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24 謎の女性(2)と恐怖の夜のパトロール

彼女の靴音はだんだん遠ざかっていった。私はしばらく倒れたままになっていた。しばらくして電車を降りてきたある人が気付いて助け起こしてくれたので何とか歩いて帰った。


この件は合唱団の女性の件以上に謎なんだ。普通は一度フラれたのに誘って来てくれたら恋愛が復活した兆しだと思うじゃない?


それがこんなことを言われてしまうなんて。私は天地天命に誓って彼女に指一本触れていないし、機嫌を損ねるようなことや、ましてや傷つけるようなことは言っていない。その証拠に彼女は終始ご機嫌だったからね。


そう考えてみると、彼女はキャッツを見るためだけに来たとしか考えられないんだ。一緒に観に行くということは、よほど気にくわないことがない限りおつきあいというか、また誘ってもいいという前提があって決断したと考えるのが普通だと思うが、彼女はなんと12000円もするミュージカルをタダで見るためだけに私を利用したとしか考えられない。そうとしか考えられないんだけど、そんな風にしか考えられない自分も嫌なんだ」


「なんて難しい女性なんでしょ。まあ、もちろん私はその人を知らないわけだし、どうして急にあなたを拒絶するようなことを言ったのかも分からないけど、これだけは確実に言えるわ。


その人は桐山さんの良さが分からないってことよ。だからそんな人のことは忘れちゃいなさいよ。それに少なくとも私は桐山さんの良さを少しは分かってるつもりだし、多分真奈ちゃんもそうだと思うけど」


 桐山さんの謎の女性の話がまだ脳裏に残っているのだが、今日もまたとんでもないことが桐子を待っていた。おばあちゃんは最近平均して1日3回くらい近くのドラッグストアに買い物に行く。それはどうしてかというと、その日に買い物に行ったという事実を忘れてしまうからなのだ。


そして冷蔵庫の中がものすごいことになっていくのだ。さっきも翌日のパンと牛乳を買うと言って近くのドラッグストアに買い物に行った。この日の3回目の買い物だ。


夜になっておばあちゃんが寝た後、桐子はルーティーンである夜のパトロールをする。鍵じめや、仏壇の線香の消し忘れがないか、危ないからガスはやめて電気の調理器にしてあるが、つけっぱなしになっていないかなど。


以前は線香のことは気にしていなかったのだが、正月早々故総理大臣の大邸宅が火事で焼失してしまい、その原因が何とお線香で、まだ燃え残っていた線香が倒れてあれほどの大きなお屋敷が燃えてしまったというので、近頃は必ずチェックしているのだ。


今夜もいつものようにパトロールをしていると、床に転がっているおばあちゃんのリュックサックがいつもと違って膨らんでいてパンパンであることに気づいた。


それはいつもおばあちゃんが買い物に行く時に使用しているリュックだ。まさか、と思って桐子はリュックを開けた。するとパン、牛乳、おしんこ、缶詰の焼き鳥、アイスなど夕方に買ったものがそのまま放り出してあったのだ。


桐子は慌ててそれらを冷蔵庫に入れるなどしたが、何時間か経っているのでアイスは液体状態になってしまっていた。

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