十五
第一地区。ここには菅田が来ている。
「んー、最初の場所で待ってるが来る気配ねぇなぁ・・・」
すると後ろから人の気配を感じた。
「だれだ」
「私の相手はあなたですか・・・どうぞお手柔らかに」
後ろから金髪の男が表れた。スーツをきており、どうやら日本人ではないようだが、日本語はとてもうまい。
「なんだ?染めてるのかぁ?」
突然現れた敵に対してその反応はいかがだろうか。
「いえ、ハーフでして、日本語がまともなのも日本育ちだからですよ。イギリスと日本のハーフです、母方が日本人です」
「ほぇ、そうなのかっ!なんかハーフって響きがかっこいいよなぁ。おれもアメリカとかのハーフとか発覚しねーかなぁ・・・」
菅田はばりばりの日本人である。
「あ、嘘ですよ?」
「・・・・・」
この会話は一体なんなんだろうか。そしてなぜ嘘をつく必要があったのだろうか。
「あの・・・そろそろ私たちも始めた方がいいのでは・・?」
「あ・・ああ、よろしくたのむ」
こんな雰囲気からだが二人は戦闘態勢に入った。菅田の能力は武との戦闘ですでにわかっているが水を自由自在に操る。量は自分の体内のものと、その水にふれた水のみだ。建物内では水道管をつかって大量の水を自分のに出来るが野外戦はあまり向いていないようだ。形態も水から水蒸気にすることも可能だ。
「じゃあ行くか」
菅田の周りを水が取り巻く、普段からペットボトルを数本持ち歩いており、それを使っているようだ。
「あっ、ちょっと待ってください。そういえば自己紹介がまだでしたよね。すいません。私の名前は『杉田 大介-すぎた だいすけ-』といいます。髪についてですが兄に無理やり染められました」
「無理やりか・・・お・・おう。俺の名前は菅田 虎彦だ。特にこれといって言うことはないよな?」
自己紹介が終わるとまた戦闘態勢に入った。
「いえ、少し待ってください!」
またかよ・・・こいついちいちやる気をそぐ奴だ・・・。
「あなたの能力は水を操ること、それは見ればわかります。でもそれでは平等ではありません。私の能力を教えましょう。私の能力は相手の能力の上を行くこと。あなたが水であるのなら私は氷・・・」
光なら光を覆い隠すほどの闇、火ならば消し去ってしまうほどの風・・水なら行く手をはばむ氷。しかしこれは能力者の至高による、火には水という考えならそうなる。つまりその考えがつねに上に位置する考えだとは限らないのだ。
「じゃあ行こうかね・・・そらよっ!」
菅田は水を地面に這わした。それで相手の水と融合して水を奪うつもりだ。しかしそううまくいくものではない。
「無駄ですよ?すでに地面の水を凍らしておきました。残念ですがあなたの水はここまで届きません。あっ、ついでに私の足元も凍らしておきましたからもう地面からくることはありません」
「ちっ・・・ならば接近戦で・・何・・・足が・・」
菅田の足は凍り付いていた。
「あなたが水をはわすなら逆もまたしかりなんですよ」
そう、水をはわせて相手の水を奪うなら氷は相手の水で凍らす。
「おれの能力は冷水だけだと思ったか?温度だって自由自在なんだよ。つまりこの氷を溶かすことだって用意だ」
一瞬にして菅田の足の氷は溶けていった。しかしこれは一時的なものでしかない。ここは砂漠じゃない、水は地面全体にある。凍らすことは用意だ。
「水は侵略することは容易です、しかし侵略した水を凍らすことはもっと容易なのです」
気づいた時には菅田は全身凍っていた。見た目では綺麗な状態だが中身はすべて凍ってしまっている。菅田はすでに思考することも出来ない状態であった。
「まったく・・・手間を・・かけさせてくれました・・ね」
蹴ってその氷の塊をくずそうとしたがすでに杉田の下半身は存在していなかった。いや、からからの下半身がくずれて風にとばされたのだ。服も散らばっている。
「あの一瞬でよくもまぁ・・・相討ちですか・・・私としたことがこんな無様な結果とは、いえ・・それはあの人に失礼ですよね・・」
杉田が死ぬと氷は何もなかったかのように消え去ってしまった。氷から解放された菅田は片膝をついた。
「へっ・・・何が相討ちだよ・・・ちょっと全身凍らされたくらいで死ぬかっての・・・あいつらが待ってるんだ・・・」
そう言い残して菅田はその場に倒れ、息絶えた。




