させてしまったかもしれない。


「分かんない。 わたし、どうしていいかわからないよ! 誤ればいいのかな? それで元通りになる? もやもやした気持ちも消える? 私が誤ってすむ話なら誤る......けど、もう遅いかな。 いきなり帰るとか言っちゃったし、結局連絡もしてないままだし。 もう嫌われたよね。 これじゃあ、元には戻らない......かも 」


 それでも、自分の心にある、もやもやする気持ちを、吐き出さずにはいられなかった。

 ただ、私は二人と一緒に――

「...... っ!?」

 涙を浮かべた目で、花子に視線を移した私は、驚愕した。


 花子が泣いていた。無表情のままだったが、まっすぐ私を見て。


「は......花子! ごめん! ごめんねぇ!」


 一瞬、その涙に体が固まってしまった。が、急いで誤り、花子に寄り添った。

 何をやってるんだ、私は。

 これでは花子を余計に悲しませただけではないか。


「も、もう今日は帰ろうか? そろそろ日も暮れちゃうし。 友江のことは、私がなんとかしてみせるから、ね?」


 花子にはこれ以上、悲しい思いをさせたくない。そのためにも、絶対に友江と仲直りをしなければ。

 涙をぬぐい、美奈はそう強く決心した。


読んでいただき、ありがとうございます。引き続き、素人ながら執筆頑張ります!

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