十四
「放送をハッキングしてはいけないルールは聞いていない。我々は第一地区だ。なぜハッキングしたのか、それはある提案のためだ」
提案・・?どういうことだ・・・。
「我々はこれからそれぞれの地区に一人ずつ配置する。つまり一対一をしてほしい。返答は聞けないが全員ちゃんと一人ずつきてくれることを願っている。我々は通信手段を持っている、つまり提案を断ればその一人を全員で殲滅にかかる。では」
アナウンスが切られた。提案を断ったら全員で殲滅、断らなくても全員でくる可能性はある。第四地区は一人ずつ行くしかないのだ。
手元の通信機から連絡が来た。
「奴ら馬鹿だぜ、これで楽に一人ずつ狩れるってもんだ」
「ええ、それに選択肢は一つしかないですし。私は今第五です、それぞれの場所を確認しましょう」
菅田と佐野の会話が聞こえた。
「俺は第一だ」
「私は今第二で銀くんといます・・」
「俺は今から駅に向かって第三か第四に行けばいいんだな」
武は駅に向かった。扉を開けるとそこは第四地区だった。
「よぉ、お前が俺の相手か、なんだが弱そうだな・・・狩りがいがないぜ・・・」
そこには背の大き目な男が立っていた。身長は180そこらありそうだ。しかし高身長にしては細見だ。
「じゃあさっさと始めっかね」
そして近づこうとして立ち止まった。
「そういやぁ名乗ってなかったな。『三田 高貴-みた こうき-』だ。お前は?」
「銀 武だ・・・」
「あんま口数が多そうなわけではないようだな。改めて始めるかねっ」
すでに武は敵に殴られていた。一瞬というわけではなかった。戸口のような能力ではなさそうだ。
「ぐ・・・・・」
「五感の一つを狂わせる。いつ戻してもいいし、違うのを狂わせてもいい。俺のはそういう能力だ。今のはお前の目を狂わせた」
何・・・音が・・・聞こえない。なんだ・・。奴の言う通りだと目はおそらく直っている、しかし・・次は耳か・・。
「よぉ、ここだぜ。そういえばお前の後ろ見てみろよ。別にだまそうってわけじゃない、ただの警告だ」
ぐっ・・耳はどうやら直った・・次は・・。なんだこの煙は・・・しかし臭ってこない・・鼻か・・。
武は突然背後から蹴られた。鼻は直っているが今度は耳がきかなくなっている。そして次は視力を奪われた。
「ぐ・・周りが見えない・・」
「じゃあこのマッチも見えないわけだ・・・」
この臭い・・ガス・・・。マッチ・・まずい爆発だ。
気づいた時には遅かった。武は大きな爆発に飲まれて満身創痍だった。身動きすらまともにとれない。しかしなんとかそこから立ち上がった。
さて・・次は視覚を奪って腹にパンチでもくらわしてやるか・・・。走って近づいてくる。
「ぐっ・・・」
なんで気づかなかったんだ・・Growがいるじゃないか・・・。
迫ってくる三田に武はパンチをくらわした。
「お前・・見えて・・いるのか・・・?」
そんなはずはない。たしかに武は視力がなくなっている。
「俺には俺とは別の俺がいるんだよ・・Growが・・・」
まさかあの生物と視力をシンクロさせて俺を見たというのか・・?いや、シンクロしたらあの生物も視力を失うはず・・・つまりあの生物の指示で動いたというわけか。
「勝負あったな・・・」
「あぁ?何言ってる・・一発殴られたくらいで戦況の変化なんてありはしないんだよ・・そんなこと分かってるだろう?お前自身」
ああ、ふつうなら一発殴ったくらいでは意味がない、しかしそれは能力を所持していない状況のみだ。
「Grow・・こい」
武の腕にGrowのガントレットがついた。そして落ちた仮面を拾い上げ、自分に付けた。
「インストール完了・・・The END」
三田が真っ二つに裂け、焼け焦げていた。それはまるで落雷を受けたように・・・。
「さて、アナウンスが来るまで待機しておくか・・・他の奴はどうしてるか・・・」




