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7 喜びのVサイン

1日デイサービスの初日がやってきた。朝9時頃送迎マイクロバスが来て、午後4時半頃におばあちゃんが帰ってきた。


おばあちゃんは部屋に入るなり

「今日は疲れ切ってしまった。それに遠い。こんなところ到底無理。ケアマネさんに電話する」


その場でおばあちゃんは電話したが、ケアマネさんは今日はお休みでいなかった。せっかくよさそうなところを見つけたのにダメか。桐子はやや気落ちすると共に諦めの気持ちになった。


けれども夜、いつもの晩酌でI.W.HAPPERをロックで飲んでいる時、ある考えが閃いた。おばあちゃんは遠かったと言うが、車なら5分くらいなのだ。


どうして遠く感じたかというと、送迎バスはいろいろなお宅に寄って何人かのお年寄りを乗せる。お年寄りは車の乗り降りに時間がかかるし、中には車椅子ごと乗る人もいたりして時間がかかる。


だからダイレクトに行けば5分でも15分とか20分とかかかって遠く感じてしまうのだろう。特にこれまでは半日だったのが1日になって、しかも慣れないところで神経も使うだろうし、体もかなり疲れていて早く帰りたいのになかなか着かないから嫌だと思ってしまったのだろう。


 だったら桐子が車で送り迎えすればいいのではないか。おばあちゃんは物忘れがひどくて物事によっては5分前のことでも忘れてしまうのだが、忘れてしまうことは悪いことばかりではない。嫌なことも忘れてしまうという効用もあるのだ。


案の定翌日になると昨日疲れたとかやめるとか言っていたことはすっかり一晩のうちにきれいさっぱり忘れていて、普通に行くつもりでいる。


そこでこれからは桐子が送り迎えすることを提案して、おばあちゃんは毎回送り迎えしてもらえることに感謝していて、こうして新しいデイサービスにも通うようになったのである。


 けれども日曜日の1日が長い。戸締りの件があるので、桐子はずっといなければならないからだ。それにおばあちゃんも家でテレビをかけてゴロゴロしているだけだ。


新聞や雑誌を読んでいると、家でずっとテレビをかけているのは良くないそうだ。体を使わないので足腰はますます衰えるし、頭を使わないし、人と話もしないので認知症が進んでしまうらしい。


それよりもデイサービスに行けば、いろいろな人と話をするし、機能訓練なども盛り込まれていて体及び頭が衰えるのを遅らせることができているらしい。


 調べてみると、日曜日にデイサービスをやっているところは無い。みんなお休みなのだ。


そのことを一応ダメ元でケアマネさんに相談すると、さすがプロだ。近隣で一箇所だけやっているところがあるというのだ。


車なら5分くらいのところだ。最近月、水に1日デイサービスが始まったばかりなので拒否されるだろうなと思いつつも一応見学に連れて行ってみた。


ケアマネさんも来てくれて、実際に高齢者たちが機能訓練などをやっているところを目の当たりにしながら、柔和で美形の女性チーフが丁寧に説明してくれた。どうせここに通うのは嫌だと言うだろうと覚悟して一応聞いてみた。


「ここはどうかな?」すると全体の雰囲気が気に入ったらしく、意外にも

「いいんじゃない」という言葉が返ってきたので、契約することになった。


私は密かにケアマネさんにVサインをしてしまった。これで月、水、日は1日デイサービスに行くことになったので、車での送迎はしなければならないが、それさえやれば昼間は自由に出かけられるし、何度も呼ばれなくなるのでホッとできるというものだ。


が、更におばあちゃんにとっていいことがある。週に3回だけ夕食のお弁当を取っているのだが、それ以外はおばあちゃんはかなりいい加減な食事をしている。風邪を引いたりしないのは恐らく毎日牛乳を飲んでいるからだと思うのだが、週3日のデイサービスでは当然お昼が入ることになり、それぞれ栄養バランスを考えられたランチらしいので安心だ。

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