12 悔しいきんつば
桐子はいつになく興奮してしゃべりまくっていた。
「それがね、粒あんの大福にするかきんつばにするか迷ったんだけど、結局きんつばにして他の野菜とかの入っているカゴに入れたの。で、お会計をして帰ってきてから野菜とかお魚とかを冷蔵庫に入れ終わってお昼を食べたの。
そして久しぶりの楽しみだったきんつばを食べようとした時、それがテーブルとかその辺に無いことに気づいたの。買い物の袋の中とかも確認したけど無いの」
「レジのミスかな?」
「この前レジの人が合計金額を言った時、ふと元のカゴの中を見たら、緑色のカゴのなかの隅っこに緑色の大葉が残っていたので、そのことをやんわりと指摘したら、レジの人はすみませんと言ってその大葉も合計に加えてから、バーコードチェック済の品物が入っている黄色のカゴに入れたの」
「やっぱりそういうこともあるんだね。じゃ、それと同じミスなんじゃないの?」
「私も最初そう思ったんだけど、レシートを確認したら、ちゃんときんつばはカウントされていたの」
「ということは?」
「私のミスよ。恐らく黄色のカゴから買い物袋に移すときに野菜や卵とかに気を取られていて、カゴの中に起きっぱなしになっちゃったんだと思う。きんつばは178円もしたのよ。悔しいったらありゃしない」
「まあ、そういうこともあるよ。でも『小さいことにくよくよするな』とかいう本に書いてあるんだけど、我々の人生って限られてるわけだから、日常的な細かいことは忘れるようにしてなるべく楽しいことを考えて生きていくようにしようって私の場合は自分に言い聞かせるようにしてるんだ。
まあ、そんなに何でもきれいさっぱり忘れられるわけじゃないんだけどさ。ところで話して少しは気が晴れた?」
「そうね。スッキリしたわ。早く忘れるようにするわ。聞いてくれてありがとう」




