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牢の塔2
「きみさ、なんかおもしろいもの持ってない?ひまで死にそうなんだ」
『…お前、呑気だなあ。まあ、ないことはないけどな』
そう言うとウィルトスは少年に何かを握らせた。手を穴から出してみるとそこにはボロボロになったスプーンがあった。
「……なにこれ」
『スプーンだよ、わかるだろ。これで一緒に穴掘ろうぜ。で、逃げよう』
「なんで?」
『なんでって…こんな暮らし嫌だろう?それに、ここの部屋の隣は大きな部屋らしい。きっとお前の部屋まで続いているはずだ。そこなら何か脱出する手段が見つかる!」
ガリガリとまた音が聞こえ始めた。意気揚々と壁を掘っているようだ。少年も暇つぶし程度にと、同じように壁を掘り始めた時、扉の施錠を解除する音が聞こえた。
さっとスプーンを枕の下へ隠す。
「T205号、来い。時間だ。」
「………」
また、始まってしまうのか。モルモットは辛い。そう思いながら少年は扉を開けた人間に着いて行く。部屋を出る時に、目隠しと手錠を付けられて、冷たい廊下を人間に囲まれながら歩く。