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⑫異界世紀末記―最後の聖女―  作者: 邑 紫貴
第一章:召喚 真木野 理世(まきの りせ)

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④結:冒険


勇者ジークハルト。魔法使いマリー。

王子のユーリス。騎士フリック。

神官ライオネル。そして私。


聖女とは何か。



王城を出て、学園の前を通り。

王都の門前には大勢の民衆がいて。

声は聞こえるけれど、何を言っているのか分からない。

もうすぐ魔王が復活する。

その影響なのか魔獣や魔物が増え。

勇者ジークハルトは、学園にも通わず闘ってきた。

「俺には魔法の資質がなかった。父から教わったのは、この弓。生きながらえる知恵だよ。」

近距離で戦うには、防御系の魔法も必要。

咄嗟の判断。近距離の訓練を受ける意味。

フリックの傷は、それを物語る。

顔や腕、見える部分に古傷。

私を命に代えても守ると言ったのは、常に死と隣り合わせで生きてきたから。

だからこそ。生きて欲しい。

「ジークハルト、あなたの正義感は。」

「そんなのないよ。勇者に選ばれた基準もわからない。君と同じだ。」

近しい存在。けれど。

「ジークハルト、ユーリス王子が呼んでいるよ。聖女様、少し私とも話をしていただけませんか?」

魔法使いマリー。私も話をしたかった。

これが何らかのゲームなら存在しない存在。

これが現実だからか、私にとって彼女は何なのか。

仲間か……

「ふふ。あなたは召喚されたのよね?私は転移者。この世界がゲーム、レティッシラの聖女~女神の加護を受けし者は世界を救う~だと知っているわ。あなたは知らずに、そこにいるんでしょ?バカなの?」

タイトルだけは知っている。

女神の加護とは何だろうか。ここにいることがバカとは。

ゲーム攻略者のマリーは自信に満ち、空間に歪みを生じさせて手を入れた。

収納か何かの魔法だろうか。

収納バッグの中に似ている。

取り出したのは手のひらサイズの星型アイテム。

「これが何かわかる?」

「まさか。」

「そう!これがあれば、世界は救われるの!」

私はマリーに抱きついた。

「良かった。救われる。この世界が。ありがとう。」

私では手に入らなかった物。

ハッピーエンドが保証された。

私にとって、それ以外の何物でもない。

「離れて!」

大きな声が耳元で。

私は感動しているのに。

マリーがこの態度なのは、ここがゲームの世界だから。

きっと私が進めなければならなかったシナリオを彼女がしてきたのだろう。

「あなたに感謝されるとか気持ち悪い。……これは、私の物よ。渡さないわ。」

「もらっても困る。使い方も分からない。あなたが聖女になればいいわ。……私は帰る。帰りたいのよ!」

私の本音。

その言葉にマリーの表情が曇る。

あぁ、彼女も帰りたいのだと感じた。

帰れないのかもしれない。

「……聖女はね、生贄なのよ。」

私は知らずに。『そこにいる』

聖女の場所。生贄。

言葉が出ない。

目の前が暗くなっていく。

足が震え、その場に座り込む。

自分が選んだ。

けれど、ゲームでは主人公だよね?

ゲームをしていないから分からない。

「私は死ぬのかな。そうだよね、シナリオも進めず、重要なアイテムはあなたが手に入れていなければ世界が滅んでいた。」

涙が溢れ、頬を伝って地面に零れ落ちていく。

「泣かないでよ。ごめん、あなたは眠るだけで死なない。このゲームはヌルゲーだから、このアイテムを使えばクリアできるし。イジワル言っちゃったけど、あなたの事は嫌いじゃない。だって、逆ハー目当てじゃないってわかっていたから。あなたも帰りたいんでしょ、一緒に帰ろう。このゲームをクリアして。」

手を差し伸べられ。

私は涙を拭って、その手を取り立ちあがる。

「この後のイベントとか、教えて欲しい。」

「もう地図どおりよ。進路にある村や町でクエスト消化、洞窟でのアイテム収集。気楽な冒険ね。あなたも、せめて残りの日はクリアできるのだと安心して過ごせばいいわ。」

「ありがとう。話かかけてくれて。マリー……あなたの名前は?」

「私は伊井田いいだ 真理まり。転移者。ラノベ愛読者で魔法少女よ!」

「ふふ。私は真木野まきの 理世りせ。召喚された聖女。生き残れるなら、喜んで生贄になる。よろしくね。」


魔王討伐の為のアイテムと、必要な仲間を伴い。

私達は冒険を続ける。

ゲームのようにはいかない。

魔物や魔獣は生々しく、攻撃すればダメージを与え、滅んでいく姿。

時にそれを食し、アイテムを得て。

理解し合える同じ世界から来た友達もできて。

未来を楽観視する。

帰れるかは分からない。

けれど、女神の加護がある世界なら。

私の役目。

それは生贄。生きて帰れる前提の。


そして時は来た。

マリーのゲーム知識に従い、順調にその時を冷静に受け止め。

神官ライオネルは、聖女として言う事はないと。

私の後方での支援。

王子ユーリスと騎士のフリックが私の両隣に立ち、勇者を先頭に。

魔法使いマリーはその後方。私より前を歩いてくれる。

その背を見つめ。

途中で取得した杖に、魔王攻略のアイテムを組み込み。

いつでも対応できる体制。


魔王城に到着し、戦闘は激しくなり。

最終決戦。魔王の登場。


「さぁ君たちは“今回”、この世界を救えるだろうか。」


マリーは杖を掲げ、アイテムを使用した。

私は魔法陣を広げ、聖女の力を全て注ぐ。

眠りにつくように力尽きるまで。

私はこの為に召喚された聖女だから。







to be continued


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