稽古
陽は大分昇り,先程までの涼しい風から打って変わり,眩しい日光が容赦なく照りつける。
私は,地面に手をついて起き上がった。ボサボサになった髪の毛を,手で梳きながら伸びをする。私は,草花の上をサッサっと音を立てながら歩き,その場を後にした。
家に帰ると,お義父さんが剣の刃を研いでいた。白銀の柄には,ルビーとエメラルドの宝石が散りばめられていて,その筋でない私でさえ,その高価さが分かるほど立派な剣だった。
私が帰ってきたことにお義父さんが気付くと,研いでいた剣を鞘にしまって,立てかけてあった古びた木刀を取り出した。
「さあ,稽古始めるぞ。着替えてこい。」
「はい。」
朝の10時くらいから,お昼過ぎまでお義父さんとの稽古がある。8歳の時に初めて剣を握ってからこの7年近く稽古を続けてきて,大分技を習得することができた。
例えば,普通に剣を握るだけではなくて,短刀を使ってみたり,鉤爪,苦無,鉄扇などの暗器を練習してみたり,大剣のような,自分の体重以上もある剣を振り回してみたり,または弓で精神を統一したりと,どんな武器でも満遍なく稽古した。
そもそもの話,なぜそんなに武器があるのか。それは,やはりお義父さんが冒険者だから……というには多すぎる。お義父さんが言うには,昔王族お抱えの騎士団の団長をしていたらしく,時には密偵をしたり,と色々な職を兼ねていた身だったかららしいが,本当かどうかは分からない。