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Full metal judgement  作者: 直線T
19/19

「俺は弱い。漫画の主人公みたいに生きて償えなんて言えない。メンバーを殺したお前を殺したかった。でもそれで償わせたなんて思わない。矛盾してるかもしれないが俺もただの人間なんだ・・・」

殺したところで満足なんてするはずない。もともとメンバーに深い感情なんてありもしないが、それでも奴に手をかけた俺は所詮人間なんだろうな・・。ゲーム感覚でもこんなリアルを簡単に手をかけられるほど出来た性格もしてない。

 「お前はどうする」

武は後ろで見ていたグラディウスに話しかけた。話しかけてもグラディウスはただ主人を見ていた。

 「・・・。名前は?」

犬にこんなことを聞くのも変な話だが武は不思議とふつうに話しかけれた。もちろん名前を聞いたところでわかりはしないが。

 「わんわん(我が名はグラディウス。主人亡き今・・・どうやら使えるべくはあなたのようだ・・)」

 「そうか・・なら来い」

もちろん名前なんてわかるはずがない。

武はグラディウスと共に佐野のいる第五地区に向かった。第五地区に着くと佐野が待っていた。

3

「佐野・・」

佐野もこちらに気づいて視線を向けた

「銀くんですか・・おかえりなさい」

武は無言でうなずく。

 「通信してもね・・出ないんですよ・・・吉崎さん」

その言葉に武は少しうつむいた。

 「死んだ・・・・」

なんとなくそんな気はしていました・・・。

 「そうですか・・・」

 「・・・」

 「・・・」

元々あまりしゃべらない武とは会話が続かなかった。少しの間が空いた。必要最低限のことはあまりしゃべらない。

 「とりあえず今、あなたがここにいるっていうことは最後の敵は倒してきたってことですよね・・・」

 「ああ・・・」

 「まったく待たせてくれますね」

二人は静かに拳を握り、軽く当てた。

アナウンスの前のノイズが聞こえた。内容はもちろんわかっていたが二人はアナウンスに耳をかたむけた。

 「第四地区一名により第一地区一名が倒されました。これにより第一地区が壊滅しました。第四地区の皆様優勝おめでとうございます。これより優勝されたチーム願いを叶えたいと思います。会長の下へ転送を行いますので準備をしてください。準備時間は二分とさせていただきます」

アナウンスが終わった。準備と言ってもこれといてすることはないので武たちはその場で立って待っていた。二分という時間はとても長く感じた。転送が始まるとあっという間にどこかの部屋に飛ばされた。

 「よく来たな。私がこの大会の開催者・・・まぁ名乗らなくても分かっておるだろう」

高級そうな椅子に座って待っていたのは藤堂であった。

 「お主たちなら優勝してくれると思っていたよ。まぁ後からはいくらでも言える話なんだがのう・・ああ、今はそんなことを言っている場合ではないな。願いだったかのう・・・さて、二人で叶えられる願いは一つ、どうする?・・・その前に話すべきことがあったのう・・実はな・・」

 「気づいていた・・・この世界のこと・・・」

 「ほう・・・聞こう」

会長はにやりと笑い、武を見た。佐野も武の考えてることは分かっているようだ。驚いた表情を一切見せない。

 「あまりにも出来すぎている運命を何度も経験してきた。まるで魔法のようなステージ。そして『なんでも願いを一つを叶えてくれる』ということ・・・この世界・・・ゲームなんだろう?第一能力なんて曖昧なものがそう簡単に生み出せるはずがない。最初から気づいていたと言えば気づいていた」

 「まぁ私の能力は一概に存在しないとは言えませんけどね。精神状態によってできることが出来ないとかね」

会長がにやりとした。父と母の死、真理と武が同じ時間に買い物をし、敵に出くわしたこと。そして繁が交通事故にあったこと。ゲームを円滑に進めるための人数の調整。何もかもが偶然で終わらせることができない。

 「どうせ記憶は消える・・・話しておこうかのう。お主たちは選ばれている。それは遠い未来、ある任務をこなすためにな。このゲームの参加者全員が同い年について何か疑問をもったことは?」

 「ああ・・違和感はあった」

戸口との戦いで武は疑問を持っていた。調べによればこの大会の参加者は全員同い年。何かの意図があるに違いないと。

 「それはな、お主たちの世代で任務をこなすためだ。まぁなぜかというとこのゲームが開発された年に生まれたからというだけなんじゃが・・その任務には戦闘も予想されている。ならば一度このような世界で殺し合いをさせ、それぞれの才能を見させてもらっていたんじゃ。だから悪いな。優勝しても願いはこの世界で一瞬だけのもの・・本来の世界では何の意味ももたない願いだ」

ひどい話だ。こんなひどい戦いをさせておいて願いは一瞬しか感じれないだと?それにそれをもう一度味わえと・・・・だが・・・。

「願いはどうする?お主の仮説が正しいならどれだけ自分を優先させても罰は当たるまい?」

 「願いは決まってる」

この話を聞いてもぶれない願いとな・・こやつやはり面白い・・。

「俺をもう一度奇妙な運命に巻き込んでくれ。もちろん本当の世界でだ」


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