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龍の瞳  作者: しろーと
第一章 俺の生活
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第四話 天国と地獄の狭間(笑)

「うぅ、なんだどうなったんだ?」


俺は目を覚ました。そして、キョロキョロと辺りを見渡し・・・愕然とした。

なんと、周り一体が真っ白なのである。上下左右すべて、である。


「これは一体・・・俺はカラオケに行っていてそれから・・・だめだ、これ以上思い出せない。」


しかし、カラオケ屋で何かが起こったはずだ、じゃなきゃこんな意味不明なとこに来る意味が分からん。

暫く呆然としていると・・・






目の前に銀髪のよ、幼女かな?が現れた。


「は?」


思わず間抜けな声が出てしまった。そりゃだって、いきなり現れた上に、姿が・・・。

見た目は幼女なんだが、なんというか顔がお姉さんっぽい感じである。髪の長さは肩に少しかかるくらいで、サイドで髪を結んでいる。所謂サイドテールという奴だ。無駄に顏が美形なのがムカつく。


「いま凄まじく失礼なこと考えなかった?」


「いや、ブフッ...何も考えてない。」


やべ、顔と体のギャップの差に軽く吹いてしまった。


「・・・訂正する気はないようね。まぁいいわ。今は重大な時だから許してあげる。」


「何言ってんだ?てかここはどこよ?」


「ここは、貴方たちの世界の言葉を使って言うと、天国と地獄の狭間よ。」


「へー・・・そりゃすげーや。」


「むっ。信じて無いわね。いいわ、じゃあこの場所の説明がそれ以外で説明できる?」


「夢。」


「くっ...確かにここは痛みを感じないけど!」


「ほら、夢じゃないか。」


・・・なに言ってんださっきからこいつ、狭間とか、やっぱり頭は幼女か?


「いい精神科紹介しますよ?」


「貴方ちょっと私をバカにし過ぎじゃないかしら?」


「急に天国と地獄の狭間とかいう頭の狂った人じゃないか。」


「何を...!まぁいいわ信じないなら信じないで、こっちは話を進めるわ。」


急に語りだしたぞ、この中二病患者さん。早く夢、終わらないかなぁ。


「まず、ここが狭間ってことを貴方が信じたことにして話すわね。」


「 はいはい。」


「あなたはカラオケ屋で死んだわ。」


「へー・・・はぁ?」


俺はなに言ってんだこの幼女という目で見る。


「あなたは自分の目に殺されたのよ。あなたの目が頭の中の神経を壊して大量の血をブチまけて呆気なく死亡よ。」


まてまてまてまて。なんだそのグロテスクな死に方。そして場所がヤバイ、だってカラオケ屋だぜ?てかそもそもなんでこいつ俺がカラオケ屋に行ったこと知っているんだ?

そして、妙にそれが本当だと思い込んでしまうのは何故だ?


「漸く少しは信じてくれたようね。少しは落ち着いたら?」


どうやらかなり錯乱していたみたいだ。このお姉さん顏した幼女が哀れみの目を向けている。


「あ、あぁ、すまん、なんでだろうな夢なのにハハハ。」


「・・・話を続けるわ。」


もうツッコミも面倒になったようだ。


「取り敢えず、私はあなたの住んでいた地球の神様よ。」


・・・頭痛と一緒に腹痛まで催してきたんだが。この幼女は一体どこまで行く気なのだろうか?


「何よ、その蔑んだ目は。早く信じてくれないと私も困るのよ。」


「あぁ、いや続けてくれ。」


いや?ここでこいつの話に乗るのもありかもしれないな。本当に神なら俺の目がこんなになった理由も分かるはずだ。


「ちょっと質問いいか?」


「いいわよ、何かしら?」


「君が本当に神様なら、俺のこの目が狐みたいになった理由、分かるんだよな?」


まぁ、さすがにこんな幼女じゃわかるはずな...


「はぁ、それを今から説明しようとしていた所よ。いい加減、話に水を差すのはやめてくれないかしら?」


「あ、ごめんなさい。」


マジかー!マジで知ってんの!?だったら黙って聞くことにしよう。俺のボッチの秘密が明らかになるんだ。


「まず、あなたのその瞳は「龍の瞳」と呼ばれるものよ。」


は?いまこいつなんだって?


「すまん、もう一回言ってもらえるか?よく聞こえなかった。」


「だから、龍の瞳というのよ。」


「こいつはなんの冗談だ?」


お決まりのセリフを添えた。


「冗談でも何でもないわよ!いい加減になさい!そろっと静かにしてもらえるかしら!?」


いかん、いよいよガチギレしてしまった。


「す、すまん、妹以外とこんなに話せるのはなんだか嬉しくてな。」


適当な口実を並べてみる。効果は如何に?


「そういえばあなたはその目のせいで、「ボッチ」だったわね。」


ぐはぁ!?予想外のダメージが!


「まぁ、そういうことなら仕方ないわね。いいわ、今回は特別に許してあげる。」


許してもらえてもこのダメージは消えないんだぜ・・・。まぁ、取り敢えずこいつを無理矢理、神様と信じて、話を聞くとしよう。


「それで、その龍の瞳なんだけどあなたも知っての通り、親からの遺伝でもないし、親族のせいでもないわ。」


だったら、一体何が理由なのだろうか?検討も着かない。


「その瞳は別の世界からのものよ。所謂、異世界、というやつよ。」


異世界だと?そんな非現実的なものが本当にあるのか?


「いま、本当にあるのか疑問に思ったわね?」


俺はこくこくと頷く。


「あるわ。その世界の他にもたくさん・・・ね。大まかに言えば1000個くらいの異世界があるわ。地球もその一つよ。」


俺は声も出なかった。この中二病患者の様子に。しかし、俺は必死に耐えた。


「それで、その龍の瞳なんだけど、それは「エシュラス」という星のものよ。エシュラスは、魔物や亜人、魔族などの様々な種類が存在するわ。もちろん魔法もね。あなたにとってはアホみたいな話でしょうけど、本当のことよ。」


ふむ、つまり俺の目はそのエシュラスという星から輸入してきたというわけですか、そしてその世界は魔法もあることから考えると、所謂、剣と魔法の世界、ではなかろうか?


「あなたの考えていることでだいたい合っているわ。」


「てか心の声を読むな。てか読めたのかよ。」


「あたり前じゃない、神様だもの。」


「・・・なんで最初からそれしなかったんだよ、それやってたらたぶんアッサリ信じてたぞ。」


「し、しょうがないじゃない!上から人の心はあまり読んではいけない、と言われていたのよ!」


上から?もしかして、この神の上にもまだ神がいるのか?確かにこの地球の神とか言っていたが。


「ええ、そうよ、私は中の上くらいの神様ね。」


どうやら本当はらしい。


「また話が逸れたわね。じゃあ率直に聞くわ。あなた、自分の瞳について、詳しく知りたくないかしら?」


なんて甘い言葉をささやかれた。知りたい、自分を死にいたらしめたこの憎き瞳について知りたい。


「どうやら、ものすごく知りたいようね。そうでしょうね、あなたはその瞳のせいで短い人生で終わったんだもの。そりじゃあ説明するわね。」


ゴクリ、と唾を飲んだ。


「それはエシュラスという、異世界にあなたを飛ばし、そこで、瞳について調査するのよ。その瞳は「だれか」のものよ。それを調べるの。」


え?この目ってだれかの物なの?ってことはこれは自然に出来たものじゃなくて、だれかが意図的に俺に移したってことか?


「なかなか鋭いわね。その通りよ。私もそれが知りたいのよ。どうしてこんなことをしたか、私達の世界では犯罪よ。見つかったらその神様は消滅させられてしまうわ。」


ん?そうなるとそのエシュラスの神様がやったんじゃないのか?


「当然の疑問ね。もちろん問い合わせたわ。でも、あちらの神様はやってないっていうのよ。」


嘘を着いている可能性とかはないのか?


「それはないわ、その時には力強い味方がいたからね。」


味方?


「えぇ、私よりも地位が高い人よ、トップクラスのコネは作っておくものね。」


と幼女神が苦笑する。なるほど、地位が高くなれば、力も強まる、というわけか。じゃあそいつでもないとなると...あれ?


「そう...そこなのよ。エシュラスの神様はあの子だけなのよ、異世界の物を異世界に転移するのは神様だけしか出来ないの。」


なるほど、つまりこの幼女神は俺の目に関することだけでなく、その転移をさせた原因も一緒に調べて来いと、そういうことになるのか。面倒な。


「本当に頭の回転が速いわね。これをキチンと捜査しないと上からも煩いのよ。まぁ、そういうことよ、どうかしら?」


「一応聞くが、何か報酬は出たりするのか?」


「そうね、私の出来る範囲でいいわ。」


「前払いでお願いしたい。妹の...愛美の病気を治すことはできるか?それかつ健康体に。」


「えぇ、それくらいなら簡単に出来るわよ。他にも何かあるかしら?」


俺はホッとした。


「まだ何かいいのか?」


「それくらいならコストが低いからね。」


「それなら...仮にその世界での捜査が完了したら、また地球に戻してくれないか?」


「・・・なかなか厳しいわねでもやれないことはないわ、その代わり、あなたの得た力は帰る時の力になるから、それは剥奪させてもらうわ。」


「まてまて、「得た力」ってなんだ?いや、別に剥奪は全然OKなんだけど・・・」


「エシュラスでは、熟練度、というのがあるの。それを上げることよ。熟練度はその技を使用するたびに上がって行くわ。」


つまり、剣を振り回して敵を倒せば、自然と自分の剣術が強くなると、そういうことかな。


「正解よ、あ、一つアドバイスあなたの瞳は魔力が宿っているわ、それも膨大な量のだから、瞳を通してなら魔法を使えるわ、大規模な魔法は打てないけど、工夫すればいいかもね。」


もしかして、この目がその膨大な魔力を放っていたからみんなそれに怯えていたんじゃないか?そして、目を閉じると瞼がシールドの役目をしていたんじゃないだろうか?


「大正解よ、そこまで気づくなんて賢者のレベルじゃないかしら?嘘だけど。」


嘘かよ!!


「送るときに丸腰だと危険だから、ある程度の装備とスキルを持たせるわ。内容は付いてからのお楽しみよ。それから、その瞳はそのままだと、魔力を垂れ流し状態になっているから、向こうについてもボッチになるわ。だから、私の力で魔力を操作しやすくして上げる。」


それは助かるな。向こうに行ってまでボッチになりたくない。それに、知らない土地だから尚更だ。



「それじゃあ、早速異世界に転生させるわね。んー・・・えい!」


可愛らしい掛け声とともに、俺の身体が発光した。これ爆発とかしないよね?


「これで出来る限りのことはしたわ。あとはあなたに任せるわよ。私も調べて置くから。」


「おう、よろしく頼むよ。」


俺がそう言い切った瞬間、目の前にいた幼女神は見えなくなった。

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