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おっさん3匹異世界記  作者: 三色アイス
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第1章2話 「自衛隊は十分チートです」

*。:.゜アケマシテヽ(´∀`)ノオメデトウ゜.:。+゜

本年も宜しくお願いいたします。

話しかしてない回ですが、キャラクター性を出すのに必要かなと考えました。

「二人はチートって言葉を知っているかい?

元々はゲーム関連の用語なんだけれど」


僕やオタクの人間には常識な言葉だけどどうだろうか。


「知らないし、聞いた事ねえと思う」


とヨッシー。


「うーん、反則とかそう云う意味じゃなかったかな、確か」


石井ちゃんは聞いた事あったみたいだ。


「うん、石井ちゃん、ほぼ正解。

元はゲームにハッキングしてパラメータを操作する行為をいったんだ。

転じて、今は余りにも強すぎたりする存在等をチートと呼ぶようになったんだ。

例えば、米軍は物量チートだとか、牧田の無線配車率はチートだとか」


「いや、小西さん、牧田は本当に配車センターに金渡してる反則野郎だから」


と石井ちゃん。



ちなみに牧田というのは同じ営業所の乗務員だ。

乗務中の仕事の8割が無線配車の仕事で、多くの乗務員から悪党呼ばわりされている。

ちなみに僕は一回の乗務で多い時で6、7回位配車される時も有るが、平均すると2、3回程度で全体の1割程度の割合となる。

とある先輩乗務員曰く


「この営業所には悪い奴がたくさん居る。

でも心底悪党は牧田だけだ」


不正が当たり前、嫌な業界だよね。


「牧田はクソだが、米軍の物量チートは納得だ。

自衛隊とは違いすぎる、成程、あれをチートと呼ぶのか。

羨ましいを通りこして呆れるからなあ。

それに比べると自衛隊は惨めだ」


とヨッシー。


「いや、ヨッシー、ミリオタの常識では自衛隊は十分チートです。

特に技術に関しては。

予算当たりのパフォーマンスは世界でもトップクラスでしょ」




ネット上で聞く自衛隊エピソードは予算が少ない事と、練度と技量が半端じゃ無い事、そして古い装備の魔改造に関する事が沢山ある。

その事をヨッシーに言うと


「魔改造とやらは空自だろ、陸自は小銃の部品の脱落防止にビニールテープの世界だ。

それに部隊の練度も全ての隊で最高水準なわけでもない。

まあ、飲んだらえらい事になるのは全部隊共通だと思うけどな」


そうだね、えらい事になるというのは納得だ。

ヨッシーを見ているからね。



ヨッシーの話が本当なら、これでまだ大人しい部類だったというから。

一昨年の忘年会でズボン下ろしだした時は焦ったし、そのあと調子乗った別の乗務員も下ろしだすと、背後から周りこんでライターで陰毛に火をつけるんだから。

本当にこれで大人しい方だったのか?

全く恐るべし自衛隊。


「話が少しそれてしまったけど、チートとは反則的な能力やなんかを言うんだ。

そして、勇者には必須の条件なんだよ。

ダイの○冒険なら紋章の力とゴメち○んだね。

まあ、ゴ○ちゃんはラストの方までチートとはわからなかったけどね」


ピンチになれば光るド○ゴンの紋章、典型的なチートだ。


「ア○ン先生はどうなるんだ」

と石井ちゃん。


「アバ○先生かあ。

ア○ン先生というより、そもそも勇者ってクラス自体が既にある意味チートだから。

戦士には及ばない白兵戦能力、魔術師に及ばない攻撃魔法、僧侶に及ばない回復魔法。

一見器用貧乏と勘違いしそうだけど恐ろしい能力さ。

例えば戦士と魔術師が戦ったら、距離を詰めて白兵戦に持ち込めれば戦士の勝ち。

距離を保ち続ければ魔術師の勝ちになる。

理由はわかるよね」


「攻撃魔法だろ、銃を持った人間と同じ、手の届かない相手に剣で勝てるかよ」


とヨッシー。


「でも、アロータイプのア○ンストラッシュは?」


と石井ちゃん。


「石井ちゃん、ア○ン先生は勇者だから。

まあ、戦士でもレベル上がれば闘気の技を使える様になる可能性あるけど、そこまで成長出来るのは殆んどいないでしょ。

ヒュ○ケルは例外だと思う。

全体で考えれば距離があれば魔術師が勝つ。

他も同様、自分の長所を生かせて相手の短所をつければ勝てる」


頷いてヨッシーが言う。


「成程、いわゆる百戦危うからずだな」


すると石井ちゃんが


「さすがだね、吉田さん、軍事関係は強い」


と褒める。


「任せろよ、オメエも見直しただろ」


「ちなみに続きは、敵を知らなくても己を知れば半分は勝利を拾える。

己すら知らねば1戦も勝利を得られない、という内容だったよね。

勿論知ってたよね」


僕が軽く笑いながら言うと


「こまけぇこたぁいいんだよ、こまけぇこたぁ」


「私もそれは知らなかった。

さすがは小西さん。」


まあ、百戦のくだりまでは良く引用されるけど、後半は余り引用されないからなあ。


「それで話を戻すと、利点を生かし弱点をつくのが戦いの基本として勇者に弱点ってある?」


「成程、全てが弱点であり、利点でもあるのか。」


と石井ちゃん。


「そう、オールラウンダーだからね。

攻撃魔法のみで勇者と魔術師が戦えば魔術師が勝つだろう。

でも反撃しながら近づければ勇者の勝ち。

近づけば勝ちというのは戦士と同じだけど、戦士は反撃出来無いが勇者は出来る。

どちらが魔術師にとって厄介かは一目瞭然さ」


「成程、確かに強いな、勇者は」

とヨッシー。


「更にはア○ン先生は頭脳で戦うタイプの人だ。

こういう人が戦場で多数の選択肢を得ているというのは、鬼に金棒を地でいくといったところだね。

つまりア○ン先生も十分チートってわけ。

勇者やるならチートは必須条件なのさ」


「でも、そうしたら私達はどうなるのさ、小西さん。

チートな力なんて持ってないよ」


と石井ちゃん。

「それなのに勇者やれってか、無理だろう、そりゃ」

ヨッシーも言う。

僕はニヤリと笑いながらヨッシーを見て言う。


「何言ってんだヨッシー、元陸自の大砲屋さん。

十分チートだろ、期待してるよ」


するとヨッシーは慌てて言う。


「ちょっと待て、元だ、元。

現役じゃ無いんだぞ。

それに銃や火砲がなければただの人だ。

無茶をいうな、無茶を」


「確かにそうだね、さすがに無理があるよ。

それに、現代の戦略、戦術の知識を武器にするとしても、小西さんも十分吉田さんレベルにあるでしょ。

吉田さん一人に押し付けるのは人が悪いよ」


と石井ちゃんがフォローする。

元とはいえ本職とミリオタを同レベルと評価するのは問題ないか?石井ちゃん。

まあ、それはスルーしてをこう。


「別に勇者をヨッシーに押し付けるつもりは無いよ。

でも、ヨッシーの経験と知識は重要になる可能性が高い。

なんせ、僕と石井ちゃんは多少の知識はあっても経験は全く無い。

経験してこそ知識がいかせる」


ここで一旦、間を置いて二人の顔を見渡して言う。


「ここはどうやら剣と魔法の世界らしい。

衛兵の武装や魔法儀式で僕等が呼ばれた事、それに宮廷魔術師長がいたのでそれは確実だ」


そう、皇帝に紹介された重臣の中には宮廷魔術師長や宮廷錬金術師長なんて人がいた。

更に何人かは王族、選帝候を名乗った。


「そして、選帝候がいるということは中世中期から後期の政治文化レベルと考えられる。

その頃の地球のレベルに置き換えれば、まだあってもマスケット銃レベルだろうし、魔法優先に技術開発が進んでいれば銃そのものが無い可能性がある」


そこまで言ったところで石井ちゃんが止めて言う。


「何で中世中期から後期なの?それに銃がないって?」


それに僕が答える。


「選帝候なんてのが出て来るのは、国がある程度大きくなってからだからだよ。

いわゆる中世初期の封建領主達が群雄割拠して領土獲得が進んでいない状態では、選帝候の様な存在は余り必要ないんだ。

国が小さい分主君の力も強く、後継問題も恒常的に問題になったりしない。

しかし、国が大きくなると主君に近い力を持った貴族が出て来る。

門閥貴族や派閥貴族のリーダー達だ。

コイツ等は大抵、政治圧力で子息等の結婚で親戚になったり、そもそもが結婚で親戚になる事でリーダーとなっていたりする。

例外もいるだろうが、こうなると主君の後継問題はそのまま派閥の勢力闘争となり、恒常化する。

それで主君を選ぶ貴族、選帝候の様な存在が出てくるのさ。

だから、国の規模がある程度大きくなり、文化もある程度進んだ中世中期から後期と判断した」


そう言うと、呆れた様にヨッシーが言った。


「オメー、それだけの事でそこまで考えるのか?相変わらず頭オカシイだろ。

細かすぎんだよ。」


「うーん、褒め言葉にはとても聞こえ無いけど、一応そう思っておく事にするよ。

あと、銃がないかもしれないというのは、確実じゃ無いけど必要は発明の母からかな。

魔法という便利な技術体系があると、そちらを学び研究する方が益があると皆が考えるでしょう。

そうすると競争により更に発展する。

その分他、この場合自然科学の発展が取り残される。

銃は自然化学の産物だ。

そうなれば、発明されて無い可能性や、発明されても忘れ去られている可能性がある」


古典経済学のホモ・エコノミクスって奴だね、確か。

人間の行動原理は自らの利益の追求によるというやつだったかな。


「本当、吉田さんじゃ無いけど、細かく考えてるね。

でも納得のいく説明です」

と石井ちゃん。


「そうなると、オレ達のチートは銃を含む火砲の知識って事か。

でも作れんのか」


とヨッシーが言う。


「ヨッシー、それは明日、皇帝と話をしてみなければ解らない。

でも作れる可能性はある。

槍や盾は少なくとも鉄、もしくは鋼のようだったから初期のカノン砲ならほぼ確実。

青銅鋳物だから、砲腔耐圧の関係で射程400m程度の滑空砲身になる。

弾種は炸裂弾と蒲萄弾といったところかな」


鉄製の武器が一般化していれば、それより低い温度で扱える青銅鋳物の技術は当然持っているだろう。

最低でもこのレベルの火砲は作れるはずだ。


「火薬の方はどうすんだ。

流石に火薬の作り方なんて概略は知っているが、作れるレベルの知識じゃ無いぞオレは」


とヨッシー。


「え、吉田さん知っているの?スゲー、見直した」


と驚く石井ちゃん。


「まあ、一応大砲の専門家だしな」


「コルダイト、つまり無煙火薬は多分無理。

ニトロセルロースは製造過程で綺麗な水が必要だ。

勿論綺麗な川とかのレベルじゃ無く工業レベルの話だ。

黒色火薬は、木炭と硫黄、そして硝石が必要。

火山があれば硫黄は手に入る。

問題は硝石だが、ここが温帯性気候だと天然での採取は難しいと思う。

そうなると硝石丘等で作らないといけないが、出来れば蚕でやりたいな。

蚕なら絹糸の生産と両得だし。

戦争にはお金が必要だし、出来ればお金も稼げる方法で作りたいよな」


と、僕が言うと、


「オメーは一体何者だ。

判ってたつもりだが、何でそんな事知ってる」


とヨッシー。


「いや、小西さんだからねー」


「ちなみに、僕のノートパソコンの外部ハードディスクに配合割合とかの資料が有るよ。

それから、ヒス○リーチャンネルやディス○バリーチャンネルの火砲や火薬を扱ったドキュメンタリー番組の動画も入っているから。

皇帝達へのプレゼンに使えると思うよ」


そう、僕はこのキャンプに愛用のノートパソコンを持って来てた。

せっかくWi-Fi使えるんだ、持ってこなきゃ。

僕はスマホ持ってないから、ノーパソが必要なのさ。

料理しながらスマイリー動画で音楽流し出した時の二人の呆れた顔には少し凹んだ。


「だから、何でそんなモン持ってるんだ」


「小西さんだからじゃ無い」


とヨッシーと石井ちゃん。


「まあ、ヲタの習性とでも思ってスルーしてよ。

で、取り敢えず僕の提案する戦略、戦術は予想される文化、技術レベルから、ナポレオンを参考に進めたいと考えています」


そう言った後、僕は二人に現時点での細かい方針を話、同意や修正を加えていく。




「なんとか一応の方針の調整はついたね」

僕がそう言うとヨッシーが疲れた様に


「オメーが細かいせいで大分時間を使っちまった。

捉えず残った酒をとっとと飲んじまうか」


と言った。

すると石井ちゃんが


「じゃやあ、改めて乾杯しよう、ニッシー、ヨッシー。

これからの異世界生活の方針も決まったんだから。」


言った。

乾杯の後、僕等はいつもの様にバカ話や、女性の好みやなんかの話をしながら飲んだ。

無論、全くいつも通りとは行かなかった。

お互い不安は一杯あるし。

でも、一人じゃない事は救いだと思った。


皇帝との会談が迫る中、意外な福音が3人にもたらされる。

「これで勝てる!!」

そう思わず口にした僕だが、胸の内には悩みもあった。

第1章3話 「犯罪だろ、これは」

読者様とおっさん達の明日に幸多からん事を。

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